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44 行ってはいけない場所

よろしくお願いします。



 ロルカは男から離れると、岩山を目指して走り出した。

あの懐かしい香りに近づいているのがよく分かる。

どう言う訳か、念動力を使わなくとも、風の術を使わなくとも、思うように早く走れる。

それどころか空も飛べそうな勢いである。


 岩山の裾野に来た時、何人もの人が頂上を目指しているのが見える。

誰も彼もが虚な目をしている。

遠くから見た岩山の頂上から昇っているように見えた白い霧は、全て人であった。

あちこちから、まばらに人が集まって、山を登っている。

その先頭に歩いている者がいる。

懐かしき王女、白いドレスを着て振り返らず真っ直ぐに頂上を目指して歩いている。


「パステルナーク」


 ロルカは大きな声で呼びかけるが、その人は振り返りもしない。


「パステルナーク、そこへ行ってはいけない」


 再度、大声で叫ぶ。


「私を呼び止めるものは何者か」


「私は、ネルーダ王国親衛隊隊長ロルカだ」


 懐かしい声がする。

が、聞き慣れたその声は若き日のロルカそのものだ。


「貴様、我が夫を名乗って我をたぶらかす気か」


「パステルナーク、恐れるでない、私は過去で出会う前のロルカだ」


「黙れ、この妖魔めが、ここまで追ってきたか」


 そう叫ぶとパステルナークは振り返り、風の術で闘おうとするが、果たしてそこには装飾のついた立派な服を着て、腰にも金銀宝石のついた柄を持つ美しい剣を携えた、在りし日の姿でロルカが立っていた。


「パステルナーク、そこへは行くな」

ありがとうございました。

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