05
「……とりあえずここは僕のいた世界とは違う事が分かった」
ニヤけていた自分に、少し恥ずかしさを感じながら、頭を整理するために、言葉を口に出す。
「魔法、モンスター、この要素だけで、まず間違いなく、ここは日本ではない」
やっぱり、異世界に転生したらしい。
「だとすると、とりあえず、人のいる場所を目指した方がいいよね」
夢ならここに留まっていてもいいけど、これが現実なら、暗くなる前に、街か、せめて人のいる所に行かなければ。モンスターがいるような場所で一人で野宿なんて、危険すぎる。僕はとりあえず歩き始める。道を見つける事ができれば、その先に何かある可能性が高い。
「きゃー、助けてー」
しばらく道を探して歩いていると、女の子の声が聞こえてきた。助けを求める声。少し、棒読み感は否めないけど、万が一という事もある。僕は声のする方に向かって走った。
「見つけた」
女の子は、四匹のスライムに囲まれていた。あまり危機迫る感じではなく、スライムに負けてしまうようには、見えない。なにせ、女の子は一般人という様な恰好ではなく、制服の様に見える服装なのだ。
僕が一瞬迷ったタイミングで、女の子と視線が重なる。その青色の瞳が、僕をじっと見つめる。さすがにこうなってしまったら、無視する訳にもいかない。僕は魔法を使って、スライムを倒した。
「大丈夫?」
僕が女の子に近づきながら、そう声をかけると、女の子が「ありがとうございます」と笑顔になった。背中にかかるくらいの銀髪が揺れて、キラキラと光って見える。とても綺麗な人。僕はドギマギとしてしまう。
「とりあえず、何ともなくてよかったよ」
僕が視線を彷徨わせていると、女の子の耳に目が止まる。よく見ると、耳が尖がっていて、横方向に長い。エルフという種族の女の子らしい。
「強いですね!」
「いえ……それほどでも」
スライムごときで、そう思わなくもないけど、僕は謙遜を見せておく。
「高名な冒険者ですか?!」
思いついた様に、女の子がそう口を開く。
「いえいえ!」
スライムごときで、今度はそう思いつつ、言葉を続ける。
「……事情があって、冒険者ではなくて……ただの一般人というか」
僕の言葉を聞いた女の子が、驚いた顔になり顔を横に振った。
「それはもったいない! そんなにお強いのに!」
スライムごときで。僕が言葉に迷っていると、女の子が矢継ぎ早に続ける。
「その実力なら、騎士団に入ればすぐに大活躍ですよ!」
スライムごときで、大活躍とはヤバい騎士団ではないか。
「いや、騎士団……」
僕がそこまで言ったところで、女の子が僕の手を握り、遮る様に声をあげる。
「ぜひ、王国騎士団に入るべきです!」




