第25話:【閑話】ハルクを追放した愚かな国王が落ちぶれていく視点その2
《ハルクを追放したミカエル王国の独裁的な国王の視点》
ミスリル鉱山を独占しようとして、ミカエル国王が魔素の返り討ちにあった後の話である。
「くそっ! 何としてでも、魔素を焼き払うのじゃ!」
病み上がりのミカエル国王は、まだミスリル鉱山を諦めていなかった。
今度は宮廷魔術師団に命令して、地下鉱脈の魔素を焼き払おうとしていたのだ。
「陛下、お止めください! 危険すぎます!」
そんな愚かな国王を、止めようとする臣下がいた。
先代の王から仕えている、腕利きの女騎士ララエルだ。
「たしか鍛冶師ハルクは前に言っていました。ミスリル鉱脈の奥では、何が起こるか分からないと。だから攻撃魔法で刺激するのは、危険すぎます!」
「黙れ、ララエル! お前は、何かと、あの愚かな鍛冶師の肩を持ちやがって! 首じゃ! この国から出ていけぇ!」
「くっ……無念です」
国のことを思って進言した、女騎士ララエルは国外追放されてしまう。
今の国王になってから、愛国心ある家臣は全てこうして追放されてきたのだ。
「よし、予定通り、魔素を焼き払うのじゃぞ、お前たち! 何としても、ミスリル鉱脈をワシが独占するのじゃ! ガッハッハ!」
ミスリル鉱脈は金の生る木で、なおかつ高性能の武具を大量生産できる存在。
これほどの埋蔵量を独占できたら、大陸の覇権を手にすることも可能なのだ。
「陛下、お待たせしました! 騎士団の出陣の準備が整いました!」
そんな野望高き国王の元に、騎士の一人が報告に来る。
騎士という地位にあるが、外見はどう見ても傭兵崩れの荒くれ者だ。
「ん? そうか。よし、ワシもすぐにいくぞ!」
国王が部下に準備させていたのは、ミカエル騎士団の出陣の準備。
重武装の騎士団が、城の広場に集結していた。
「ほほう! これは圧巻の眺めじゃのう! さすがはミスリル製の武具で身を包んだ騎士団! まさに大陸最強の騎士団じゃ!」
国王が準備させていたのは、総ミスリル武具を装備した騎士団。
ハルクに無理やり作らせていた戦の武具を、これから初めて戦に使うのだ。
「よし、まずは隣国のハメルーンに向かうぞ! あの弱小国を一気に攻め落とすのじゃ! ワシに続け!」
「「「うぉおおおお!」」」
こうしてハルクの住んでいるハメルーンの街に、野望高き国王に率いられた総ミスリル武具の騎士団が迫ろうとしていた。




