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黒流星のハンター〜魔法がありふれた世界で、召喚者は石を投げる〜  作者: 鮫野鯨
第一章 召喚、異世界最初の日
32/67

第32話 痛恨の一撃

注:今話はグロ要素が含まれています。苦手な方と15歳未満の方はそっとお閉じ下さい。

「いっっっっっっっ.........てええぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜っ!!」


 モンスターの顎に渾身のアッパーを撃ち込んだ瞬間、黎翔の左腕に強烈な衝撃が走る。


 モンスターを殴った瞬間の感覚は、最悪そのものだった。

 硬い皮膚はザラザラしており、爬虫類のようだった。鉄かと思うほど硬く.....それでいて脆かった。貫いた瞬間、その破片がいくつも手に突き刺さる感触があった。


 弱点とはいえかなりの硬度を誇る顎を素手で殴ったせいで、指の皮膚は全部破けて肉が見えていた。そこに砕けた破片がいくつも突き刺さり、ボタボタと血が滴っている。

 更に、その衝撃は腕全体に及び、骨の方まで痛みがきていた。指の骨に関しては、折れているかもしれない。


 また、表皮は硬い割に中身はそこまで硬くなく、鱗のような皮膚を突破した途端、虫を潰したかのような『プチッ』という感覚と同時に、そのまま頭全部が潰れていた。気色悪いの一言に尽きる感覚だった。


 その上、頭が砕け散ったモンスターの首から、大量の紫色の液体が吹き出し黎翔にかかった。


 生温かいそれは、恐らく血液のようなものだろうと推察できた。触ってもなんの害も無いようだったが、気分は最悪の一言に尽きた。


(クッソ痛ぇし気持ち悪ぃ.....けど.....!!)


 素手で、しかも一撃でモンスターを屠ることが出来た───その事実に、黎翔は希望を抱く。


 魔法が無くても意外といけるんじゃ───と。

 そうして、黎翔はふと油断してしまった。


「グギャアアァァァッ!!」


 まだもう一匹、すぐ側にモンスターがいるのに。


「っ!?あ、しまっ───」


 黎翔が気づいた時には、既にモンスターの腕は目の前に迫っていた。間もなく、強力な一撃が黎翔を粉々に消し飛ばすであろう、と推察できた。


 刹那───


「っ!!」


 黎翔は、完全に反射で右腕を目の前に伸ばした。

 そこには、明確な攻撃の意志も、攻撃を防御するつもりもない。本当に何も考えず、ただ反射で伸ばしただけだった。


 なのに、その右拳は───


 グシャッ!!


「グギャッ!?」

「え??」


 まっすぐに、モンスターの腹を貫いてしまった。

 モンスターは口から紫色の液体を吐き出し、そのままだらんと脱力する。


(え、え?なんで???)


 あまりにも呆気なく突き刺さった右腕を、呆然と眺める。自分でも何が起こったのか分からないまま。


(よく分からんけど.....倒した、んだよな?てか気持ち悪っ!串刺しじゃん!!)

 

 冷静になってはじめて、自分の腕に生物が突き刺さっている異様な光景にドン引きした。そのまま無理やり引き抜く。


 ドサッ、と音を立てて地面に落下する。これまた完全に死んでいるようだった。


 その死体を見ると、黎翔が貫いた腹の周辺が赤くなっていることに気づいた。

 それは血ではない。なぜなら、モンスターの血液(かどうかも分からないが)は紫色のようだからだ。


 つまり、この赤い部分は───このモンスターの弱点のようだった。


(つまり、偶然弱点を貫いたってことか?ラッキーすぎるな、俺.....)


 若干の呆れを感じるほどの幸運に救われ、なんとも言えない気分になった。


(腹は結構柔らかかったな。右手は無事っぽい)


 腹を貫く感覚は、さっきより遥かにマシだった。人間より少し分厚い程度の皮膚を貫き、内臓を潰す感覚は最悪だったが、顔より遥かにマシだった。


(うぇ、ベトベト.....)


 顔に飛び散った紫色の液体を腕で拭う。


(さて.....と。残るは.....)


 黎翔は、少し離れた場所に立っている、残った一匹のモンスター───さっき人を喰っていた個体の方を見る。


「ギャギャ.....」


 そのモンスターは、今のを見てなお笑っているようだった。涎を垂らしながら、馬鹿にするような目でこちらを見ている。


(.....なんだ、アイツ?今の2匹より不気味な感じがする......)


 直感的に、目の前のモンスターに対して恐怖に近い感情を覚える。

 明らかに今の2体より強い。それは、疑う余地がなかった。

 なぜなら.....


(.....アイツだけ、ステータスが見える)


 目の前のモンスターの頭の上に、紫色のパネルが浮いているのが見えた。

 それは黎翔の『ステータスウィンドウ』に近しい見た目だが、青ではなく禍々しい紫。書いてある内容も、IDや職業は無く、ステータスの数値のみが記されていた。


 モンスターのだからか?と黎翔は考察しつつ、ステータスの数値を見る。


 そのモンスターのステータスは.....


──────────────────

POW:2412 DEX:1258 DEF:1765

HP:2006 RES:-2806 INT:0 total.4635

──────────────────


 軒並み、黎翔よりも高かった。


(めちゃくちゃ格上.....!『狩人の心得』の10倍効果はとりあえずナシか。弱点は.....)


 敵の身体を、くまなく観察する。すると.....


(.....目、か?)


 目の部分が、僅かに赤くなっているように見えた。

 が、かなり小さい上色も薄い。今までより狙うのが難しく、効果もあまり期待できそうになかった。


(でも、今までの感じからして当てれば勝てそうだよな)


 そう考え、黎翔はその場で構える。


「...............っ」


 今回も、相手の出方を待つことにした。向こうが攻めてくるところをカウンターで返すつもりだ。


 だが......


「グギャギャッ!」


 モンスターは、笑うだけで攻めてこない。それどころか.....


「グギギ......」


 右手を前に突き出し、『かかってこい』と言わんばかりに挑発してきた。


(知能無いんじゃないのか.....?)


 と疑問に思いつつも、


(どのみち待ってても攻めてきてはくれなさそうだな)


 とすぐに思考を切替える。そして.....


「行くぞォ!」


 何も考えず、モンスターの方へ走り出す。


(距離詰めて、目潰して.....一撃で殺せば何も怖くねぇ!)


 モンスターとの距離は50mほど。その間向こうの攻撃に気をつければ勝てる。

 そう確信し、黎翔は一気にモンスターに突っ込んだ。


(───ん?なんか足早くね?俺)


 その時、なんとなく普段より速く走っている感覚があった。が、


(今は後回しだ。とにかくヤツに全神経を注ぐ!)


 すぐに思考を切り替える。


 驚くほどの速度で走った黎翔は、50mを2秒もかからず詰めてしまう。そして.....


「オラアアァァァァッ!!」


 全力で、無事な右腕を右目に向け振り下ろす。


「ギャギャッ!!」


 モンスターは完全に舐めているようで、攻撃が当たる寸前になっても笑ったまま突っ立っていた。


(勝った!)


 そう確信した瞬間だった。


 バキィ!!


 黎翔の渾身の右拳は、モンスターの右目に直撃し───


「っぐああぁぁぁぁっ!?」


 殴った黎翔の右手の方が、とてつもない音と共に破壊された。






──────────────────

蒼井黎翔 ID: 137438691328

Lv.7

POW:757 DEX:632 DEF:468

INT:0 MP:0 RES:0  Total:1858


職業:狩猟者 階級:特異

スキル:『狩人の心得』パッシブ

『狩猟者の勘』アクティブ化 3210s


ステータス補正:物理特化

──────────────────

読んで頂きありがとうございました。よろしければ、いいね・ブックマーク・感想などよろしくお願いします。飛び跳ねて喜びます。

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