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34 生まれ変わる国

よろしくお願いします。



 カロッサが国名を改め、ネルーダ王国に代わり、新たな歴史が始まってから、どれくらいの時が流れたであろうか。

既に王は3代目になっている。


 初代王は、風の者達を従え、防衛隊、近衛兵、親衛隊と共に攻め入る国があらば完全に制圧できてきた。

そして、攻め入ってきた隣国を併合し、国は大きく豊かになり国名をカロッサからネルーダに変えたのも此の王の時代である。


 ネルーダは、此の時の王が信仰していた神の名が由来である。

ネルーダは、自然の災害や他国からの侵略に耐え、無事に王位は継承され続け、数々の困難を乗り越えながらも平和を保ってきた。


 そして時代を経て王となったバイロンからの話を始めよう。

バイロンは、初代の王に比べ、体も弱く、武勇伝など一つもない。

が、民のためのまつりごとを丁寧に行い、城下の人々からの信頼を集めていた。

特に王の親友とも片腕とも言われていた親衛隊隊長が失踪してからの数年後は、風の者達とともによく働き、民を思う気持ちはより深くなっていった。

その時の親衛隊隊長は言わずとも知れたロルカ、新生カロッサ王国初代国王を務めた者である。

そのバイロンも長年の王の務めを終え、息子に跡目を継がせる時がやってきた。

その名をモルオルトと言う。


 モルオルトは武勇のものでもなく、叡智を持った者でもなく、然し民のための政治を行ってきた父の政を守っていくには充分な王であった。

つまり、新たな幸をもたらすには不充分な存在であり、改革派ではない、と言うことである。


 モルオルトの政には、誰も不平は言わない。

それは如何に父バイロンの執政が優れていたかの証でもあった。

その平和を保っていけば良い。


 こうしてネルーダ王国は、すべての民に幸せをもたらせていた。

然し、そういう時にこそ、私利私欲に満ちた人物達が現れ、此の幸せを、全ての人々のための幸せを、自分のための幸せに変えていこうとするものである。幸せの独占である。


 勿論、さらに幸をと、民のためにと新たな改革を行うだけの技量を持ち合わせていないモルオルトには、そのような事態が起こっていることなど見通すこともできない。


 丁度、先代の王バイロンが没した後、彼らは動き出した。

武力ではなく、政治家として。


 先頭に立ち、古き側近達を排除していった男がいる。

名をブランジャンという。


 ブランジャンは、先ず、先代の王バイロンが育ててきた側近達を併合した国々に執政に出向かわせた。

また、従わぬ者には、毒を盛って、ゆっくりと死に追いやった。


 邪魔者達がいなくなるとブランジャンは言葉巧みにモルオルトを操り、その最初の仕事が、風の者達の排除であった。

今の此の泰平の世で、風の者は既に不必要である。

それどころか、不必要な者達に民から集めた大切な税を、彼ら風の者たちに支払うのは、民への裏切りに近い。

即刻、解散させ、そこに当てられていた税で商業を発展させ、さらに国を潤わせることが肝要かと思えるとも言った。


 風の者達は、ブランジャンが何者かを見抜いていた。

然し、如何に風の者と言えども、王の命令で動く集団であり、王の命令がなければ動けず、さらに悪いことには、王がブランジャンを信頼しきっていることである。


 ブランジャンの進言通りに全てが行われていった。

そして造られた街は、既に記した通り、パステルナーク達により滅ぼされた華やかな商業都市の事であり、その街の名はフロサンと呼ばれていた。


 ここまで来るのに何十年もかかった。

ブランジャンは何十年もの間、この時を待ち続け、根気よく政治家として働いた。

既に王も年老いて執政から離れようとしている。

王子に政を任せ、引退しようとしている。

この時をブランジャンは、どれだけ待ち侘びたであろうか。

王子が王として執政に入る前に、完全に政を掌握しておきたかったのだ。

ありがとうございました。

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