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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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131 総力戦

 生き残った傭兵は多かったが、指揮官クラスや英雄(笑)はお亡くなりになったようだ。


 ……三割減、って感じかな……?


 オレ、この世界の人間を結構ナメてたかもな。想像以上に生命力に溢れてるわ。


「……まさかこんなことになるなんて……」


 項垂れる孫。ショックなのはわかるが、それを押し殺して現実を見やがれや。


「すぐに命令系統を直して。次が来る前に」


「な、なにが来ると言うんだ!?」


「それがわかるなら急いでない。わからないから命令系統を直せと言っている」


 さすがに手のひらの創造魔法でも未来視はできない。十秒先を見てやろうとしたらその日の魔力が一秒でなくなった。未来視、鬼畜すぎるわ!


「ハリュシュ。遊撃隊を集結させて」


 オレらではなく、ついて来たいと言った連中ね。


「わかったわ。すぐに呼びよせるわ!」


 遊撃隊はいくつかの小隊に分かれて散っている。集結には時間はかかるだろうが、少しでも増やしておきたい。なにか起こる前にな。


「こ、ここは、退避したほうがよいのでは……」


 怖じ気づく孫にため息が漏れる。


 じーちゃんの切り開いた道を辿り、のうのうと生きて来た、とまではいかないまでも苦難や困難、正念場を乗り越えて来たことはほとんどないのだろう。それは今の言葉が証明している。


「退避してどうするの? 時間を稼げばこの状況を覆せるの? 敵はそれまで待ってくれるの? なにもわからないこの状況で?」


 ふざけんなと叫びたいのをグッと堪える。


「逃げたいのなら勝手にすればいい。リンたちは依頼を全うする」


 命は大事だ。守りたいと思うのも当然だ。否定するつもりはない。それどころかオレも同じ。気が合うね~とも思うわ。だが、それに行動が伴わなければ意味はない。弱者の悲鳴だ。強者の耳にも届かんわ。


「──す、すまない。情けないことを言った」


 甘いところはあるがバカではないのが救いだな。ここで逃げても人生終わるってことを想像できるんだからな。


「それは行動で示して」

 

 口を動かす前に手を動かす。おねーさん(笑)からの教育だ。


「あなたが新たな指揮官。傭兵を指揮して。リンが支える」


 オレの都合の良いように、だけど。


 孫が連れて来た陣営や傭兵団は無事なので、アルガ峠下(都市側)に陣を敷かせるよう進言してやらせる。


 その間にバウヘン峠へと意識を飛ばした。


 万能偵察ポッドで辺りを探ると、こちらも結構傭兵が残っている。が、統制は取れてない感じ。こりゃダメだな。


「ガイオーグ。前進して。遊撃隊をそちらに回す」


 その場にいたら足を引っ張られる。なら先に進ませたほうがマシだ。


「あ、おそらく戦奴を出すと思うから奪っておいて」


 自分たちが逃げるために時間稼ぎに使うだろう。なら、ありがたくいただきます。


「ああ、任せろ!」


 頼もしすぎて惚れちゃいそう。いや、ウソだけど。


 意識を戻し、オレも隊を編成。災害竜へと向かった。


 と、空気を揺るがすような唸り──いや、絶叫か? 余りの凄まじさにシルバーの足が止まってしまった。


 まだ残っていた蒸気まで吹き飛ばされ、視界がクリアになる。


「……マジかよ……」


 グランディールの槍と野望に横っ腹を食われ、上半身と下半身に分かれたにもかかわらず、両腕で起き上がっていた。


 生きてることにビックリだが、それでも元気に絶叫しているのには呆れてしまう。どんだけ生命力に溢れてんだよ。素直に死んどけや。


 絶叫しながら両腕を足にして前進し始める。アレを放つ気か!?


 シルバーに喝を入れて警戒して射線上から外れるが、四歩ほど進んだかと思ったら突然停止。なんや? と思ったら倒れてしまった。


 倒れたことにより土煙が立ってまた視界が奪われる。


「ジェス、退いて!」


 災害竜のことを聞いてから嫌な予感ばかりしていたが、今は吐きそうでなにも感じなくなってる。


「リン様! 逃げてください!」


 ジェスからの緊迫した叫びが万能偵察ポッドから発せられる。


 ジェスが叫びに答え、一旦災害竜から距離を取る。


「……鳴き声……?」


 横にいるハリュシュが呟く。


 オレには聞こえないが、エルフは耳がいい。他のエルフも鳴き声とやらが耳に届いて訝しんでる。


「……複数いるわね……」


「あ、ああ。十や二十ではないな……」


 土煙が徐々に収まっていき、オレの耳にも鳴き声とやらが届いて来た。


 ……ヤダ。おしっこ漏れちゃいそう……。


 まあ、漏らしたところで大丈夫な魔法のおパンツを履いている。なのに全身から滝のように汗が流れてしまう。上の下着は普通のものなのに……。 


「……そんな、ウソでしょう……」


 災害竜がいた場所から現れたものに驚愕の声を上げるハリュシュ。声を出せただけ立派である。オレなんて現実逃避しそうな意識を止めておくので精一杯だわ……。


 現れたそれは辺りを見回したあと、空気をいっぱいに吸ったかと思ったら凄まじいほどの咆哮を放った。


 震える左手をなんとか動かして左目に>っとかざして鑑定する。


「……ティラウス……」


 そこはティラノサウルスにしとけよと突っ込みしかけたが、頭に二本の角を生やし、火を吹いてたら同じにもできないわな~とも思えてしまった。


 と、空に閃光弾がいくつも花開いた。


 って、茫然自失してんじゃねーよ、オレ!


「全員、吶喊(とっかん)!」 

 

 総力戦じゃボケがぁぁっ!!


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― 新着の感想 ―
[一言] 下半身から滝のような"汗"出なくてよかったね
[気になる点] はぇ~…保育器兼糧 育成スペースなので邪神の揺り籠なんすね… モンスター単体でも数倒せばレベルアップするけど揺り籠壊すと一気にレベルアップするのも頷けるし、揺り籠から大量に出てきたり放…
[一言] 災害竜自体が巨大な揺り籠なのかそれともカマキリの玉子みたいなものだったのか 表面まで高温だったし玉子だったのかな?
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