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18 あの時の別れ

よろしくお願いします。



 エリオットとパステルナークの二人は、時の扉をくぐり抜けた時からの話を始めた。

ボードとテーゲの薬草で煮込まれたレールの干し肉の香りが漂っている。

風の者の食事である。


 どう言う訳か四人は時の扉の中で二手に別れさせられた。


「三神のお導きであるなら、きっと訳があるはずです」


とエリオットがつぶやくと、パステルナークが後を追って説明する。


「私は思う、ベディエと二人きりで闇の中に居た。感覚だけでは動くことのできないような闇の中で、ベディエは抜刀した。母と子が、子と母が、念通力だけを頼りに、襲ってくる妖魔達を斬った。ちょうど、ロルカと私とで初めて妖魔を斬った時のように。私たちは漆黒の闇の中で互いに念通力を使いながら戦うことを実戦で確認できた」


「ベディエ様は、幼少の頃から親衛隊隊長の手解きを受け、その年齢にして突きだけは敵うものなし、と言われたほどの使い手。そしてパステルナーク様の念通力が支えている」


「よせ、エリオット、ベディエはそれほどまでの使い手ではない」


 その後、妖魔達を消し、初期の風の村に向かったことを話し出した。


「初代の、誰一人住まなくなったあの風の村は、この時代で栄華を誇っている街に変化している。金銀財宝が飛び交い、富める者しか住めない街と化している」


「妖魔が?」


「その通りだ、エリオット。あの繁栄ぶりだと、商人達は城へ賄賂を送り自由に暮らしているであろう」


「今の王は気づかないのですか?」


「税金調達班の者達のところで金銀は止まっているのであろう」


「妖魔達の目的は?」


「史実の教えから考えると、そこに一大国家を築くつもりであろう。そして、やがては、カロッサ城に攻め入るであろう」


「最後は、貧富の差と、疫病。蔓延はびこるのは苦しみと、悲しみと、憎しみ」


「そうだ、あれだけの栄華、快楽に身を落とした者達は、傭兵部隊を組織させ、自分達を守り、貧民達を集めた部隊が王都を破壊するであろう」


 パステルナークは、む無く初代の風の村に入ることが出来なく、大きく迂回して森の中へ入ったことを伝えた。

そして、ベディエにも少しくらいの念動力があることも。


「では、破岩の術も?」


「そこまでの念動力はないが、瞬間移動までは出来そうだ」


 続けてパステルナークが言う。


「私達二人は、大勢の妖魔達と戦う前に、互いの力を確認し合う時だったのかも知れない」


 そこで、ベディエが口を挟む。


「でも、念動力があるんだったら、すぐにここへ移動できたんじゃないの?」


 それにエリオットが答える。


「念動力は絶え間なく体内を循環し、尽きる事がありません。しかし、それは精神の問題なのです。使い過ぎれば、体力が落ちる事は勿論、精神も疲れます。念動力は尽きぬとも、集中力が落ちていきます。それではせっかく持っている念動力も使いこなせなくなります」


 呆然と聞いているベディエにパステルナークが言う。


「ベディエ、エリオットが言っている事は、使い方を誤れば自分自身の危機を招くことになると言う事なのです。できるだけ使うなと言う事ではなく、使い方に注意しなさい、と言う事なのです」


 そこへ、今度はイズーが口を挟む


「お兄ちゃん、全然分かってないね」


 エリオットが顔を隠して笑っている。


ありがとうございました。

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