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28 虚を突く

よろしくお願いします。



 ブランシュが言った通り、森での戦いは無かった。

剣と四人は、やっと森を抜けることが出来た。

遥か向こうには、豪奢な建物がひしめき合う街が見える。

活気に満ち溢れているその街は、いかにも美しく栄えている街のようにも見える。

然し、エリオットとパステルナークは、その街の汚さを念通力で感じ取っている。


「パステルナーク様」


とエリオットが声を掛ける。


「そう、ここから一気に念動力を使って街に入り込もうと思う」


「街は大騒動になるかと思われますが?」


「そこが狙い、瞬間移動を使えば、相当な念が放たれる。妖魔は一気に押し寄せてくるであろう」


「探す手間が省けると?」


「このまま歩いて街へ入れば、奴等は人を殺してでも我らを抹殺しようとしてくるであろう。ならばきょを突いて一気に街の中心へ躍り出る」


「それでも住民達に被害が及ぶものと思われますが?」


「街の中心に住む者達は、妖魔の手先となっている者達」


「それは、既に魂を妖魔に抜かれた者達、と言うことでしょうか?」


「彼らは人ではなくなっている。自己の為には簡単に人を殺めることのできる存在と化している」


「既に妖魔と同じ者達?」


「そうだ、彼らは姿こそ人間だが、心は妖魔。いずれ、他の妖魔達と同じ姿に変わっていくであろう」


「ならば?」


「行くぞ」


「お母様、私、あの街、気持ち悪いわ。行きたくない」


「ブランシュ、情けないことを言ってはいけません。貴方には、念通力があります。妖魔の存在を奴らより先に感じなさい。そして、イズーと決して離れてはいけませんよ」


「任せて、お母さん、ブランシュは私が守ってあげるわ」


ブランシュは隣で立っているイズーを軽く睨みつける。

その隣では、ベディエが朱色の鞘に収まれた剣の柄を力一杯握りしめている。


「ベディエ、恐れが力となって現れている。その力をきょと言うのです。まことの力をじつと言います。実とは、常に鏡のように自らを映す水面のような心。心眼を開きなさい。動じてはいけません」


「分かりました、母さん」


「さあ、行きましょう。エリオット、頼んだぞ」


「承知」


 一瞬にして剣と四人の姿が消えた。


ありがとうございました。

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