交錯
僕は全身をガタガタと震わせていた。
——霧山に見られたかもしれない。
「吉野さん……ごめんなさい」
「……いいの」
吉野さんは揺れる瞳で僕を見上げ、小さく笑った。
「あなたは、私の理想のご主人様です。それがいま分かって、すごく嬉しい……」
吉野さんはそのまま身を崩すと、僕の膝に顔を埋め、しがみつくように腰を抱きかかえてきた。
「感じる? ……私の身体が、こんなに震えている」
「……すごい。……震えてる」
ガクガクと小刻みに振動を繰り返す吉野さんの身体を、僕は倒れないよう支え、抱き上げた。
「僕……ご主人様なんてやれないよ。……さっきのだけで、精いっぱいなんだ。虚勢を張って、君を追い詰めたけど、ほら……」
震える指先を、吉野さんの目の前に突き出した。
「……すごい。脈打ってるみたい。ドクン、ドクン……って。もしかして……」
吉野さんは細い右手を伸ばし、僕の熱くなった場所を布地越しにまさぐった。
「ほら……ここも。連動してる」
そして再び僕の膝に顔を埋め、今度はその一番奥まで深々と鼻先を伸ばした。
「……すごい。男の子の匂いがする。もしかして……私に興奮してくれたの? だったら、すごく嬉しいな」
その熱い場所に生温かい唇を触れさせながら、彼女は愛おしそうに喋り続ける。
「私を飼ってくれるなら、名前をつけて……」
「なまえ……?」
「私の魂を、そこへ縛り付けて欲しいの」
「どうして……僕なんかに……」
「お願い」
「僕じゃ、力不足だよ!」
「そんなことないわ!」
「それこそ、さっきの霧山に頼めばいいじゃないか! ずっと憧れていたんだろ!?」
「えっ?」
吉野さんの目は、驚いたように瞬いた。
「……だって君は、教室で……霧山の椅子を…………舐めてたじゃないか!」
必死に叫んだ僕の言葉に、吉野さんは一瞬だけ呆けたように目を丸くする。
そして——
どこか愛おしそうな、狂気すら孕んだ笑みを浮かべる。
「……違うわ」
吉野さんはくすりと笑った。
「覚えているでしょ? あのとき私が舐めていたのは……」
吉野さんの唇が、僕の口に触れていた。
瞳はほんの数センチ先。
その瞳と視線を合わせ、微動だにできずにいた。
甘ったるい吐息が、鼻の中と、僅かばかり開いた口中に注がれていく。
「あなたの椅子だったじゃない……」
そして熱い舌先を差し込みながら、僕の首元をぐっと抱え、僕の舌を吸い上げた。
ピチャピチャと卑猥な音が耳の中を暴れ回る。
倒錯が交錯する淫靡な空間に、僕の魂は空中浮遊していた――。
夕暮れの影が、深く濃く沈んでいた。
二人の影が闇に溶けていく。
書くのがすごく楽しい!
私はSかな?Mかな?
……なんて、
考えながら書いてます。
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