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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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124 ブラッディーカーニバル

 次の日の夕方、孫が元戦奴と保護された人たちを百数十人連れて来た。その速さを報酬に活かしてもらいたいもんだ。


「すまない。本当なら明日にしたかったんだが、収容所がいっぱいになったんでな」


 人、思いの外いるようです。つーか、冬になってから連れて来んなや。


「怪我人病人栄養失調。嫌がらせ?」


 よく連れて来たなと思うよ。バカなの?


「……すまない。しょうがなくて……」


 浮気男みたいなこと言ってんじゃねーよ。いっぱしの男なら解決してから連れて来いってんだ。


「ネイリー。お願い」


「わかった。皆、やるわよ」


 ネイリーはグランディール傭兵団に所属してない女衆を纏めてもらってる。もちろん、グランディール傭兵団に所属している女衆はオバチャンたちに丸投げしてます。


「……すまない……」


 ほんと、こいつ切ってやろうかと思ったが、借りを返してもらってないと無理矢理心を落ち着かせた。


 孫は無視して連れて来られた人たちを広場に移動させる。


 連れて来られた人たちは広場へと移動させ、怪我人、病人、栄養失調の三つに分ける。


 物のように詰め込んで来た馬車は問答無用で薪にしてやり暖を取らせる。つーか、食料も持って来ないのかよ。孫、お前はそんなことにも頭が回らないのか?


 栄養失調な者は胃に優しいスープと柔らかいパンを与え、怪我人は回復薬を飲ませ、病人はオレの手のひらの創造魔法で治療させる。


 言葉にしたらそれだけだが、やるとなると丸一日費やすことになり、丸一日の創造(製造か?)が潰れてしまった。ほんと、クソが!


「リン様。テントにも収まらないです」


 ネイリーからの報告にため息が漏れてしまう。


 受け入れ準備はしていたが、数ヶ月で百数十人を受け入れられるほど進んではいない。なんとか五十人が精一杯。テントも五十数人で満杯。四十人強が野ざらしだった。


「はぁ~」


 出したくもないため息が出てしまう。


 ただでさえ用意することはあるのに解決できないほどの問題を割り込ませやがって。オレの手は無限に出せる打出の小槌じゃねーんだよ!


 ……いい加減にしねーとオレは邪神側に寝返るぞ……。


 なんて軽率なこともできるワケもなし。立場が変わろうと苦労は変わらないだろう。いや、邪神側が苦労が多いな。反社会派など……いや、明言は避けておこう。怖いから。


「交代で寝泊まりさせて。食事は欠かせないで」


 雪を溶かす石は撒いてあるし、暖房の魔道具もある。よほどの寒さじゃなければ凍死はしないだろう。


「至急、家を造らせて」


 無茶振りで申し訳ないが、造らないワケにはいかない。受け入れた責任があり、大義名分を失うワケにもいかない。苦労は別のことで補わせていただきます。


「任せておきな!」


 建築担当のドワーフ隊が頼もしい。仕事終わりにお酒を出すから頑張って。


 家は任せるとして元気になった者の処遇である。


 連れて来られた者らは百四十八人。男は百六人。女は四十二人だ。人数と男女別だけを見れば戦力や働き手が増えたと思うが、戦奴として扱われた者は四肢が欠損してたり目や耳がなかったりと即戦力となるのは十数人。乳飲み子や子どもとこめかみが痛くなる。


 女も女で五体満足な者は数人だけ。年寄りや子どもばかり。胃薬をダース単位で飲みたくなるぜ。


 お荷物。なんて言葉が脳裏をよぎる。捨てたいと口から出たくなる。


「……リン様……」


 各隊の隊長と主要メンバーともに処遇を決めてると、オレの表情を見てジェスが呟く。


 長い付き合いだけにオレがイライラしてることに気がついたのだろう。オレもまだまだやね。


「見捨てるつもりはない」


 ここで見捨てたらこれまでの苦労が水の泡。なにを失っても信頼だけは失ってはいけないのだ。


 ……まだ戦いは続くんだ、こんなところで躓いてらんねーんだよ……。


「魔物退治は一旦中止。仮でもいいから家を建てることに集中して」


 まずは冬を乗り切ることを考えよう。災害竜さえなんとかすれば楽になるんだからよ。


「ねーとミューリーはうちの周囲の警戒。イビスは各地を回って暴れて来て。なるべく派手に」


「お任せあれ! これでもかと派手に暴れてみせるさ!」


 なにか天使にでも成りそうに輝くイビスちゃん。昇天しないでね。


「フフ。ブラッディカーニバルだ」


 あ、うん、そうですか。ステキなカーニバルを存分に楽しんで来てくださいませ。


 エンジェルスマイルで去るイビスにグッドラックと敬礼して見送った。


「あたしも暴れたかったな~」


「ねーたちは災害竜対策に魔力を貯めて」


「必要なの?」


「わからない。けど、備えはいくらあっても困らない」


 対抗策が百あったとしても安心はできない。敵は災害なのだからな。


「わかったよ。魔力を貯めるよ」


 ねーちゃんとミューリーには光の指輪改と爆雷の指輪を渡してある。光の指輪改は満タンにすれば三十回は撃て爆雷の指輪はイ○ナズンを五十回は放てる。なので頑張って貯めてください。


「各自の奮闘に期待する」


 はぁ~。魔力回復ココアを飲む量がまた増えるぜ……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 孫ぇ・・・不用意に借り作ると後が怖いぞぉ 今は爺ちゃんいるから何とかなってるけど、独り立ちした時ちゃんと役に立つのか不安である
[良い点] イビスちゃんマジ天使 [一言] そのうちビール腹ならぬココア腹になりそうだよね(゜ω゜)
[気になる点] 欠損戦奴でも魔力タンクにはなるし暫く魔石係かな
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