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49 陽動

よろしくお願いします。



 エリオットが地上に降り立つと、続けて空中へ飛んだ三体のうちの最後の一体の妖魔も地上に現れる。

妖魔に疲れは見られないが、さすがに三体の妖魔を一人で相手にしていた復活したばかりのエリオットは肩で息をしている。


 援護とばかりに、風の者三人の放ったクノーが何十本も空中を舞う。

妖魔は、そのクノーを軽く爪で払う。

残りのクノーは体の鱗に当たるがままに任せている。

妖魔は膝をついていた地面から立ち上がり一気にエリオットを襲う。


 それを見ていたベディエが破邪の剣を上段に構え、妖魔へと大地を蹴る。


 ブランシュは、クノーを三本握りしめ、大きく肩の上まで振り上げる。


 妖魔がエリオットの前まで接近してきた時に、エリオットの姿が霧のように消えようとしている。


 ベディエ、その瞬間に間に合わない。


 ブランシュの放ったクノーが妖魔を越えて彼方へ飛び去る。

それは、そこに、既に妖魔の姿が無かったからである。


 そして、その場で全員が見たものは・・・。


 見えるのはエリオット一人、爆裂した妖魔の血飛沫を浴びて片膝をついている。

瞬間の爆裂であった。

迫ってきた妖魔に、持っていたクノーを直接右手で突き刺し、それと共に既に念動力が加わっているクノーへ、更に加念した瞬時の爆裂であった。


 エリオットは何事もなかったかのように念動力の爆発で捻じ曲がったクノーを拾い上げると、ゆっくりと立ち上がる。


「これくらいのことで私が疲れを見せるとでも思っていたのか。馬鹿な奴だ」


 エリオットは最早、肩で息などしていない。

静かに捻じ曲がったクノーを放り投げると、


「エリオット」


 と呼ぶ声が聞こえる。

イズーの幼い声だ。


「陽動に引っ掛かるとは、自殺行為と変わらないな」


 そう言いながら、声のしたほうへ首を回すと、それに答えて、「エリオット」と呼んだ少女が言う、


「そうじゃないの、私の出番が無かったのよ」


 イズーが悔しそうな顔をして立っていた。

ありがとうございました。

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