39 ここまでか
よろしくお願いします。
イズーが頷くと、それを察知したブランシュはクノーを投げる。
イズーの念動力が加わったクノーが空を切るように飛ぶ。
それと同時にブランシュはベディエに向かって叫んでいる。
「お兄様、退いて。とどめよ」
ブランシュの言葉を聞いて、ベディエはキンモの腹部から素早く剣を抜いて飛び退く。
それとほぼ同時に三本のクノーが爆発する。
キンモの遥か前で。
ブランシュの投げたクノーを弾いたのは、キンモの爪よりもはるかに大きい剣。
「ポー、やはり生きていたか!」
パステルナークが悔しげに叫ぶ。
「はて? なんのことかな」
「貴様、それとも再生したか」
「面白い事を言う、そうか、お前はパステルナーク。思い出したぞ、お前の両親の肉は美味かったぞ」
ベディエの両手に包まれている剣が冷たく光り、震えている。
「母さん」
ベディエが呟くと巨大な妖魔が響くような声で言う、
「私はいかにもポー。然し、以前のポーではない」
王を遠くへ避難させたエリオットが再び宙へ舞い、ポー目掛けて念動力を充分に乗せたクノーを放つ。
「どう言う事だ」
パステルナークが叫ぶと同時に、ポーの後頭部でエリオットの投げたクノーの激しい爆発音が聞こえる。
ポーの体が一瞬揺らいだように見えたが、構わずポーは答える。
「私は、再生したのでもなく、生まれ変わったのでもない。お前達が私を産んだのだ。憎しみ、悲しみ、怒り、恨み、呪い、それが私を作るのだ。お前達が私を形成させたのだ」
「黙れ」
そう言いながら床に着地したエリオットが片手を翳す。
ポーがエリオットに振り返る。
エリオットはゆっくりと片手を握りしめる。
ポーの体がゆっくりと静止しだす。
ここぞとばかりにエリオットは一気に手を広げる。
ポーの胸で大きな爆発が起こる。
ポーの足が一歩と引いたように思えたが、エリオットに向かって足が出る。
「それは、破岩術と言うものかな? もし破岩術なら、こういうものを言うのではないか」
剣を持っていない方のポーの手がエリオットに向けられる。
危険を察知したエリオットは瞬足で円を書くように走り出す。
その姿を追いながらポーの手も合わせて動き出す。
今度は背後からベディエがポーの首を狙って高く跳び、水平に剣を振ろうとするが、キンモに阻まれる。
ポーの片手がエリオットに追いついた時、エリオットはこれまでとばかりに観念し、念動力で盾を作る。
ポーの片手が拳を作る。
「その壁は何のつもりだ、役にも立たない盾が最後の悪あがきか」
エリオットはポーの念動力に捕まって身動きが取れない。
「エリオット!」
叫びながら ブランシュがクノーを投げるが、これもキンモによって阻まれる。
ポーが手を広げた刹那、大きな爆発と共にエリオットが念動力の盾ごと後ろへ吹き飛ばされる。
エリオットは壁に打ち付けられ、其処へ念動力で作った盾がエリオットの全身を叩きつける。
エリオットは堪らず、壁から滑るように床に落ちる。
壁にはひび割れが入っている。
床に落ちたエリオットは、目を開けられないでいる。
「これまでか・・・。」
と呟いた。
この戦い、何度この言葉を呟いたことか。
エリオットのクノー、残り数本が床にこぼれ落ちる。
「エリオット!」
ブランシュの声が王の間に響くが、最早エリオットの耳には聞こえていない。
ありがとうございました。




