↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/77

第44話:王都の中

 王女マリエルの道中を影護衛しながら、無事にミカエル王都に到着。

 昔に掘っておいた地下通路で、王都の地下を進んでいく。


「たしか、街の出入り口は……あった、ここだ!」


 迷路のような地下通路を進み、目的の突き当たりを発見。

 荷馬車から降りて、特殊な仕掛けを開錠してハンドル操作する。


 キュィーーーン、ガラガラ……


 少しだけ音を立てて、突き当たりが開いて、地上の陽の光が入ってくる。

 顔だけ出して、周囲を確認。

 よし。周りに人の気配はない。


「ドルトンさん、サラ。外に出ましょう。この先が城壁の内側です!」


 後ろで心配そうにした二人に、大丈夫だと伝える。

 《ハルク式荷馬車(チャリオット)《改》》を【収納】して、徒歩で地上に出ていく。


 出たらハンドル回して、秘密の出入り口を閉鎖。特殊な仕掛けで、ハンドルも隠しておく。

 これで普通の人は見つけることも不可能になった。


「ふむ。ようやく地上か。ん? ここは、もしや……墓か?」


「はい、墓地です。ミカエル王都内の市民墓地です」


 ボクたちが出てきたのは墓地の外れ。多くのお墓が整然と並んでいる。不気味で静かな雰囲気だ。

「なるほど、墓地か。これなら出入りを、見つかる心配もないのう」


「そうですね。風習的にミカエル市民は、あまり墓地には頻繁に訪れないみたいなので」


 街の中には何個か地下通路のへの出入り口がある。その中でも墓地口は、一番ひと気がない安全な場所なのだ。


「それじゃ、まずは街の中心街にいくとするか」


「そうですね。あっ……でも、中心街って、どっちだろう?」


 言われてみて気がつく。墓地から街への方角が、まるで分からないのだ。


「なんじゃと⁉ オヌシはミカエル王都に、十年間も住んでいたのだろう⁉」


「はい。でもずっと城の地下の鉱脈と地下にいたので、街に出かけたことはないんです……」


 生まれた里から五歳の時に、ボクは王都にやってきた。街に到着してから、そのままミカエル王城に直行。


 その後の十年間は、ひたすら採掘と鍛冶仕事ばかりしてきた。だから普通の市民のように、王都を散策したことがないのだ。


「なんと……十年間も地下で生活していたか。ドワーフ族も真っ青な青春時代じゃのう」

「あっはっはっは……だから王都は初心者です。申し訳ありません」


「気にするな。それならワシが道案内するぞ。王都には少しだけ住んでいたことがあるかのう」

「そうなんですか⁉ それじゃ、よろしくお願いします!」


 ドルトンさんの案内で墓地から、中心区画へと進んでいく。

 ベテラン職人であるドルトンさんは、大陸各地を放浪していたこともあるのであろう。頼もしい道案内だ。


 ◇


 しばらく進むと、大通りにたどり着く。


「おお、ここが王都の大通りか……」


 街の中は賑わっていた。

 色んな方向に大通りが伸びている。


 通り沿いに様々な商店が立ち並び、露店もあった。

 様々な人種の通行人が行き交い、通りは荷馬車や交易商人でごった返している。


「ここが王都の大通りですか……ハメルーンよりも凄いですね!」


 隣でサラが感動の声を上げている。

 駆け出し魔術師の彼女は、幼い時から家に引き籠っていいた。


 最近になって家の外に出ているが、今まで見たことがあるのはハメルーンの街だけ。

 何倍も規模が大きい王都の賑わいに、彼女も驚いているのだ。


「街の中心街にいけば、もっと賑わうぞ」


 前に住んでいたことがあるドルトンさんは、それほど驚いていない。慣れた感じで先導していく。


「うわぁ……すごい、大きな武具屋だ……」

「ハルク君、見てください。三階建ての魔術店があります!」


「サラ、あっちも凄いよ!」

「美味しそうな屋台……」


 ドルトンさんの後ろをついていきながら、ボクとサラは周りをキョロ。完全なお上りさん状態だ。


 そんな感じで、街の中心街広場に到着。屋台料理を食べながら、ベンチで一休みする。


「そういえばハルク。これからどうする予定じゃ? お姫さんのスケジュールはどんな感じなのだ?


「前に聞いた感じだと、明日から忙しいみたいです」


 出発に前、王都での情報をマリエルから、何気なく聞き出していた。

 彼女が王都に滞在するのは一ケ月程度。


 期間中はミカエル新国王と謁見。重臣と会合や会議も、数回行う。

 また王都の中にハメルーン大使館の設置の準備もするらしい。


 更にはミカエル商工ギルドや、職人ギルドの幹部とも会合と会議。

 国交が回復した両国の橋渡しのために、マリエルは色々と忙しいらしいのだ。


 そんなスケジュールの中でも今日は特に予定なし。たしか宿泊先に向かっているはずだ。


「ふむ、そうか。それなら宿泊地の警護にいくのか?」


「いえマリエルは専用の館に泊まるみたいなので、とりあえず今日は大丈夫かと思います」


 マリエルが王都で宿泊するのは、ミカエル王国の上級貴族の屋敷。

 ハメルーンと遠い親戚にあるらしく、マリエルとも友好関係。そのため警備上も問題ない。


 今後マリエルに危険があるとしたら、屋敷から移動した先。王城や商工ギルドなど、会合場所は危険があるだろう。


「なるほど、そうか。それなら今日は、どうする? ワシらも宿を探すか?」


 マリエルに併せて、ボクたちも王都に滞在。少なくても一ヶ月間、滞在できる宿が欲しいのだ。


「あっ、それなら“アテ”があります! とりあえず、そこに行ってみましょう。ここの場所なんですが……ドルトンさん、分かりますか?」


 ボクは収納から一枚の紙を取り出す。王都内の番地と住所が書かれた書類だ。


「ふむ、何となく分かるが、行ったことがない区画じゃのう? 聞きながらいったほうが確実じゃ」


「そうです。それじゃ、とりあえず向かいますか!」


 番地の場所へ、三人で歩いていく。途中で商店の人や通行人、道を尋ねていく。


 ◇


 目的の場所へと近づいてきた。


「ハルク君……通りの雰囲気が、なんか変わりましたね?」


「あっ、そういえば⁉」


 サラに指摘されて気がつく。先ほどの繁華街とは、周囲の雰囲気が違う。


 たどり着いた先は、一言で説明するなら“高級屋敷街”。

 高い塀に囲まれた屋敷が、通りの両側に並んでいたのだ。


「おい、小僧。本当にこの近くにあるのか? オヌシの言う“アテ”の場所が?」


「はい、間違いないはずです。でも、ボクも心配になってきました……」


 三人で心配になりながら、屋敷街を移動。通りの番地の数字を確認していく。


「あっ、ここだ!」


 書類と同じ数字の場所を発見。目的の場所にたどり着いたのだ。

 なんとか迷わずに到着できてよかった。


「二人とも、ここが“アテ”がある場所です!」


「えっ……こ、ここですか、ハルク君……?」

「おい、待て! 本当にここなのか⁉ どう見ても“貴族の屋敷”だぞ⁉」


「あっ、そう言われてみれば、たしかに……」


 指摘されて気がつく。

 ボクが中に入っていこうとしたのは、高い塀に囲まれた屋敷。

 鉄製の正門の奥に見えるのは、大きな館だった。


「ちなみにハルク君。どういう“アテ”がある場所なんですか、ここは?」


「えーと、前にお世話になった王様から……先々代のミカエル国王に、鍛冶仕事を頑張った褒美として、直々に頂戴した場所だよ」


「褒美の場所だと⁉ こんな大きな屋敷を丸ごとか⁉ いったい、どういうとじゃ⁉」


「やっぱり、そうですよね……ボクもまさか、こんな大きな屋敷だったとは、思っていなかったんですが」


 昔、先々代の王様から貰ったのは、番地の書いてある書類だけ。


 ……『ハルクはミカエル王国の発展のために、本当によくやっている。この書類の土地と建物は自由に使え!』と先々代の王様に言われていたのだ。


 ボクの予想では『王都内のへき地の小さな小屋』だと思っていた。

 まさか、こんな豪華な館付きの屋敷とは、ボクも夢にも思っていなかったのだ。


 それに正門も閉まっているし、どうしたらいいんだろう。


 ――――そんな困っていた時だった。


「おい! そこのお前たち、そんな所で何をしている⁉」


 正門の奥に詰所があったらしい。

 中から武装した人たちが、こちらに駆けてくる。恰好的にミカエル軍の正規の衛兵だ。


 屋敷の前でウロウロしていたボクたちを、不審者だと思ったのだろう。


(ここで逃げたら怪しまれちゃうな。でも、ボクは追放された身、衛兵にバレたらヤバイな……)


 かなりマズイことになってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 普通に考えて没収されてるよね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。