20 戦いの森と誓い
よろしくお願いします。
微風が吹いている。
時々枝と枝が擦れ、無数の葉音が聞こえてくる。
風は動いている。
吉兆と見るべきか否か、ここは王都に近い森の前だ。
「パステルナーク様」
「そうだ、エリオット。ロルカと共に白い鹿に乗り、妖魔に襲われた森。奴らはこの森に潜んでいるはず」
「私達が使った念通力を悟られたのでしょうか」
「いや、違う。ベディエと共にこの街の前まで来た時に、様子を伺おうとした私の念通力を、奴は感じたはずだ」
「奴とは、まさか」
「そうだ。奴は生きている」
「あの時、パステルナーク様が斬ったはず」
「生きているというよりも、再生したと言った方が正しいかもしれない」
「何故」
「私にも分からない。ただ、これから大切なことが一つ。奴は我らの戦い方を知っている、ということだ。二度も我らと戦ったのだ。」
「それはこちらも同じことと思いますが・・・。まさか! それで、パステルナーク様?」
「そうだ、風の者達を連れてきて戦いに強いられるもの、それは我らの苦戦。ならば、風の村で戦い方を教えられた熟練の者達で戦うよりも、まだ訓練を受けている最中の者達であれば、奴らも戦いに戸惑うはず」
「未熟な者の方が戦いやすいと」
「そうだ。然し、当然未熟な者達は命の危険に晒される」
「それでは、然し、王子と姫が」
「エリオット、聞け。幸運なこと。それは私の息子と娘達は、戦い方には他の訓練中の者達よりも未熟。だが、幸いなことに、この三人には、どういう訳か誰にも劣らない念通力と念動力がある。それはエリオット、お前も感じていたはずだ。ただ、ベディエは他の風の者達に比べると遥かに劣っている。が、この子には剣がある」
「それが、パステルナーク様が再び、自ら破邪の剣に変わられた理由」
「そうだ。この子には私がついていなければならない。妖魔は如何に剣に優れていても術が無ければ斬れない」
「それで勝てると?」
「承知の事。勝たなければならない。身を挺してでも。捨て身の攻防になるのは必至。この子達は私の子、そしてロルカの子、覚悟はできているものと信じている。神殿の森へ行く前に、王妃の間で誓い合ったのだ」
「私自身に迷いがあった事、お詫び申し上げます」
「構わぬ、行くぞ、最悪の戦いで、最善を尽くす、それが風の者、我らの真の戦い方であったはず」
「承知」
ありがとうございました。




