04
「というか、発火の原因の調査なら、話聞く必要あります?」
僕の思考がジョマの問いかけによって、遮られる。少しだけ、言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまった。
「えぇと……うん、必要だよ、周囲の状況とかから原因を判断できる可能性もある」
「そういう物ですか」
明らかに、ピンッときていないジョマは、少し首をひねりながら呟く。これまでに、聞き込みをした事がないのだろう。効果を実感した事がなければ、やろうと思わない。それ以前に、聞き込みをする必要性に、気付いていなかっただろうか。何が起こっても、目の前の事だけに頭を捻らせていた、という感じ。
「ところで、この周辺に、魔力紋って残っているのかな?」
ふと思いついた疑問を、僕はジョマに聞いてみる。
「たぶんありますよ、誰かが魔法を使えば残る訳ですからね」
日常生活に魔法が溶け込んでいる訳だから、当然そういう事だろう。
「事件に関係ある魔力紋かどうかを、見分けるのは難しいなぁ」
魔力紋は残るけど、どんな魔法を使ったかはわからない。ただ純粋にその人物の魔力の跡が残っているだけだ。かゆい所に手が届かない。
「確認だけど、魔力紋っていつか消えるんだったよね?」
一応自分の知識が間違っていないか、答え合わせのつもりでジョマに問いかける。
「はい、使用した魔法の強さによって、長く残ったり、すぐ消えたりですけど……まぁどんなに弱くても、一週間は消えませんけどね」
「そうだよね」
つまりは被害者に魔法を使って、魔力紋がすぐさま消えてしまった、という事はないという事だ。ただ、誰かが魔力紋の残らない魔法の使い方を開発していたら、その限りではない。まぁそれを考え始めると、終わらなくなるのでやめておく。一応、魔法理論上それは出来ないとされているはずだから。ちなみに言うと、空を飛ぶことはできないし、瞬間移動もできない。魔法理論上は。
「ふぅー」
ジョマが息をついて、空を見上げる。それにつられて僕も空を見上げると、空の端が少し赤くなり始めていた。もう夕方になる。昼に食事をした時以外、ずっと話を聞いて回っていたせいで、ジョマは疲れた様だ。というか僕も疲れた。徹夜が地味に効いている。
「今日は引き上げようか」
「そうですね!」
僕の言葉に、ジョマが弾ける様に反応する。空を見上げたのは、帰りたいというアピールだったのだろうか。でもジョマは、そんなに策士でもない気がするので、たまたまかな。
「行こうか」
僕はジョマを促して、事件現場から離れようとした。
「何かわかりましたか?」
そこに少し低めの、落ち着いた声が聞こえてくる。




