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知識チートで推理無双?!~特殊捜査室事案対応ファイル~  作者: 高岩 唯丑
悪魔のささやき、あるいは女神の……
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07

「うぃぃぃ」

 酒場に入って数時間。ジョマは机に突っ伏して、そんな声をあげていた。お酒に弱いのか強いのかわからない。それなりに飲んでいたけど、強い人はこんな風にはならないのでは。僕はお酒を飲めないから、よくわからない。

「そろそろ帰ろうか」

「まだ飲みたいりない」

 飲みたいと、飲み足りないという言葉をかけ合わせた様な、ちょっとよくわからない言葉を発したジョマが、持っていたジョッキをあおる。僕はため息をつきながら、自分のコップを眺めた。ガラスのコップに注がれたジュースが、店内の光に照らされて、綺麗な色合いを机に写している。魔法が発展しているけど、ガラスは加工できるんだなと、考えつつ、僕はコップを傾ける。どこかまでは、産業技術の方が、魔法より発展していたのかもしれない。

 そんな事を考えていると、視界が少し暗くなった。誰かが近づいてきたらしい。僕は傾けていた視線を上げて、近づいてきた人物に向ける。

「ここに居ましたか」

 レストルアが、昼間と変わらない真面目な表情で、そこに居た。

「……仕事サボってたわけじゃないよ」

「大丈夫、分かっています……ジョマだけなら、そう思ったかもしれませんが」

 僕の言葉に少し微笑んで、レストルアが答える。ありがたい事に、信用してもらえているらしい。

「座ってもよろしいですか?」

 一瞬沈黙が流れて、レストルアが問いかけてくる。僕は気が利かなかった事を恥じつつ、返事をした。

「あっ、ごめん、どうぞ」

 僕とジョマが、机を挟んで向かい合って座っていたから、その間に当たる席に、レストルアは座る。

「それで……どうしたの?」

 事件の新たな進展でもあったのかと思ったけど、ハウンドは今回の件から、すでに手を引いている。そっち方面はよく考えたら、無いだろう。ハルソンが騎士団にクレームを入れたとか。それでレストルアが説教にやってきたのかも。あり得るなと思い、僕は少し居ずまいを正す。

「給付金と、寄宿舎の使用権利の件で」

「あぁ、そっちか」

「……そっち?」

 不思議そうな顔をするレストルア。僕は「何でもない」と誤魔化す。余計な事を言わないのが身のためだ。レストルアは怒ると怖そうだし。

「……私、怖いですか?」

「え?! どうして」

 思っていた事が、口に出てしまっただろうか。僕が慌てて問い返すと、レストルアが少し落ち込んだ様子で苦笑する。

「まだ二回しか会ってませんが、そのたびに緊張している様子なので」

 言われてみれば、緊張しているかもしれない。こんな風に落ち込ませてしまうのはいけないな。僕は反省して、言葉を返す。

「怖くないよ、緊張は、まぁ……性格かな」

 僕が「へへへ」と笑って見せると、レストルアも微笑んでくれる。とても柔らかい雰囲気だ。

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