エピソード10:新人が先輩方に馴染むにはどうしたらいいか / 3
柚木に「ホーム」の説明をしたあと、真珠はトレード画面を開き、柚木にウィンドウの表示を求めた。一体、何かと思えば「塊の塊」というアイテムがトレード画面に表示される。真珠は言う。それでステータス上げて、盾やって、と。いや、まぁ、それはいいんだけど……。柚木はなんと返事をしてよいやら。初めて、彼女に頼られた気がする。
当然、悪い気はしない。でも、いつもというわけではないが、柚木を小馬鹿にしたような態度を取ることが多い真珠に頼られると……戸惑ってしまう。真珠からボイスチャットを申し込まれる。慌てて申請を許可し、吃りながら、柚木は真珠に挨拶をする。ここ、こんにちは、ゆみポさん!と。真珠に小馬鹿にしたように笑われる。
ゆみポ<何を吃ってんの?いつも喋ってんじゃん>
深雪<いや、あの……2人だけって、凄く珍しいからっ>
ゆみポ<いいから奥行くよ。あんたが防御、あたしが攻撃。あたしが万が一、タゲられて死んだら、これで蘇生して>
もう1度、トレード画面を表示する。そこに、蘇生アイテムの1つである、メリロコロンの御実を入れる。特に蘇生後のステータス付与などは無いが、1番入手しやすい蘇生アイテムではある。ソロプレイをしていると、使う機会はそうそう無いが。自分自身に使うことは出来ないからだ。行き倒れのプレイヤーに使うほどお人好しではないし。
何故、真珠は「深雪」を蘇生したのか。それは、単なる気まぐれというより、こういった素材集めに巻き込む為だった。巳茶の為だ。あの人が1番、きのきょで危うい精神の持ち主だ。hitoやkanapoも察してはいるだろう。ただ、何かする術を持ち合わせていないから何も出来ないだけで、何かしたいとは思っているはずだ。
ゆみポ<ここ、人多いわね。あたしがあんたと同レベの時は、ガラッガラだったわよ?>
深雪<ネットに穴場だって書いてあったから、人気出ちゃったのかな?>
ゆみポ<まぁ、あんたみたいな本物の初心者じゃない限り、レベリングの場所としては向いているけどね。あぁ、あのヤドカリもどき、強いから手は出さないで>
……出しちゃいました、さっき。真珠が強いといって忠告してくるくらいだ、本当に強いのだろう。それはまぁ、戦闘不能にもなる。防具も初期装備からほとんど変わっていない状態で挑んだし。さて、狩りの開始だ。塊の塊を使用すると「深雪」のステータスの防御の数値は跳ね上がった。これなら、ヤドカリもどきにも……いや、やめておこう。
そして、狩りを開始して30分。真珠の求める素材の数は揃ったようだった。洞窟のかなり奥地まで進んでしまったので、帰りは真珠のワープアイテムで街まで送って貰った。サービスね、と言って、塊の塊も1つくれた。やっぱり、優しいんだろうな。これで真珠とのパーティは解散、かと思ったら、思わぬ誘いを受けた。
──どうせ引きこもりで暇なんでしょ?あたしの話に付き合ってよ。……まぁ、時間ならいくらでもあるけれど。真珠はホーム同様のエリア<鳥籠>へ柚木を招いた。




