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02

「死んだ?」

 僕の言葉に女性は頷く。そういえば、僕は背中を押されて、トラックの前に飛び出してしまった。あれで僕は死んだのか。

「そう……なんだ」

 意外と、そんな言葉しか出なかった。現実感がないせいだろうか。こんな訳の分からない場所にいるから、夢なんじゃないかとさえ思う。

「ところで、あなたは……女神様か何か?」

 周りの状況と、死んだという話から、そんな気がする。あるいはドッキリという事も考えたけど、これほど現実感のない場所が作れるとは思えない。もしも、作れたとしてもお金がかかる。僕は、そんなお金を使ってまで、ドッキリにかける人間ではない。芸能人でもない一般人なのだ。

「御名答、私は女神モリアテ」

 モリアテは嬉しそうに手を叩いて答えた。あまり嬉しくない答え。自分が死んだという事実を、突き付けられているのだから。

「暗いですね、やっぱり死んだのは辛いですか?」

「まぁ、辛いといえば辛いかな」

 笑顔でモリアテが問いかけてくるのを、僕は目を伏せながら答える。こういう時に微笑んだり、嬉しそうに手を叩く、とてもズレた感性が人間離れしているという事を、裏付けている。死んだという事を実感させられる。

「はぁ」

 僕は思わず、ため息を漏らしてしまった。いろいろな事が頭の中を駆け巡る。やりたかった事とか、読みたかったミステリーとか。

「生き返りたいですか?」

 いきなり投げかけられたモリアテの言葉に、僕は弾ける様に顔をあげる。

「生き返れるの?!」

「さすがに元の世界には無理ですが」

 笑顔で言うモリアテ。それを聞いて僕はまた、気持ちがしぼんでしまった。

「あぁ……それは無理なんだ」

 それでも生き返る。その言葉は魅力的だった。元の世界は無理でも、このまま死ぬのはやっぱり納得できない。

「生き返るというのは、どういう事?」

 とにかく話を聞いてみようと、僕はモリアテに問いかける。その言葉にモリアテは、少し含みのある笑顔を浮かべて口を開く。

「その気になってもらえて、うれしいです」

 その笑顔に少し引っ掛かりを覚えながら、僕はモリアテの言葉の続きを待った。

「厳密には生き返るというより、転生です」

「……転生」

 輪廻転生。アニメとかに出てくる言い方をすれば、異世界転生というやつだ。でも、実際の所、それをさせる事が、モリアテにどんなメリットがあるんだろう。僕は、理不尽に終わってしまった人生を、別の形でも続けられるなら、嬉しい。でもモリアテにはメリットが思い当たらない。

「メリットですか……やっぱり面白いですね」

 当然の様に、僕の思考を読んだモリアテが、そう言う。僕は居心地の悪さに身をよじった。

「それで、メリットは?」

 遠回しにしても意味がない。僕は単刀直入に問いかける。するとモリアテは、凶悪とも言える笑顔を浮かべて、答えた。

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