185 メッチャ撃たれました
「さあ、楽しい尋問時間だぁー!」
なんて叫んだら皆にドン引きされました。いや、冗談だって!
「いや、ボスなら笑ってやる」
「そうね。やるに一万点かけてもいいわ」
こめかみの血管が切れそうなくらい笑顔で二人を黙らした。
「ん? やらないのか?」
手頃な棒をつかんで首を傾げるジェスくん。君、本当に空気読めないよね!
「殴ってしゃべらすなんて時間の無駄だよ」
我に優しい魔法──ではなく、手のひらの創造魔法がある。頭に右手を乗せて記憶を見──て止めた。
「ケダモノが──」
拳銃を出して男の頭を撃ち抜いた。
戦奴町ってだけで碌でもないだろうと考えていたが、ここまでとは想像できなかった。
情報はもういらんと、ケダモノの頭を撃ち抜いていく。
「イビス。もうちょっと威力のある拳銃をちょうだい」
ベレッタじゃ頭も吹き飛ばないよ。
「ボスの手に合う拳銃では頭は吹き飛ばないよ。ショットガンにしな」
ならそれでと、なんか短いショットガンをもらった。こんなのもあるんだ。
「弾数は少ないからな」
撃ち合いするんじゃないんだから問題ナッシングと、ケダモノの頭を次々と吹き飛ばしてやった。
「ジェス。死体を片付けて」
「了解」
魔槍グランディールがあれば完全犯罪やりたい放題だな。
「た、助けてくれ!」
「嫌だ」
テメーらに命乞いする資格もない。ただ恐れて死ね。
「って、疲れた。イビス。片付けて」
弾込め、手間! 面倒臭い! 音、うっさい! オレ、銃、嫌い! と、ショットガンを投げ捨てた。
「……我が儘なボスだよ……」
投げ捨てたショットガンをキャッチしてケダモノの頭を吹き飛ばした。
「スズ。女はどうする?」
ジェスの問いに、親指で首を斬る仕種をした。ケダモノに男も女も関係ありません。
「情報はいいの?」
「こんなケダモノから得られる情報なんかいらないよ」
どうせオレが欲しいと思う情報なんかあるはずがない。仮にあったとしても微々たるもの。それならなくても困らないわ。
「あ、その男は殺しちゃダメだよ」
記憶はいらないが、能力は欲しいからな。
口の中が大変になっている男の頭に右手を置いて、能力を探った。
「……直感……?」
これと言った能力名はなく、記憶を探ると、直感的な感じを見せていた。
頭から手を放し、>っと鑑定。超感覚と出た。
「……邪神から得た能力じゃなく、人に備わる能力ってこと……?」
深く調べようとしたら魔力が急激に消費されたので鑑定を止めた。この感覚は神の領域に入るときのもの。踏み込むには覚悟がいる。魔力を消費するって覚悟だけど。
「生まれもった才能、か~。いけるかな?」
魔法や魔術はコピーできたんだから生まれもった才能でもいけるとは思う。
「イビ──」
「──断る!」
「まだなにも言ってないじゃん」
気が早い女は嫌われるよ。いや、男でも嫌われるけどさ。
「言わなくてもわかるわ! そいつの能力を移そうとしてるんだろうが! わたしは死んでも嫌だ!」
「移すんじゃなくてコピーだよ」
まあ、正確には能力開発、だと思うけど。
「これ以上改造されてたまるか!」
「もう神に性転換された時点で今さらじゃん」
しかも、チート能力をつけられてんだから直感力が身についたくらい微々たるもんじゃないのさ。
「だったらボスがすればいいだろう」
「スズ、これでも勘はいいんだよ。直感力なんていらないよ」
身の危険を察する勘のお陰で生き残れたと言っても過言ではない。そんな実績ある勘を捨てるなんてできませんって。
「なら、ジェスでもいいだろう!」
「ジェスも勘はいいし」
勘と言うか、五感か? それが売りなんだから直感とかは五感を殺すだけだよ。
「わたしは嫌だ! 気持ち悪い!」
「ねーなら喜ぶのに」
「ボスが魔改造しすぎたからだろうが!」
それは否定しない。ねーちゃんはオレの最高傑作だと自負する。
「否定しろよ!」
「それはこれまでの生き方を否定すること。死んでもしたくない」
これまでの苦労を否定することはオレの生き様を否定すること。神へ屈したも同然だ。それだけは殺されたってしたくないわ!
「まあ、イビスいらないなら野望に食わせるか」
野望の元──スライム(分裂させて保存しております)に食わせて新たな命を創造すればいい。手駒はいくつあっても困らないからな。クフフ。
「悪いことを考えている笑いだ」
「ええ。とても口にできないようなことをね」
お黙り。これは神が許したもう聖なる行い。善行であるぞよ。口を慎むがよい。
「主をいいように扱わないで!」
その主とやらにいいように扱われてるオレらはどうでもいいのか?
「神は我をこの世界に遣わした。なら、我が起こす奇跡は神が許したもう奇跡である」
オレを否定することは神の行いを否定すること。守護天使ちゃんは否定しちゃうんだ~?
「ぐぬぬ」
守護天使がぐぬぬとか、こいつは本当に守護天使なんだろうか? あまりにも感情的やろ。
まあ、四角四面の守護天使よりマシだ。口うるさく囀ずられるなど苦痛でしかないしな。
男をアイテムボックス──スライムを保管しているある場所へと放り込む。
「新たな命を生み出すとか、なんか母親になった気分」
「マッドサイエンチストの間違いだろう?」
「お前を改造したろうかぁ~!」
なんて冗談半分で襲いかかったら銃でメッチャ撃たれました。い、痛ぁ~い!




