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 ある村に、羊飼いの男の子がいました。

 来る日も来る日も、仕事は羊の番ばかり。男の子は飽き飽きしてしまい、ちょっといたずらをしたくなりました。




 ある日、男の子は、とつぜん大声をあげました。


「たいへんだ!狼だ!狼が出たぞ!」


 村人たちはみんな驚いて、駆けつけてきました。


「狼はどこだ?」

「羊は大丈夫か?」


 それを見て、男の子は大笑い。


「へへっ。みんな慌てて面白いや」

「何だ、お前のいたずらか?」

「やーい、(だま)されたぁ!あははっ!おっかしいや!」

「こらっ!」


 村人たちが男の子を叱りつけましたが、男の子は堪えませんでした。だって、面白かったんだもの。




 何日かして、男の子はまた大声をあげました。


「たいへんだ!狼だ!狼が出たぞ!」


 村人たちは今度も慌てて飛び出してきました。


「狼め、とっちめてやる!」

「おい!狼はどこだ?!」


 男の子はまたもや大笑い。


「やーい、騙された!」

「あいつめ!」

「こら!待て!」


 さすがの村人たちも頭にきて、男の子の母親に苦情を言います。


「本当に申し訳ありません。良く言い聞かせますので」

「本当にお願いしますよ!」




 しかし、母親に叱られても男の子は「狼が来た!」をやめませんでした。

 だって、慌てふためく大人たちが面白いから。




 ところがある日、本当に狼がやってきて、羊の群を襲いました。

 男の子はあわてて、叫び声をあげました。


「狼が来た!本当に狼が来たんだよ!」


 けれども村人は、知らんぷりです。

 何度も嘘を言う男の子を、だれも信じようとはしなかったのです。

 かわいそうに、男の子の羊は、狼にみんな食べられてしまいました。




 この寓話(ぐうわ)は、嘘をついてばかりいると、いざというときに誰からも信じてもらえなくなるという教訓を教えてくれているのですが、もう一つ、現代にも伝わっている風習があります。




 男の子が初めて「狼が来た!」をやったのは春先。そして、少年の母親の名前はエイプリルと言いました。




 もうわかりましたね?




 この寓話が、春に一日だけ嘘をつくことが許されるという奇妙な風習、エイプリルの馬鹿息子の顛末(フール)の起源とされています。

という話をすると、だいたいの人が信じるってのが4月1日の不思議なところですね。

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