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黒流星のハンター〜魔法がありふれた世界で、召喚者は石を投げる〜  作者: 鮫野鯨
第一章 召喚、異世界最初の日
25/67

第25話 職業

「えっと.....詳しく説明してほしいんだが.....」


 声を揃えて叫んだ2人に、冷静に質問する。


「そうだねぇ.....そうなるとまずは『職業(ロール)』の話をしなきゃかな?てなわけで〜.....」

「分かっているとも。僕が伝えればいいのだろう?」

「いぇ〜す!」


 御織(みお)(ひじり)は、何故か見たことのある会話を繰り広げた。そして、ため息をつきながら聖が黎翔の方を向いて話し始める。


黎翔(れいと)、御織から『ステータス』の話は聞いているね?」

「あぁ」

「じゃあ話は早い」


 少しだけ安堵するような表情をしたのち、再び真面目な顔に切り替わる。


「この時代には、『職業』という概念が存在するんだ。文字通り、ある特定分野に特化した能力を手に入れることが出来るとても重要な『ステータス』のひとつだよ」

「特化した能力......」


 『職業』という新たな概念に、黎翔は更に混乱を深めていた。


(『ステータス』の一種として『職業』ってのがあんのか?話聞く限り人によって違う感じなんだよな.....)


 なんとか理解しようとしていたところ、聖がさらに話し始める。


「『職業』の化学的な証明は今は省くね。『ステータス』も関連してしまうから」

「是非そうしてくれ」

「うん。今は軽く『職業』の特徴を説明するね」


 聖は黎翔の情報処理が限界なのを悟り、簡単な説明に留めることを宣言してくれた。黎翔はそれを聞き、少しだけ聞く気が沸いた。


「『職業』の特徴として、説明すべきは3つ。一つ目は、就職条件があることだ」

「条件?」

「そう。『職業』は.....あとで説明するけど、持っている人といない人とで大きく能力が異なる重要な能力。ただ.....『職業』を獲得するには、一定の『ステータス』に達してないと獲得できないんだ」

「なるほどな」


 妥当な話だ、と感じた。そう簡単に手に入るほど人生は甘くないと、黎翔はよく知っている。


「2つ目、『職業』がもたらすメリットについて。ここでは『スキル』について話そうかな」

「『スキル』.....」


 黎翔はその言葉に聞き覚えがあった。


(確か.....アレだ、星恋が使ったやつ)


 その単語は、先程御織と星恋が『ボス』を倒した時使っていた言葉だった。


『スキル───魔炎刀(フレアブレード)!!』


 その言葉と同時に放たれた異次元の一撃を、今でも覚えている。


「その『職業』を獲得すると『スキル』を使えるってことか?」

「その通り。具体的には、次に説明する『職業』の種類によって使える『スキル』は変わるんだ。ということで.....」


 聖はチラリと後ろを向いた後、再び口を開く。


「3つ目は種類について。『職業』は確認できているだけでもかなり種類があるんだけど、モノによっては強い・弱いの差がかなりハッキリしてるんだ。それによって『スキル』の強弱も比例する感じかな」

「ん......?言い換えると、『職業』は無限に存在するんじゃなくて、一定数の種類しかないんだな?」

「その通り。それで、その種類なんだけど.....」


 パチン、と指を鳴らすと、御織がどこからか一冊の古そうな本を持ってきた。

 手渡されるや否や、聖はそれを慣れた手つきで開き、とあるページを黎翔に見せる。


 黎翔が覗き込むと、そこには『職業一覧』という見出しの下に、大量の箇条書きが並んでいた。


「うおっ.....!?」

「これが『職業』。全部説明するのは難しいから階級分けだけ簡単に説明するね」


 そう言いながら、聖は見出しの一つ下の行を指さす。


「ここに並んでるのは、一番数が多く、獲得も簡単で、控えめな強さの『一般職』。『職業』持ちの大半は一般職を持ってるんだ」

「なるほど、そういうことか」


 黎翔は、その本の内容を少しずつ読む。そのうちに、聖が言っていたことも理解し始めた。


「下に書いてあるのが職業名で、その横に書いてある数時が獲得条件ってわけね」

「うん、正解だよ」


 本の文字を指さしながら、黎翔はそう聞いた。


 箇条書きの部分には、『戦士』や『魔法使い』といった職業名らしきものが並び、『POW300』や『INT300』といったステータスの文字が並んでいた。

 だから、なんとなく理解できた。これが聖の言っていたことか.....と。


 聖は黎翔を横目に、1ページめくる。そこには、またも箇条書きが並んでいた。

 ただ、さっきより数は少ないようだった。それに.....見出しのタイトルが異なっていた。


「話を戻すけど.....『一般職』より少し強くて条件が厳しい『上級職』っていうのが存在する。この国の10%くらいしかいないエリートだよ」

「へぇ.....結構すげーんだな」


 本に目を通しながらそう返す。

 『上級職』は、条件が『POW500、INT500』のように2つ以上のステータスが必要となるものが多いようだった。なるほど、難しいわけだな.....と察する。


 と思っていたら、聖が更にページをめくった。


「実は、まだ上があるんだよね」


 次のページを見せながら、聖はそう言う。

 そのページは、極端に箇条書きが減っていた。『一般職』は30個近くあり、『上級職』は15個近くあった。が.....


 このページには、5個しか箇条書きがなかった。


「ここに書いてあるのは、最も獲得が困難で、最も強い職業───『最上位職』だよ」

「『最上位職』.......」


 黎翔は、そう呼ばれている所以をすぐに察した。なぜなら.....


 条件が、『POW・INT2000』や『DEX5000』など、明らかに桁違いのものばかりだったからだ。


「『最上位職』の人間は、この国には7人しかいない。最強の一角を担う超エリートだよ」

「7!?エグいな.....」


 数字だけ見ても実感がなかったが、そうして聞くと改めて凄まじい難易度だと理解できた。


「てか.....その最上位職持ちの7人って、聖と『花被片騎士』なのか?ちょうど7人だよな」


 黎翔は確信を持ってそう聞く。が、聖はすぐに首を振った。


「ううん。星恋と泰輔、鳴花は上級職だよ。僕も最上位職じゃないし」

「え、そうなのか?」


 少し意外な回答に驚く。


(聖は絶対そうだと思ったんだけどな.....)


 そう思考していると、聖は「コホン」と咳払いをして意識を向けさせた。


「それに関して、補足があるんだ」

「補足?」


 聖は、再び話し始める。


「『職業』は、基本的には今の本に書いてあったものが全てなんだ。なんだけど.....本当にごく稀に、あの本に載っていない特殊な『職業』を持っている者が現れるんだ」

「特殊な『職業』?」

「そう。他の人は獲得できないっていうその唯一性から、『特異職業ユニークロール』と呼ばれていてね、かなり強力なものが多いんだ」


 聖がそこまで言った時、黎翔はあることに気づいた。


 聖が、やけに嬉しそうに話していることに。


「え、まさかお前......」

「うん。僕は『特異職業』の持ち主なんだ」

「マジか......」


 黎翔は驚きと同時に、少し納得も出来てしまった。


(あの魔法無効の《スキル》、絶対ヤバいと思ったんだよな)


 自身の直感の命中に少しだけ嬉しくなりつつ、そんなバケモン相手に優勢だった御織に若干恐れを抱いた。


「で、ここからが本題なんだけど」

「え、今までの前置きだったの?」


 黎翔は少しだけ面倒な気持ちになる。情報量が多すぎて疲れてきたのだ。

 仕方なく耳を傾けると、聖はサラリと一言だけ発した。


「黎翔、キミ実は『特異職業』持ちなんだよね」

「..............んぇ?」


 明らかに伝え方を間違えている特大情報に、黎翔は気の抜けた返事を返した。

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