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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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184 可愛らしい笑み

 戦奴町に来ると、両脚を撃たれたケダモノどもが夢の跡。諸行無常の鐘を鳴らしたいわ……。


「一応、殺さないでおいたよ」


「ありがとー」


 イビスにそんな心遣いができるとは思わなかったよ。


「なにか失礼なことを考えてないか?」


 イビスちゃんのジト目、可愛い~。別に抱き締めたくなったりしないけど。


「そんなことないよ~」


 渾身の笑顔で返し、イビスちゃんの可愛いジト目から逃れた。


「リリー。出番よ。ケダモノを一ヶ所に集めて」


 帽子をつかみ、空中へと投げる。


「守護天使になんてことやらせる気よ」


 帽子の中からアニメな感じの甲冑鎧(女性型)が出て来た。


 所謂、動く鎧。リリー活動形態である。


「それ、なんの意味があるんだ?」


「意味を求めてはダメ! 意義を求めなさい!」


「リリー。わたしはボスがなにを言っているかわからない」


「本人もわかってないから安心しなさい」


 あ、うん、まあ、そんな感じです……。


 肉体労働させようとしたけど、肉体派が二人いれば充分──どころかあまるくらい。甲冑鎧バージョンはこれが二度目の召喚であった。


「なんでもいいからケダモノを集めて!」


「なんの逆切れだよ」


「引っ込みがつかなくなっただけよ」


 いいからやれよ! 集めて来いよ! タイム・イズ・マネーだ!


 ベレッタを出して二人を追い立てる。ケダモノに何発か当たったのは気にしない。死は平等なのだから。


「ったく。ヒステリーなボスだ」


「八つ当たりなんて最低!」


 マガジンを交換して再度追い立ててやった。クソが!


「スズ。怪我人がいる」


 鼻息荒くしてると、空気を読まないジェスが話しかけて来た。この男もある意味ズレてるよな~。


 ……まあ、まともな性格では戦いなんてやってられないのだから今さらか……。


「戦奴にされていた者がいたの?」


「ああ。子どもがな」


 冬越しに戦奴を抱えるのか? と思ってたら子どもを抱えていたのか。


 ジェスに連れられて来た場所は、町の中央にある家(と言うか小屋?)で、地下に続く階段を下りると、原始的な地下牢があった。


 衛生観念など宇宙の彼方に放り投げたところのクセに、やたら頑丈そうな鉄格子があった。


「なにをそんなに恐れているんだろう?」


「恐れている?」


 オレの呟きにジェスが不思議そうに首を傾げた。


「この鉄格子、やたら頑丈でしょう。普通、罪人とか逃がさないようにするものだけど、この鉄格子は力のある獣人でもこじ開けるのは無理でしょ?」


 ジェスなら可能だろうが、成人の獣人でも無理だ。切断機を使うレベルだわ。


「なんかよからぬ実験をしているのかな?」


 鉄格子からパワー系か? 変身系か? なんやろ?


「子どもは?」


「奥だ」


 地下牢は結構広く、奥行きもあった。よく崩れんな?


 手のひらの創造魔法で淡い光を創り出しながら二十メートルほど進むと、息をする音が耳に届いた。


 >っと暗視眼。にして進み、息をする音へと向ける。


「……確かに獣人の子がいるね……」


 ただ、初めて見る獣人でなんか猫耳っぽいのが頭に生えていた。


 一塊になっていて正確な数はわからんが、五、六人はいる。年齢もバラバラで年長が十二、三で、年少が六歳くらいかな?


「なんて獣人?」


 ジェスも獣人なだけに夜目が効くらしいよ。


「オルレカ族だな。アイカワ帝国から連れて来たのだろう。オルレカ族は敏捷でよく暗殺とかに使われるからな。おそらく、前におれらを偵察して邪神の揺り籠になったのもオルレカ族かもしれんな」


 邪神の使徒、相当のクソである。


「スズも負けてないと思うけど」


 オレはその人の幸せを願って、誰一人不幸にしてませんけど?


「苦労はさせられてるけどね」


 苦労は皆でするもの。オレだけ苦労して皆が楽してるなど万死に値する。苦労は皆平等である。誰か一人に押しつけるものではないのだ。


「ダメ」


 鉄格子を破ろうとするジェスを止め、>っと鑑定する。改造されていたら困るからな。


「うん。大丈夫みたい」


 邪神の使徒がなにかしていれば鑑定はできない。ってか、全員女の子だった。


 アイテムボックスから水とパン、タオルを出し、ミカンに世話するよう命じる。


「アイアイサー」


 もはや自我に目覚めたかのようなミカンちゃん。万能偵察ポッドの域を飛び出していた。


 ……神の野郎がなんかしたか……?


 不安はあるが、いろいろ便利なので深く考えないようにしてるよ。


「……スズ……」


「わけのわからない連中をいきなり信じろと言うほうが間違ってるよ。お腹を満たし、安全だと教えるほうが手っ取り早いよ」


 どんな扱いを受けたか知らないけど、人を信じられないくらいの扱いを受けたのは脅える獣人っ子を見れば推察できる。


 なら、無機質に相手させたほうがよろしいでしょう。よー知らんけど。


 セラピストでもなければ精神科の医者でもない。被害者の扱いなど知るワケもないっしょ。無茶言うな、である。


「なにより、ケダモノを調教しなくちゃならないからね。幼気な子には見せられないよ」


 オレも幼気な年齢だけど、年齢を主張しても鼻で笑われるだけ。黙っておきましょう、だ。


「そうだな」


 ジェスの黒い笑みに、オレは可愛らしい笑みで答えた。


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[一言] ケダモノを調教してペットに( ˘ω˘ )
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