↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/41

03

「だって、つまらないんですよ、人間ってみんな同じような感じで、生まれて必死に生きて、結婚して、子供が出来て、夫婦でそろって老けていって、死ぬ……あるいはその逆になるのが一定数」

 モリアテは心底呆れたように、深いため息をつく。でも、僕に視線を送り、また凶悪な笑みを浮かべて、口を開く。

「でも、違う文化で生きてきた記憶を持った人間がそこに現れたら? その人間も、その周りの人間も、きっと予想外な人生を歩み始める……これまでに見た事のない人間の生き方ですよ」

 モリアテの、光悦に歪んだ笑みがひどく恐ろしく感じて、僕は身震いをする。暇を持て余した神の遊び。それによって狂わされる人間は、たまった物じゃない。

「……もしかして、モリアテ様の気まぐれで、僕は死んだの?」

 聞くのは怖かった。でも、聞かずにはいられない。僕にはそれを知る権利が、あるはずだ。今まで光悦に歪んでいたモリアテの表情が、ただの微笑みへと変わる。それもそれで、恐ろしさを感じる微笑みだった。

「知ってどうしますか?」

「それは……肯定と取っていいのかな?」

 モリアテの問いかけに、僕は問いかけで返す。そして、流れる沈黙。モリアテは静かに振り返り、背中を見せる。

「これも新鮮……あなたには期待していますよ」

 はぐらかされた。追及するか。でもしたところで、何も変わらない。むしろ機嫌を損ねて、そのまま死亡ルートも、あり得る。今は黙っていた方が得策。でも、いつかは。

「はははっ」

 モリアテが突然笑い声をあげて、こちらに体を向ける。心底楽しそうな表情。

「やっぱりあなたは良いですね……早く見たい、もう待ちきれないです」

 そのモリアテの言葉を契機に、僕の周辺が光り輝き始める。転生が始まったらしかった。

「聞きたい事が沢山あるんだけどね」

「もう待ちきれないので」

 モリアテが微笑んで、断じる様にそう言った。おそらく何を言っても無駄。自分で、情報を収集していかなければいけないらしい。見知らぬ世界に放り出される身にもなってほしい。

「あぁ、いきなり死なれてもつまらないので、魔法の才能はサービスでつけてあげます、モンスターは魔法で、何とかしてください」

「もうちょっと、手厚いアフターサービスしてくれないの?」

「あまり手厚くすると、面白くなくなってしまいます」

 本当に神は身勝手だ。

「神はそういう物ですよ」

 ニコリと、モリアテが微笑むと、僕を包み始めていた光が、より一層大きくなる。モリアテの微笑みが、光に溶ける様に見えなくなっていった。目の前が真っ白になる。僕の意識は眠る様に、消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。