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黒流星のハンター〜魔法がありふれた世界で、召喚者は石を投げる〜  作者: 鮫野鯨
第一章 召喚、異世界最初の日
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第29話 狡猾かつ小癪な狩り

「いや、待て待て待て待てぃ!!」


 焦って全力でそう叫ぶ。


「ん?どした?」

「どうやって攻略しろってんだよ!俺、魔法使えねぇんだぞ!?」


 ケロッとした様子の御織に、質問を投げかける。


 さっき『ソルクティス』に遭遇した時、星恋は言っていた。


『ソルクティスが発生すると一定範囲にマナが充満し、異形の怪物───モンスターが発生する。そして、ソルクティスを終わらせない限り、モンスターは無限に湧き出る』


 モンスター───過去二度出会ったあの異形の怪物を倒さない限り、『ソルクティス』攻略は出来ない。『ソルクティス』攻略とモンスター討伐は、イコールで繋がっているからだ。


 そして、モンスターを倒す方法は、御織が言っていた。


『モンスターって、見た目の通りめちゃんこ硬いの。だから物理的なダメージが通りにくくて、現に森さんの刀でも歯が立たない。でも.....代わりに、マナを介した攻撃にはそんなに強くないんだ』


 そう、物理攻撃では倒すことが出来ず、マナを介した攻撃───即ち、魔法でしか倒せないのだ。


 が、


「魔法使えないんだろ!?じゃあどうやりゃいいんだよ!!」


 魔法系のステータスが軒並み0の黎翔にとって、倒す手段など存在しないのだ。


 一応、星恋はスキルを使って倒していたが.....まだレベル1の黎翔が、あのような強力なスキルを持っているとは思えなかった。


 そうして焦る黎翔を見て、御織はニヤリと笑う。


「それを考えるのもキミの仕事だよ?しばらくは、アタシからは何も言わないし手も出さないからね!」

「は、え??嘘だろ??」

「本気だよ?」


 御織はまっすぐ黎翔を見ながらそう言った。

 その瞳から、嘘をついているようには見えなかった。


(え、え?ホントに俺が戦うの?モンスターと?)


 御織の態度が本気だと分かり、更に焦りが募る。


「あ、ホラ!そろそろ多分モンスター湧くよ?準備しなきゃ!」

「準備ってなんの準備だよ!?丸腰だぞこっちは!!」

「だいじょーぶだって!」

「何を根拠に!?」


 黎翔はアワアワと叫び散らかす。


(どうすりゃいいんだよ!?もう頭回んねぇって!!)


 この状況の回避方法を探そうとするも、疲れきった黎翔の脳は全く仕事をしなかった。なんのアイディアも浮かばない。


 そして────


「グギョォォォォッ!!」

「っ!?この声は.....!!」


 アタフタしていると、少し離れた場所から『あの声』がした。

 そう───モンスターの雄叫びだ。


「み、御織!一旦話し合わな───」

「頑張ってね〜!ホントに死にそうになったら助けるから!」

「無視!?」

「あ、ホラ来たよ!」

「え、ちょ!?」


 御織が指を指す方を見ると、そこには一体のモンスターが立っていた。


 ゴツイ皮膚と巨大な腕・顎を持つ、あの禍々しい様相を呈するモンスター。

 その姿を見るだけで、黎翔は恐怖を感じ───


「ってあれ?なんかちっちゃくね?」


 ───る前に、違和感に気づく。


 今黎翔の目の前にいるモンスターは、黎翔の身長より20センチ程小さかった。『ボス』の十分の一程度、最初に会ったモンスターの三分の一程度だ。


「この『ソルクティス』はだいぶん弱めだからね〜。出てくるモンスターも弱いんだよ」

「そうなのか?」

「んむ。だから多分なんとかなるよ!」


 そう言われて、もう一度モンスターの方を見る。


(今まで見てきたヤツらに比べると.....まぁ、まだ弱そうには見えるか)


 サイズ感にどことなく可愛らしさを感じ、少しだけ倒せそうな感覚が湧いてきた。


「.....ま、やるだけやってみるか」


 死にかけたら御織が助けてくれる以上、挑戦自体にデメリットはない。それに倒せたら儲けものだ。


 そう自分に言い聞かせ、必死にやる気を出させた。


「ま、見せてやろうじゃん?猟師の狩りってやつをな!」

「お〜!絶妙に頼もしくないセリフ!」

「辛辣すぎでは?」


 軽口を叩きつつ、黎翔はモンスターに正面から向き合う。


(さ〜て、どうやって倒すか.....)


 黎翔との距離は約30mほど。向こうは恐らく遠距離攻撃は持っておらず、その条件はこちらも同じ。この距離では互いに何も出来ない。

 どちらかが距離を詰める必要があるが.....黎翔は距離を詰めたとて、攻撃手段がない。突っ込んだら死ぬだけ。


(.....情報が足りない)


 黎翔は、モンスターの特徴について「堅い」「マナに弱い」「力が強い」くらいしか知らなかった。知能の程度も、行動パターンも、何も知らないのだ。

 今まで見たモンスターを思い出すが、特段情報は無さそうだった。戦っていた人間が強すぎたせいで.....


(.....あ、でもアレなら行けるんじゃね?)


 思い出す過程で、黎翔はふと敵の倒し方を思いつく。が、


(いやキツいか?でもそれくらいしか倒しようが.....)


それには複数の条件が揃わないと厳しい上、黎翔からアクションを起こして誘発することも厳しい。かなり運要素の高い作戦だった。


(ま、どっちみち俺じゃ倒せねぇからな。なんにせよ、向こうが動くまでは待ちだ)


 モンスターをじっと見つめる。唯一のチャンスが訪れる瞬間を待ちながら。


「グルルルルル......」


 少しずつ、モンスターの口が開いてきた。ボタボタと大粒のヨダレがこぼれ落ちている。


「ちょっと黎翔!早く戦ってよ!待ってても何も変わんないよ!!」


 待つのに飽きたと思われる御織からブーイングが飛ぶ。が、それでも黎翔は気にしない。


(勝つこと優先だ。面白さなんて求められても困る)


 じっくり、確実に勝つために、その場から一歩も動かない。


「グルルルルル......!!」


 モンスターの方は、必死に我慢しているようだった。だが.....それももう限界と見えた。


「グルルル.....グギョォォォォッ!!」

「っ!来た!!」


 モンスターは、ものすごい勢いで地面を蹴り、走り出す。


 その小さい体躯に見合わぬ剛力は、蹴った地面を粉砕する程だった。


(怖すぎだろ!?まぁでも.....おかげで勝てそうだ)


 恐怖を感じつつも、黎翔はその場で動かない。


 どんどんモンスターが迫ってくる。30mの距離があったはずなのに、3秒程度で黎翔の目の前まで迫っていた。


(まだだ、まだ引きつけろ.....!!)


 それでも尚、黎翔は動かない。足も手も恐怖で震えそうなのを、必死に我慢する。


「グギョォォォォッ!!」


 モンスターとの距離が2m近くなり、モンスターが巨大な腕を振り上げる。


(.....!ここだっ!!)


 その瞬間、


「うおおおぉぉぉっ!!」


 一気に、黎翔は真横に飛び退く。

 モンスターの腕が黎翔の耳を掠めたものの、ギリギリで回避する事に成功した。


「グギョッ!?」


 猛スピードで迫ってきていたモンスターは、黎翔という的がいなくなったせいで、勢い余って黎翔が元いた場所の真後ろにそのまま突っ込んでいった。


 そして、モンスターの突っ込んだ先には.....


「っ!?ちょ、まっ!?」


 腕を組んで黎翔の戦いを鑑賞し、完全に油断しきっていた御織が、未だに突っ立っていた。


「あぶなっ!?」


 バコォン!!


「グギャッ!!」


 御織は、高速で飛んできたモンスターに驚き、反射的に魔法を発動する。

 世界最強の少女の魔法を受けた弱めのモンスターは、当然耐え切れるはずもなく.....


 その場で短い悲鳴を上げ、粉々になってしまった。




──────────────────

蒼井黎翔 ID: 137438691328

Lv.2

POW:257 DEX:132 DEF:168

INT:0 MP:0 RES:0  Total:558


職業:狩猟者ハンター 階級:特異

スキル:『狩人の心得』『狩猟者の勘』


ステータス補正:物理特化

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