表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/66

31 噴水広場のポー

よろしくお願いします。



 広場の中心には噴水がある。

その周りを手入れされた木々が囲んでいる。

そして、更にその周りにはさまざまな商店が並び、その向こうには贅を尽くした民家が並ぶ。

既に人々は民家へ逃げ込んでいる。

民家の窓からは太った商人達が窓から戦いを眺めている。

妖魔達が一体一体倒されて行くたびに歯噛みしている。

自分達を裕福にしてくれた妖魔達。

彼らはそれを、神、と呼ぶ。

彼らにとってパステルナーク達は憎き敵である。

そこへ人の何倍もある大きさの妖魔が現れる。

 

「ナニヲ シテイル」


「ポー、現れたか」


 パステルナークが吐き捨てるように言う。

妖魔達が次々と倒されて行く中、堪忍できぬようになったのか、岩山の王、魔界の王、一つ目の王と呼ばれてきたポー現れる。


「ナゼ ワタシノ ナマエヲ シッテイル」


「記憶がないのか?」


 パステルナークが呟く。


「ポー、忘れたとは言わせぬぞ。風の者、エリオットだ」


「ワラワセルナ カゼノモノハ スデニ ホロビタハズ キサマ ナニモノ」


 それを聞いてエリオットがパステルナークを見る。

破邪の剣はしばらく黙していたが、


「エリオット、嘘は妖魔の常套手段、騙されるな。行くぞ、ベディエ。剣を構えなさい」


 ベディエは頷くと剣を青眼に構え、そのまま突進する。

ベディエの背後から何本ものクノーが放たれ、ベディエを追い越してポーに向かって飛んでいく。

エリオットの援護射撃が激しく始まった。


「ベディエ様、気をつけなさい。奴は今まで通りには行きません」


 エリオットの放ったクノーはポーに刺さるが、鱗のような皮膚の表面で止まり、そのまま爆発する。

その度に火煙が上がるが、ポーの動きは止められず、煙の中からゆっくりとパステルナーク達に近付いて来る。


 ベディエは、一瞬の隙をついたつもりで中央公園の石畳を蹴り、空へと飛んだ。

そのまま一気にポーの腹に飛び込むつもりでいたが、パステルナークの念動力が働いた瞬間である。

パステルナークがベディエを宙に浮かせたのだ。

空中でベディエは体制を変えて、剣を前にして頭から突っ込む。

ベディエ、あくまでも隙をついたつもりでしかない。


「コシャク」


 そう言うとポーは黒光する大きな爪で、剣を跳ね返す。

ポーの頭上で火花が散り、勢いよくベディエの体が弾き返された方向へ飛んでいく。

もうすぐで噴水を囲んだ石塀にぶつかるところであったが、すんでのところで別の力に跳ね返される。


「シヌニハ、ハヤイ」


 もう一体の妖魔がベディエの体をもてあそぶように蹴りを入れた。

もう一度、ベディエはポーへと向かって飛んでいく。

自分の意思ではなく。


 そこへ、ポーの前に立ち塞がったエリオットが、飛んで来たベディエを身体全体で受け止め、ベディエを抱いたまま石畳を蹴って、空へと舞い上がる。


 空中で体制を立て直したベディエが、またもや剣を前にして頭から突っ込んで行く。


「ノウナシ オナジテ ツウヨウスルカ」


 然しベディエよりも先にエリオットがポーに近づく。

エリオットが加速して空から落ちる。

念動力を使って、ベディエを追い越して、エリオットが両手に三本づつ持ったクノーを仕掛ける。

ベディエが飛び込んでくるものと思っていた妖魔に隙ができる。

エリオットは、空にいる二人を見上げるポーの顔面に容赦なく合計六本のクノーを放つ。

然し、クノーはポーの顔の前で全て爆発する。

エリオットは落下する方向とは直角に方向を変え飛び去る。

もとよりエリオットは、たかが六本のクノーでポーを仕留めるつもりはない。

エリオット、煙幕を張ったに過ぎない。

その時、爆炎の中から飛び出してくるベディエをポーは見た。

刹那、ベディエの剣がポーの左肩に刺さる。

爆炎から気配を感じたポーは紙一重で頭を右に振り、剣が頭に突き刺さるのを避けた。


「外したか」


 悔しそうにベディエが呟くと、ポーの肩に刺さった剣を重力に任せて、剣を梃子(てこ)のようにし、ポーの肩を(えぐ)るようにして石畳に降り立つ。

ポーの左腕が皮一枚で肩からぶら下がっている。

 

「腕一本、貰った」


 ベディエは微笑みさえ浮かべて大きな声で叫ぶ。


「ベディエ、気を抜いてはいけません」


 剣に引っ張られるようにして、ベディエの体が浮いたかと思うと、後方へと飛んでいく。

先ほどベディエの着地した石畳には、轟音を立てて石畳に突き刺さったポーの右腕から伸びた剣を見る。

ベディエ、母パステルナークによって紙一重でポーの大刀を避けることができた。


 ポーが口惜しそうに言葉を放とうとしたが、その声が大きな呻き声に変わる。

ベディエに切り取られた左腕の付いていた肩に三本のクノーが突き刺さっている。

そして小さく爆発し、肩の傷口から、血飛沫が上がる。


 ブランシュは急いで次のクノーを袋から取り出している。

その横では、鋭くポーを見つめる小さな目。

イズーは少しづつ、破岩の術を自分のものにしつつあるのか。

クノーに込められた念動力がそれを語る。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ