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黒流星のハンター〜魔法がありふれた世界で、召喚者は石を投げる〜  作者: 鮫野鯨
第一章 召喚、異世界最初の日
33/67

第33話 凶悪な一撃

注意:この話では、グロめの描写がいくつかあります。

苦手な方・15歳未満の方はそっと閉じてあげてください。

「.............っ!!」


 ものすごい衝撃が右腕全体を襲い、反射的に腕を引き戻そうとする。が.....


(っ!?力が.......っ!!)


 右腕全体が完全に動かなかった。指も肘も肩も、一切動かない。


 さらに、明らかに腕の形がおかしい。本来骨で支えられ真っ直ぐになっているはずの前腕部が、ぐにゃりと歪んでいる。逆に、関節があるはずの場所にはそれらしき凸部が見当たらない。右腕だけが軟体動物になったかのような違和感を覚える。


 そして、それで悟った。


(.....全部折れてるな、これ)


 分厚い壁を殴ったかのような───否、分厚い壁に殴られたかのような重厚な衝撃は、いとも容易く右腕全体の骨を粉々にしたのだと、そう察した。


「ギャギャッ!!」


 そんな黎翔に対し、突っ立っていただけのモンスターは完全に無傷だった。完全に黎翔が自滅しただけになり、無性に腹が立つ嗤いも相まって少しだけ苛立ちを覚える。


 だが、それでも冷静さは保っていた。


(ダメだ。とにかく一度距離を取らねぇと.....!!)


 すぐさま次の動きに切り替えようと試みる。


 今の一撃で決める気だった黎翔は、防御度外視で攻撃を行っていた。

 にも関わらず、モンスターはノーダメージ。早く退かなければ反撃を喰らってしまう。


 モンスターを殴った時の反作用で腕は壊れたが、おかげで体の重心は既に後ろに傾いていた。すぐさま飛び退くことが出来そうだ。


 足に力を入れ、後ろに下がろうとする。しっかり地面を強く蹴り、少しでも距離を取ろうと───


 ガシッ


「っ!?」


 足に力を入れた瞬間、モンスターが右腕を伸ばして黎翔の右腕を掴んだ。


(ヤベ────)


 危機感を抱いた時は既に手遅れで.....


「ギャギャッ!」


 グイッ、グラッ


「のあぁっ!?」


 がっちり掴んだ右腕を思いっきり引っ張り、黎翔の身体は宙を舞う。

 そして───


「ギャギャーッ!!」


 ブンブンブンブン!


「うおおぉぉぉぉぉい!?!?」


 右腕で、軽々と黎翔を振り回す。


 タオルを振り回すかのように軽々と持ち上げられた黎翔の全身に強い衝撃がかかり、右腕が千切れそうなほどに痛む。


(痛.....ウッ、気持ち悪っ......)


 全く抵抗出来ない中、黎翔の状況はどんどん悪化する。


「ギャギャッ、ギャギャッ!!」


 対してモンスターは、楽しそうに笑いながら振り回し続けていた。


(クソ、クソ.....!どうしたら......っ!!)


 力の入らない腕を必死に引っ張り、離させようと努力する。

 が、当然そんなことできるわけもなく.....傍から見たら、抵抗していることすら分からないような光景が続いた。


 が────


「ギャッ!」

「っ!?」


 パッ、ビュンッ!


「なぁぁぁぁぁ!?」


 突然、握っていた右腕を離す。

 空中を旋回していた黎翔の身体は、支えを失って上空へと飛ばされる。


(ヤバい、受け身受け身受け身......!!)


 ハンマー投げのような放物線の軌道を描き落下する中、少しでも衝撃を和らげようと必至値思考する。

 だが、武道も何も未経験の黎翔は受け身のやり方を知らない。そのため.....


 ヒュー.....ガンッ!


「がっ.....!!」


 綺麗に背中から落下し、全身に強い衝撃が加わる。


(い.....っ!?)


 痛みが全身を包む中、黎翔の視界は捉えた。

 こちらに高速で接近してくるモンスターの姿を。


(ヤバ.....逃げないと、ここから......っ)


 上半身を起こそうと力を入れる。が、落下の衝撃のせいか上手く動かない。


「ギャギャッ!!」

「........っ!!」


 右腕を振り上げたモンスターが目の前まで迫る。


(あれ喰らったら死ぬ......っ!!)


 必死に力を入れてもがく。が、それでも身体は起きなかった。


(動け動け動け動け動けェ.........っ!!)


 上半身を起こすことを諦め、どうにか身体を動かせないかと更にもがく。そして───


「ギャッ!」

「っ!!」


 ドカァァァァン!!


 轟音が辺りに響く。地面が抉れ、土埃が舞う。

 黎翔は────


「ハァ、ハァ、ハァ.....っ!!」


 拳が地面に命中する寸前に、ギリギリで身体を動かすことに成功した。即座に飛び退き、なんとか回避していた。

 心臓や脳などの、致命傷だけは。


 ボタタッ......


「......っ」


 拳の速度は尋常じゃなかった。黎翔が完全に回避することは出来ず.....

 右肘から下に命中、元々使い物にならなかった右腕が吹き飛ばされ、血が流れ落ちていた。


 その上.....


(目が.....回る.....)


 先程振り回された時の影響が未だ残り、黎翔の視界は徐々に捻れ始めていた。今立っていること自体がやっとなのだ。


「ギャーッギャッ!!」


 目の前のモンスターが、手を叩きながら笑っているのが見えた。

 普段なら苛立つのだろうが、今の黎翔にそんな余裕はない。


(立って.....ないと.....)


 上半身がふらつく。足元が少しずつ揺らぐ。

 否───揺らいでいることにすら気づけない。


(痛い.....気持ち悪い.....立って.....て.....それで.....)


 だんだんと、意識が朦朧とする。

 目眩と失血で既にほとんど思考は働いておらず、実質意識は無いに等しかった。最早、自分が今何をしているのかさえ認識出来ていなかった。


 それでも......


(立って.....るんだ.....死なないために.....)


 揺らぐ意識の中、ただモンスターを睨みながら、黎翔はその場に立っていた。全身から力が抜けているのに、顔を上げて焦点を合わせることすら出来ないのに。


「キキキッ.....」


 そんな死にかけの黎翔に、モンスターがゆっくりと近寄る。一歩ずつ、黎翔の目の前まで。


(立って......立って.........立って............)


 黎翔は、その事実を認識していなかった。辛うじて開いた瞳は既に機能を失い、だらんと開いた口からは涎がポロポロと滴っている。


 そして────


「キャーッキャッキャッ!!」


 黎翔の目の前で、モンスターは思いっきり腕を振り上げ───

 黎翔目掛けて、振り下ろした。




──────────────────

蒼井黎翔 ID: 137438691328

Lv.7

POW:757 DEX:632 DEF:468

INT:0 MP:0 RES:0  Total:1858


職業:狩猟者 階級:特異

スキル:『狩人の心得』パッシブ

『狩猟者の勘』アクティブ化 3010s


ステータス補正:物理特化

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読んで頂きありがとうございました。よろしければ、いいね・ブックマーク・感想などよろしくお願いします。めっちゃ喜びます。

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