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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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161 魔女

「初めまして」


 真っ先に来たのは魔法使いのばーちゃんだ。


 いや、魔法使いと言ってるけど、それっぽいローブと杖を持っているからそう言ってるまでだ。


「初めまして」


 ばーちゃんの目を見て返した。


「わたしは、魔法教義会所属のバンダル・ダイグと申します」


 バンダル? どこかで聞いたことがある名前だな? どこでだったっけ?


「魔法教義会?」


 そんなのあるの? 初めて聞いたわ。いや、知らないことばかりだけどさ。


「おや、知らないかい? 初代様が魔法を極めるための集まりさ」


 初代様、ね。なにか転生者がかかわっている臭いがプンプンするぜ。


「魔法は世に浸透した技術?」


 これまで当たり前のように魔法を使って来たが、それはオリジナル。反則な魔法だ。一般的な魔法には触れて来なかった。余裕もなかったし、興味もなかったからだ。


 だが、触れる機会があるなら触れておきたい。この世界の者は誰でも魔力を持っている。なら、利用しない手はない。どう使うかはまだ考えてないけど。


「まあ、簡単な魔法なら子どもでも使えるけど、それなりの魔法となると極一部の者しか使えないね」


 つまり、技術職みたいなものか。


「魔法を学べるところはあるの?」


 贅沢を言うなら教師を派遣して教えて欲しいでござる。


「あんたは、いや、リン様は、魔法に偏見はないのかい?」


「魔法ならリンも使ってるけど?」


 オレは使えるならなんでも使う。つまらない偏見など生きるのに邪魔だわ。


「……リン様が魔女だったらね……」


 魔女は迫害されてるのか?


「必要ならリンは魔女でも使う。そちらも必要ならリンを使えばいい。リンは協力って言葉を知っている」


 協力と書いて利用と読むのは内緒だけど。


「ふふ。爺が気に入るワケだ」


「リンも気に入ってる。人の扱いに長け、世の中をよく知っているから」


 人を相手にするなら人付き合いに長けた者と仲良くしたい。特に政治家とは、ね。


「ウェルヴィーア教は自由を認める。技術発展も認める。経済を認める。戦うことを認める。人を認める。ただし、ケダモノは別。絶対に認めない」


 宗教を利用するが、宗教国家にするつもりはない。これは人としての矜持。神なんぞに頼る社会にしてやるものか!


「……それは……」


「聖都グランディールは魔法教義会を歓迎する。ともに人を育む世界を築きましょう」


 魔法教義会がどれほどの規模はわからない。が、ここに来れるだけの力はあるのは確かだ。なら、引き込むしかないじゃな~い。オレはオレのためになる者を歓迎するぜ。


「ともに歩み、ともに人を育むために世界を築くことをお約束します」


 片膝を折り、両腕を胸の前でクロスさせて頭を下げた。


 魔法教義会の挨拶なのかな? まあ、ともにと言うならこちらこそ、だ。


 手のひらの創造魔法で白いマントを創り出す。


「ウェルヴィーア教からの友好の印。それを纏いし者を聖都グランディールへ送って。ハピネスにいい場所を与えるよう伝えるから」


「はい。必ず送ります」


 ハイ、魔法教義会を味方につけました~。


 バンダルが下がると、入れ違うように商人っぽいじーさまがやって来た。


「お初にお目にかかります。わたしは、ローグエル商会代表、バルジーヌ・ローグエルと申します」


「よろしく」


「ローグエル商会はリン様のお力になりたいと考えております。是非とも我が商会にご協力させていただきたい」


 なんともストレートに来たな。もっと遠回しに来ると思ったのに。


「ウェルヴィーア教の信徒となるなら聖都グランディールに入ることを許可する」


 聖都グランディールは信徒の都市。信徒でなければ入れる気はない。邪神の使徒に入られたくないからな。


「はい。ローグエル商会はウェルヴィーア教を信じ、あなた様と信徒の皆様とともに歩むことを誓います」


「あなたのような人が力になってくれて助かる。あなたの胸の奥にあるその思いを大事にするといい。それがあなたの矜持なのだから」


 なんて、わかったふうに言ったが、人の心の内などわかるワケがない。だが、求めるものがあるからオレの前に現れたのはわかる。


 強欲は人の力だ。それを否定しても始まらない。なら、その強欲を利用するまで。敵はもっと強欲なんだからな。


「ふふ。リン様は心を覗けるのですかな?」


「リンはあなたらのような人のほうが好き。とても人らしいから」


 オレは聖人君子よりこう言う強欲なヤツのほうが信じられるし、味方にしたい。だって損得勘定ができるんだもの。


「ははっ。この歳になってこんな情熱的な告白を受けるとは思いませんでしたよ」


「いくつになっても熱い心を持った男は格好いい」


 体は女でも心はまだ男だ。こんな男を格好いいと思える気持ちだって残ってる。


「…………」


 なにかを言おうとして、飲み込み、バンダルと同じく胸の前で腕をクロスさせて頭を下げた。


「この命尽きるまでこの情熱を燃やすと誓います」


「あなたの人生に祝福あれ」


 商人の支持はいくらあっても困らない。自由貿易都市群をウェルヴィーア教が仕切るのだからな。


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[一言] 着々と人脈形成( ˘ω˘ )
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