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知識チートで推理無双?!~特殊捜査室事案対応ファイル~  作者: 高岩 唯丑
悪魔のささやき、あるいは女神の……
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03

 思い返して見ると、なかなか濃い一日と少しだった。もう何週間か経っている気さえしている。

「ふぅ」

 僕は一息つく。先ほど、アカデミー内にあった焼死体を確認した後、僕とジョマは二人で周辺に聞き込みをして、情報を集めた。事件が起こって、まだそれほど時間が経っていなかったおかげで、事件現場にいた人からも話を聞く事が出来た。ただ、もっとも早く駆けつけたハウンドが聞き込みまでやってくれたら、もっと多くの人から話が聞けただろう。初動が決定的に遅かった。

「まだ聞き込みしますか?」

 明らかに嫌そうな顔をして、ジョマが聞いてきた。アカデミーの授業はすべて休講、生徒は帰されているみたいだから、もう終わりにするしかなさそう。

「とりあえず、一定の情報は得られたから、終わりかな」

 僕の言葉を聞いて、嫌そうな顔から、嬉しそうな顔に変わるジョマ。慣れない事をしているせいで、疲れていたのだろう。僕も聞き込みは初めてだから、実は疲れた。

「それにしても」

 ジョマがため息まじりで、口を開く。

「完璧超人は羨ましいですね」

「あんな風に焼かれてでも?」

 僕は少し茶化して問いかける。ジョマは苦笑した。

「それは羨ましくないですけど」

 被害者は、リドル・ネリアル氏。二十六歳。彼は完璧超人という言葉がふさわしい人物だった。若き天才魔法使い。最年少でアカデミーの教授に就任したばかり。おまけに超がつくほどの好青年。人に恨まれるような人間ではなかったらしいし、教授になってこれからという時に、自殺もありえない。

 僕たちは事件現場に戻ってきて、周りを見渡す。目撃者の証言によると、ネリアル氏が突然発火したのは、朝に出勤してきたタイミングらしい。発火の瞬間をみんなが見ていた。そして、助ける暇もなく、黒焦げになって、息を引き取った。証言から、ほとんど時間を要する事なく黒焦げになったらしいから、かなりの火力だったと考えられる。

 そして、不審者や不審な物の情報はなし、通り魔的な犯行は低そうだ。

「ただの事故か……顔見知りの殺人か」

 僕は遺体があった場所を見つめる。遺体はすでに、アカデミーがどこかに移動させたらしい。もう焼け焦げた地面がそこにあるのみ。

「事故ですかねぇ……知らんけど」

 ジョマの言葉に、僕は苦笑しつつ、返す。

「恨まれるような人物ではなかったから……殺される要素は、ないかも」

 ネリアル氏の話は、好意的な物しか出てこなかった。性格よし、顔よし、才能あり。証言を聞く限り、完璧超人という印象しか抱きようがない。

「事故が濃厚」

 僕はそう呟くけど、違和感は拭えない。こういう場合は、想定べき事がある訳だ。

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