180 聖なる魔法
レベル1以下の雑魚をレベル10の強者が狩る。
RPGならクソゲーに入るだろうが、無双ゲームなら……おもしろいか? ただの作業ゲームになると思うんだがな。
つーか、以前と同じくオレの出番がまるでナッシング。現実もクソである。
「しかし、なんでこんなところにゾンビがいるんだろうな?」
この世界はなんでもありだし、いても不思議ではないけど、これまでゾンビがいるなんて聞いたことない。
それに村一つ滅びたらその噂は近隣の町に伝わるはず。なのに、ここに来る前によった町ではなにも聞かなかった。
>っと鑑定。悪霊による憑依。聖なる魔法で消滅可能。
「聖なる魔法? そんなのあるんだ」
属性魔法があるのはわかってたけど、聖なる魔法は知らんかった。いや、以前、かーちゃんの客に僧侶がいたな。いや、あれは確か光の魔法だったな。どう言うことだ?
「聖なる魔法は神の祝福を持った者が使えるもので、光の魔法は一般人でも使える魔法ね」
「神の祝福? それ、世界で何人いんだよ?」
まさかオレらだけだったらゾンビパニックまっしぐらじゃねーか。
「それは言えないわ」
禁則事項ってか? ケッ!
また、>っと鑑定。
「カイヘンベルクのときとは違うのか。となると人によって効果は違って来るのかな?」
カイヘンベルクはウイルスでここのは悪霊か。いったいどんな能力なんだよ? それこそチートじゃねーか。
「イビス! 自分が出した銃で撃ってみて!」
オレたちの能力が神の祝福ならゾンビにも効果があると言うこと。そして、これまで出した銃には神の祝福があるってことだ。
「オーライ!」
オレの創ったショットガンから自分の能力で出したショットガンへと変えてゾンビの頭をぶっ飛ばす。
「……効果あり、だな……」
>っと鑑定しながら見てると、悪霊は退散されました。
「嫌な感じだ」
この能力で生きてられるが、この能力に苦しめられてるのも事実。まったく、クソな人生だ。
「こいつはいい!」
と、イビスちゃんが歓喜し、ショットガンから水平二連式の……ショットガン? へと代えた。
……なんでわざわざ二発しか撃てないものに代えるんだ……?
まあ、イビスの能力は銃を出すこと(一応、そうなってる)。撃ったらすぐに出せるから問題はないだろうけどさ~。
「サイコー!」
サイコーと言うよりサイコなイビスちゃん。この世界を楽しんでいて羨ましいよ。
もうやる気も失せて、二人の邪魔にならないところまで下がってティータイム。あーココアが美味しい~。
「……リンは世界を舐めて羨ましいわ……」
こんな苦くて不味い世界など舐めるか。お腹壊しちゃうわ。
地獄の黙示録的な光景を眺めていると、なにやら揺れが? 地震か? 火山爆発か? 本当に黙示録が始まるのか?
地震大国に生まれた者には震度三か四くらいで慌てたりしない。まあ、さすがに震度七ならざわつくけどよ。
「ボス!」
「スズ!」
地震を知らない二人の慌てっぷりがおもしろい。いや、それは二人に失礼か。家屋を壊して現れるスカルなドラゴンさんにカップを落としてしまったのだからな……。
「……ティラウスか……?」
スカルなドラゴンをよくよく見れば、形がティラウスに似ていた。
「ガァガァァアァァァッ!」
肉がないのに叫べるとはこれ如何に? 誰かその心を教えておくんなまし~。
「ほんと、舐めた子よね」
だから舐めてませんって。なら、君をペロペロしちゃう! と言うヤツは4ね! 速やかに現世から去りやがれ!
「ってか、ティラウスをスケルトンにしてなんの意味があるんだろうね?」
その必要性がまったくわからない。
「なにか吐くんじゃない? 毒とか呪いとか?」
悪霊だからか?
「神の祝福に効果ある?」
「う~ん。効かない、かな? まあ、相当強いなら効くかもしれないけど」
だよな~。効くんなら最初からやってるはず。もし効くならオレたちも神の祝福を撒き散らすわ。
「ボス。あそこ」
と、イビスが指差す方向に黒いローブを纏った男が宙に浮いていた。イリュージョンか?
「……神の使徒か……?」
それで邪神の使徒と語っているようなもの。つまり、雑魚ってことだ。
「ボクたちはウェルヴィーア教の者だ! 邪神の野望を打ち砕くために旅をしている!」
と、宣伝しておきます。観客がいるかもしれないからな。
「ウェルヴィーアだと? あの憎き神の名を騙るか!」
おや。神を憎むとか親近感。友達になれそうだわ。
「スカルティラウス! やれ! 憎き神の信者を殺せ!」
ヤダ。オレの勘違いでした。
「おもしろい! ジェス、やるぜ!」
「ああ!」
はぁ~。肉体言語が好きなヤツばかりだぜ。
新しいカップを出してココアを注ぎ、熱いバトルを観戦する。ガンバレー!




