第64話 B級中位・超大規模ソルクティス
やはり生活がかなり詰まっているので投稿頻度落ちます。
しばらくは週一以上投稿出来たらいいなと考えています。いつか元のペースに戻せるようしっかり生活に馴染みます。
─────そして、現在に至る。
「ギリギリセーフってとこかな?」
「御織!助かったぜ!!」
さっきまでの緊張感から一転、黎翔の顔が一気に綻んだ。
目の前に、御織がいる。それだけで安心出来るのだ。
「悪ィな虹崎、待たせちまッてよォ」
「全然大丈夫。ナイスタイミングだよ、紀章くん」
紀章は、少し申し訳なさそうにしていた。妃はそれを気にせず、笑いかけていた。
「さて!それじゃ合流も済んだ事だし、早速作戦会議と行こうか?」
「あァ、そうだなァ」
「だね」
御織の言葉を聞いてすぐ、妃と紀章は個々の会話を終わらせ、4人での話し合いに切り替わった。
(対応が早い。やっぱり慣れてるな)
即座に作戦会議に移行した姿に、黎翔は純粋に感心していた。が、すぐに自身の意識も会議に切り替える。
「今回の『ソルクティス』だけど……等級は多分B中位だね」
「「っ!!」」
御織のその言葉に、紀章と妃が一斉に驚いたような反応を示した。
「B……!?マジで!?」
「そんなに……!でも、さっき倒したのはC級下位くらいだったような……」
「それがちょっと面倒なことになっててね……強さ的には妃の感覚で合ってるけど、マナ濃度はBあるんだよね」
「てことはァ……数重視っていうかつゥーことかァ?」
「そうでもないんだよねぇ。言うなれば両立型って感じ」
「うーん……かなり厳しくなってきたね」
「んー、でも結構特殊なタイプだから、もしかしたら……」
御織、紀章、妃の三人で、次々と会話を進めていく。話は難航しているようだが、比較的意思疎通はスムーズに取れていた。
そして、その内容を全く理解していない人間が一人。
「……あの、すみません」
「「「ん???」」」
黎翔が、気まずそうにゆっくりと手を挙げながら声を発した。それに反応して、三人の視線が黎翔に集中する。
黎翔は、更に気まずそうに口を開いた。
「CとかDとかって、なんのことですかね?」
「「………え??」」
黎翔の質問に対し、紀章と妃は驚いたような反応を示した。同時に、
「あっ」
という御織の声も聞こえた。
その表情は、「やらかした」と言わんばかりだった。急に視線が逸れて冷や汗をかき始めた。
「……御織ォ、おめェーまさかァ……」
「等級の説明すらしてないの……?」
その御織の様子を見て全てを察した紀章と妃は、ジト目で御織を問い詰めた。
「い、いやぁ〜、忘れてた忘れてた。ホント、忘れてただけだから。めんどくさくてサボった訳じゃないから、ハハハ……」
「嘘だなァ」
「嘘だね」
小声かつ早口で言い訳する御織の言葉に耳も貸さず、2人は即断で御織の言を嘘と判断した。強い負の信頼である。
「ったくよォ……等級くらい説明しとけよなァ。基礎中の基礎だろォ」
「だ、だって〜!大学入ったら多分森先せ……じゃない、森さんが教えると思ったんだもーん!アタシ、悪くないし!!」
「開き直ンなァ!」
「はぁ……御織は相変わらずだね」
呆れ顔の2人に総ツッコミを入れられつつも、御織は強気な態度を貫いていた。
微笑ましい(?)平和な時間が一瞬流れたが、すぐに妃が現実へと意識を戻した。
「さて、仕方ないから御織の代わりに私が等級について教えるよ」
「あぁ。ありがとな」
まだ口喧嘩をしている御織と紀章をガン無視し、黎翔は妃の話に意識を向ける。
「等級っていうのは……一言で言うなら、『強さ』を客観的な基準に当てはめて考えた場合の、強さの指標の一つだよ」
「ふむ、大方予想通りだな」
黎翔は少し安心しながら頷く。
黎翔は、BやCといったアルファベットを聞いた時点で、それが何なのかある程度は予想出来ていた。
(この世界が、俺のいた世界と地続きの世界なら、あのアルファベットが示す意味は恐らく……『強さ』だろう)
黎翔は、昔友人の家で見せてもらったゲームを思い出した。キャラクターの強さを示す指標に、S〜Fまでのアルファベットを用いていたことを。
そこから予想したのだ。この時代においても、強さの指標としてアルファベットが使われていることを。
そして……Sが強く、そこからアルファベットが下るごとに弱くなっていくこと。一番下がどこかは分からないが、どう考えてもBが弱い訳はないだろう、と。
「……なぁ、この『ソルクティス』はB級なのか?」
「恐らくね」
「B級は……どれくらい強いんだ?」
恐る恐る、そう尋ねる。
妃は、一度深呼吸をした。そして、ゆっくりと黎翔に伝えた。
「……私と紀章くんが2人がかりで、ギリギリD級上位を攻略出来た。あとは……分かるよね」
「………っ!!」
一言一句聞き間違えることなく聞き取った黎翔は、一気に顔が青ざめた。
(この二人でD級……!?嘘だろ!?じゃあ、B級中位ってのは……どれだけの強さなんだ!?)
現状かなり不味い状況だと理解し、酷く動揺する。誰が見ても分かるほど、顔を青ざめさせて。
(紀章と妃でD級上位分、俺の実力は不明だが大した戦力にはなれない。一応御織はいるが……一人でこの場の全員を守るのは流石に不可能なんじゃないか……!?)
戦力の分析をすぐさま済ませ、ようやく他3人がさっきしていた作戦会議の内容まで理解した。
そんな黎翔に対し、楽観的な言葉が投げかけられた。
「まーまー黎翔、そんな思いつめないでよ〜!気楽にいこ、気楽に」
後ろから声と共に現れた御織は、いつも通りの笑顔だった。力が入って固まった黎翔の肩を揉みながら、分かりやすくふざけたようにそう言った。
「……御織、お前なぁ……」
黎翔がそれを咎めようとする。が、
「ほらほら、眉間にシワが寄ってるよ〜?もっと力抜きなよ〜」
御織は止まる気が無さそうだった。少しイラッとした黎翔だったが、
(コイツはヤバい状態でふざけるほどバカじゃない。何か作戦があるのかもしれない)
と考え、少し冷静になった。そして、
「お前、なにか作戦があるのか?」
素直に疑問をぶつけることにした。
御織は、「へぇ」と少し驚いたような表情をしながら声を漏らした。そして、
「やるねぇ黎翔、その通りだよ!」
ニカッと明るく笑った後、説明を始めた。
「実はこの『ソルクティス』、さっき言いかけたけどかなり特殊でね。量と質が両立してるタイプなんだ」
「量と質?なんのだ?」
「ボス以外のモンスター達の、だね」
「………?」
説明を聞いてなおピンと来ない黎翔に対し、御織は更に続ける。
「『ソルクティス』って、結構色んな分類があるんだよね。形式だったり、SからFまでの等級だったり、大きさだったり。で、そうした分類のうちの一つが『モンスターの配置』なの」
「モンスターの配置……?」
「そ。一言で言えば『雑魚がめっちゃ多いか数が少ない代わりにめっちゃ強いか』って話」
黎翔はそれを聞き、少しだけ悩んだ。その後、あることを思い出した。
(そういえば……星恋と一緒に『ソルクティス』に巻き込まれた時、御織が言ってた。『D.....いや、Cかも。割とデカいのが一匹だけだね、取り巻きはナシ。一番楽なヤツだ』って。つまり、あの時は『ボスしかいない代わりにボスが超絶強い』だったのか)
あの時星恋が吹き飛ばした、巨大な『ボス』の姿を思い出し、ようやく理解した。
「つまりこの『ソルクティス』は、『雑魚もそこそこいるのに結構強い』タイプなのか?」
思考を完結させ、御織に尋ねる。
御織は、またも少し驚いたような表情を見せた。
「黎翔って結構考えるの早いよね」
「そうか?」
「自覚無いんだ……まぁそれは後回しとして。うん、その認識で合ってるよ」
御織は笑顔で頷いた後、続ける。
「これ、実はかなりのレアケースでね。大体の『ソルクティス』はさっき言ったみたいに量か質のどっちかに偏らせるんだ。その方が対処困難に陥りやすいからね」
「でも、今回はそうじゃない……だから特殊なのか」
ようやく御織の言いたいことを理解出来たため、黎翔は少しスッキリした。が、同時に新たな疑問が生まれる。
「それは分かったけど……だから何なんだ?特殊であってもキツいことに変わりは無いだろ?」
今度は、御織の自信の出処が理解出来なかった。そのため、再びストレートに聞く。
「実はこの『ソルクティス』、信じらんないくらい規模がデカくてね。半径5kmくらいが全部包まれてるんだ」
「はぁ!?広すぎだろ!!」
「そう、広すぎなの。何がヤバいって、その広大な範囲内に満遍なくさっきの刃腕モンスターが発生してるんだ。更に、ソイツらは結構絶え間無く増えてるんだよね」
「ヤバいじゃねぇか………!!」
街が壊滅しかけている事実をサラッと告げられ、黎翔は大きく焦る。
「これって、本来B中位程度のマナじゃ到底出来ないレベルなの。どう見ても量も質も力入れすぎてる。モンスター達の感じだけ見たら、A下位って言われても信じられるレベルのヤバさしてる訳」
「マジかよ……っ!!」
B級ですら勝てるわけないのに、A級である可能性まで示唆された。そんな状態で、黎翔は平静を保っていられるはずがなかった。
取り乱す黎翔に対し、御織はしれっと爆弾発言を落とした。
「ちなみに、湧いてきたモンスターたちは全部アタシが潰してるよ。今」
「は─────え、今???」
「うん。アタシの重力魔法は半径100kmまでなら届くからさ」
「は?????」
あまりにもサラリと告げられたその事実は、本来ならば信用出来ないような、荒唐無稽な話だった。
(100km!?100kmって、俺の知ってるのと同じ!?広すぎだろ!!信じられる訳ない───って言いたいとこなんだけどな……)
全力で疑いたい事実なのだが……それを言っているのが御織であったため、黎翔は信じざるを得なかった。なんせ───
彼女は、世界最強なのだから。
「まぁ要は、湧いてくるモンスターの対処はアタシが全部出来るわけなの。量も質もB級にしてはかなり高いけど……なんせアタシは世界最強だからね!」
「御織……!!」
自信満々の彼女の姿を見て、黎翔はようやく心から安堵した。勝利を確信した。
が、そんな黎翔に対して、再び爆弾が投下される。
「あ、でも『ボス』倒すのは黎翔たちだよ?」
「あぁ、ん─────え、は???」
その言葉を理解するのに少しだけ時間を要し、時間差で反応を示す。
そのまさかの発言に驚いたのは、黎翔だけでは無い。
「達って、まさか俺らもかァ!?」
「もちろん」
「ちょ、どういうこと!?」
傍で聞いていた紀章と御織も、一緒に驚いていた。
「実はアタシ、今万全の状態じゃなくてねぇ。一昨日色々あってボスを攻撃出来ないんだ」
「嘘だろォ!?」
「なんでそんな……!!」
「だから、『ボス』は3人に倒してもらう。大丈夫、3人なら出来るよ!」
明るく笑いながら、御織はそう言った。だが、3人はそれを受け入れることが出来なかった。
「いやいやいや、無理に決まッてンだろォ!?」
「そうだろよ!B級中位のボスなんて勝てるわけ……!!」
紀章と妃が御織に文句を言う。
黎翔もそれに続こうとしたのだが……
「……いや、待てよ」
そこで黎翔は、ある可能性に気づいた。
「妃、紀章。もしかしたらこの『ソルクティス』、本当に俺たちでも勝てるかもしれない」
「「はぁ???」」
突然のその発言に、2人は声を揃えて驚いた。
──────────────────
蒼井黎翔 ID: 137438691328
Lv.21
POW:1757+50 DEX:1532 DEF:1168
INT:0 MP:0 RES:0 Total:4458
武器:猟刃……マナ属性 特殊効果なし
職業:狩猟者 階級:特異
スキル:『狩人の心得』パッシブ
『狩猟者の勘』アクティブ化 3000s
『野性』パッシブ
『獣殺一閃』発動可能
ステータス補正:物理特化
──────────────────
読んで頂きありがとうございました。よろしければ、いいね・ブックマーク・感想などよろしくお願いします。飛び跳ねて喜びます。




