第26話:順調な日々に
“ハルク式荷馬車”の走行テストをしてから日が経つ。
ボクは順調な毎日を過ごしていた。
「お姉さん、依頼の薬キノコを採取してきました!」
「ありがとう、ハルク君……って、こんなに、たくさん⁉ 相変わらず凄いわね。はい、これ報酬の12,000ペリカよ」
「ありがとうございます!」
冒険者の仕事は相変わらず、二日に一回のペースでこなしていた。
一回の目標金額の一万ペリカは、なんとか越えられるようなってきている。
でも場合によっては、下回る時もあるので油断は出来ない。駆け出し冒険者は常にギリギリの毎日なのだ。
◇
「よし、“ハルク式荷馬車”の改造も、とりあえずこれでOKかな?」
あと休日の鍛冶仕事も、ドルトン工房でコツコツと勧めていた。
荷馬車の“ハルク式荷馬車”の改善点も、何とか修正済み。
ギア6で走行しても、車体がブレたり、浮かばなくなった。
でもギア7を超えると、どうしても走行が安定しない。
今後の改造の改題としていた。
あと新しい装備として“光学迷彩”という機能もつけた。
これは“ハルク式荷馬車”は走行しても、周りから目視されにくくなる機能だ。
ミスリルは特定の加工方法によって、光を屈折する原理を応用したものだった。
よし、“ハルク式荷馬車”の整備は終わった。
次は新しい武具の整備を行おう!
そんな時、工房主のドルトンさんがやって来た。
「ん? ハルク。その大盾は何じゃ?」
「これは前の依頼の時に作った、“複合式大盾”です!」
ここ数日で冒険者として、新しい武具を作っていた。
“複合式大盾”はミスリルの板を、複合して張り合わせた特殊な盾。
防御力に心配があったボクに、必要不可欠な防具だ。
でも少し大きく作り過ぎたので、普段は【収納】の中にしまってある。
「何じゃと⁉ ミスリルの複合の盾じゃと⁉ ふう……相変わらず、とんでもない武具を作りあげるな。ん? その盾の裏にある筒はなんじゃ?」
「あっ、これは“ミスリル電導索”です!」
「ん? “ミスリル電導索”……何じゃ、それは?」
「簡単に説明すると、魔石のエネルギーを増幅器で“痺れる光”に変換して、魔物を麻痺させる狩りの道具です!」
“ミスリル電導索”はボクの新作の、狩り道具だ。
鉱山時代に収集していた魔石は、特殊な機器を使うと“痺れる光”を発生する。
ミスリル・モーターを回しているエネルギーと同じだ。
今回はそれを“痺れる光”として強化。
スイッチを押すと、盾の裏の筒からミスリル製の電爆線を射出。
目標周囲に展開したのち、端部から周囲の魔物を、少し強力な“痺れる光”で麻痺させていく道具なのだ。
「な……魔石から“痺れる光”を抽出して、魔物を麻痺させる……じゃと⁉ 凄まじい兵器を作ったものじゃの……」
ドルトンさんは呆れているが、これはあくまでも狩りの道具。
最大射程は500メートルあり、射線上の周囲の50メートルの魔物を全てターゲットに出来る、非殺傷型の便利な狩り道具なのだ。
「いや、間違いなく使い方によっては、とんでもない兵器じゃ。それを敵の兵団の中に発射しただけで、部隊を丸ごと無力化きでるんじゃぞ⁉」
「あっ、そうか。なるほど。使い方に気をつけておきます」
十年間も地下にいたら鍛冶師として常識が、ボクには欠けている。
ドルトンさんのアドバイスを聞きながら、今後も気をつけていこう。
まぁ、駆け出し冒険者のボクが、戦場に出ていくことは無いから、特に問題はないと思うけど。
「あっ、時間だ! それじゃ。仕事に行ってきます!」
昨日、冒険者ギルドから手紙を預かっていた。
約束の今日の時間になっていたのだ。
「約束じゃと? ちなみに、どこに行くのだ?」
「今日はお城です。マリエルに呼ばれていたんです!」
手紙を貰ったら相手は、銀髪色白の少女マリエル。
ハメルーン国主の三女……簡単に説明するなら王女様だ。
「マリエルか。久しぶりに会うけど、どんな用事がかな?」
こうして街の奥にあるハメルーン城に、ボクは登城するのであった。




