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54 微風

よろしくお願いします。



 城の前に立つと静かに桟橋が降ろされる。

エリオットが念動力を使い、内側の兵士達の力など借りずに桟橋を動かす。

パステルナーク達は降ろされた桟橋を渡り、城門へと向かう。

桟橋が降り始めた時、門番の兵士達は何事が起こったのかとざわめいたが、それでも四人を見ても驚いたのは束の間で、なすすべももなく、また地面に向かって顔を伏せた姿勢に戻っているばかりである。

 

 四人が桟橋を渡ると城の兵士達が静かに首を垂れていた。

兵士達は皆、それぞれの顔に疲弊が現れていた。

風の者達がやって来て、ブランジャンと戦い敗れた事を知っていた。

桟橋を渡り現れた四人が風の者かどうかは分からない。

桟橋が勝手に降りたとは思わないが、何かの力が働いたのかどうかも考えようとは思わない。

どうでも良い出来事のようだ。


 既に兵士たちは知っていた。

そして、自分達の家族の貧しさを思い出していた。

亡くなった王が全ての執政をブランジャンに任せ、国は以前の活気を失い、民は貧富の差に喘ぎ、疫病が流行り出して、民だけではなく国そのものが病魔に襲われていることを。


 知らぬはブランジャンに首をねられた王のみであった。


 そして次になる王も。


 然し、一部の兵士達は、パステルナーク達を見て、風の者である事を悟った。

一度敗れた風の者達が戻ってきた。

そこには言い知れぬ期待と不安があった。


 次はブランジャンを倒せるのか?

兵士達は知らない。

表舞台に立っているブランジャンが最悪の根源であると信じている。

勿論、この強欲な側近が妖魔であることまでは知らない。

そしてポーの存在も。


 兵士達は、ただ頭を下げて、カロッサの風の者達を見送っている。


 期待と不安の中、そこにしか頼れるものはないという諦めにも近い思いの中に、僅かな希望を込めて、桟橋を渡り城へと入っていく風の者達を見送っている。

ありがとうございました。

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