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クロエ・リラ・シリウスの記録  作者: 白毬りりま


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23/31

23.慣習

 シリウス辺境伯家には代々伝わる慣習がいくつかある。


 たとえば、貴族らしく、領民への振る舞いで決まった時期に祭りを開くこと。

 たとえば、いつの間にか定められていた掟を周知させ、守り続けること。


 その中のひとつ。

 年に一度、当主手ずから六棟ある宝物庫の掃除を行うというのは、特異な慣習かもしれない。




 *****




 宝物庫の掃除に、今年からはわたくしも参加することになった。

 慣習に関わるようになると、否が応でもわたくしがシリウス辺境伯位を継ぐのだというのを実感させられる。


 この為に、わたくしとラウラは少し前から毎日念入りに体操ををした。

 だって去年、うっかりお父様の腰が悲惨な目に遭いそうになったらしいもの。この年でぎっくりなんて嫌すぎる。

 作業服もちゃんと用意して、埃避けで髪も纏めて布で覆った。


 宝物庫は今まで立ち入り禁止だったから、色々なものがあって楽しかった。

 特に初代シリウス辺境伯が大戦時に揮っていたとされる剣とか。当たり前なのだけれど、広間の肖像画と全く同じで吃驚。


 どうして七百年前のものがほとんど劣化なく存在しているのかと思ったら、宝物庫全体に時間停滞の魔法がかけられていた。

 時期ではないのに新鮮な紅涙林檎が出て来るのも、宝物庫の一角に保存しているからなのだとか。

 武人として名高い初代は魔法使いでもあったとは聞いていたけれど、魔法って凄いのね。


 使用人たちが手伝ってくれるとは言え、普段掃除すらしないから流石に疲れた。

 これがあと半月は続くというのだから、暫くは早めに休むようにしよう。




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