牛乳
昨夜は全然眠れなかった。
放課後、僕の体に刻みつけられたあの感触。
膝をついた彼女の熱い吐息と、濡れた唇の感触が、頭から離れない。
風呂に入るのすら、もったいなく思えた。
下腹部に残る吉野さんの甘い匂いと湿り気を、愛おしむようにそっと手のひらですくい取る。
それを顔に近づけ、深く息を吸い込んだ。
指先から鼻腔へと抜けていく微かな唾液の匂いに、脳が痺れるような錯覚を覚える。
僕はその熱を抱えたまま、一晩中妄想に身を沈めていた。
初めて、女の子に触れられた――。
それも、学校中の男子が憧れるレベルの、とびきり可愛い女の子に。
このまま誰とも付き合えずに終わると思っていた腐男子の僕が、あり得ない形で彼女の「秘密」を握ってしまった。
学校に来ても、授業なんて全く頭に入らない。
終業のチャイムが鳴っていたことすら気づかなかった。
ふと窓の外を見ると、陽の当たる中庭で、陽キャグループが賑やかにお弁当を広げている。
その輪の端っこに、吉野さんが座っていた。
(もう昼休みか……)
立ち上がろうとした瞬間、吉野さんがスッと顔を上げ、僕に目を合わせた。
逃げ場のない視線。
ドクン、と心臓が大きく跳ねる。
吉野さんは僕を見上げたまま、口元だけで意味深に微笑んだ。
手にした紙パックの牛乳にゆっくりとストローを挿す。
そして、僕から目を逸らさないまま、赤く熟した唇で、しなやかにストローを咥え込んだ。
ごく、ごく、と細い首筋が揺れる。
喉元が動くたび、なんだか僕の喉まで渇いていく気がした。
そのとき、白い一滴が彼女の唇の端から溢れ、顎へと伝い落ちた。
口元に垂れた白い液体を、いっさい拭おうともせず、吉野さんは僕をじっと見つめ返す。
そして、中指の腹でそれをすくい取ると、視線を絡ませたまま、指の根元から深く、ゆっくりと舐め上げた。
(っ……!)
昨日の放課後の記憶が、一気に脳裏に蘇る。
僕の足元で跪き、荒い息を吐いていた吉野さん。
あの柔らかく湿った皮膚の感触と、甘い熱気。
頭がクラクラして、立っていられなくなりそうだった。
ふと机の上に目を落とすと、いつの間にか小さなメモ用紙が置かれているのに気づく。
『体育倉庫 よしの』
走り書きの文字を見た瞬間、胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
読んでくださってありがとうございます。
レイティングギリギリを攻めた小説を書きたくなりました。
上手くいくか分かりませんが、やってみます♡
危なそうだったら、是非教えてください。
よろしくお願いします。




