42 懐かしい声
よろしくお願いします。
死の山がある。
頂上からは人が天に向かって飛んでいる。
この山を登れば楽になれるのか?
疲れた、もう疲れ果てた、ならば最後の力で、この山を登ってみようか。
然し、ベディエ、ブランシュ、イズー、そして大切な友エリオットは何処にいるのだろうか?
元の姿に戻ったパステルナークは、ドレスの長いスカートを引き摺りながら山を登り始める。
その時、後ろから声を掛ける者がいる。
こんな時に誰だと言うのだ。
パステルナークは構わずに前へと足を踏み出す。
再び声がする。
「私を呼び止めるものは何者か」
「私は、ネルーダ王国親衛隊隊長ロルカだ」
懐かしい声がする。
が、聞き慣れたその声は若き日のロルカそのものだ。
「貴様、我が夫を名乗って我を誑かす気か」
「パステルナーク、恐れるでない、私は未来で出会う前のロルカだ」
「黙れ、この妖魔めが、ここまで追ってきたか」
そう叫ぶとパステルナークは振り返り、風の術で闘おうとするが、果たしてそこには装飾のついた立派な服を着て、腰にも金銀宝石のついた柄を持つ美しい剣を携えた、在りし日の姿でロルカが立っていた。
「パステルナーク、そこへは行くな」
「ロルカか? 本当にロルカなのだな・・・。済まない、私は妖魔に敗れたのだ、エリオットや子供達も・・・。許してくれ」
「未だだ」
「もう駄目だ」
「最愛の妻、パステルナークよ、私達はいつも共に過ごしてきた、戦いの時でもだ。お前が死ぬ時も私は一緒だ」
「もう力がないのだ」
「神殿の森に住む三神を信じよ。お前が、いつも教えてくれた言葉だ。さぁ目を覚ませ、みんな生きている。エリオットもだ。そして、ベディエ、ブランシュとイズーに会うのだ。息子、娘達は、念術に目覚めていないだけだ。あの三人ならポーを討てる。あの子達は神から授かった子なのだ。ベディエはオキツヒコ、これから目覚める力だ。ブランシュはオキツヒメ、目覚めたばかりだ。そしてイズーはオキナカヒコ、既に目覚め、あとは念術を使う機会を待つだけだ。既にその時は来ている。目覚めよ、パステルナーク」
ありがとうございました。




