お風呂に入る……テンプレですよね 1
楓たちが衛兵から事情聴取をされてから一日が経った。
昨日は楓がメンタル的にやられているということで特別にクラン全員で事情聴取を行うことになり、一時間ほどかけて事の顛末を代表でアルが衛兵に向かって説明をした。
すると、どうやらこの街の教会は色々と黒い噂が流れていたのかアルが簡単に説明をするとすぐに納得して事情聴取は終了した。
だが、さすがにそれで終わりということには出来ないようで昨日は事情聴取が終わると衛兵がリングベリーで一番高級なホテルを用意してくれて、そのおかげで楓のメンタルも次の日にはしっかりと復活していた。
「教会の祭壇から聖国への反逆を裏付ける証拠が多数発見されました。ご助力感謝します」
「いえ、今回はありがとうございました。正直、ここまで丁寧な対応をしてくださるとは思いませんでした」
「実は僕カエデさんたちのことを知ってたんです。ついこの前まで王都で仕事をしていましたから。最近盛大に結婚式を挙げられたんですよね?おめでとうございます」
楓たちはこの衛兵の話を聞いてなるほどと納得した。
昨日からなぜこの金髪の青年は一つの街のではあるが教会という大組織を壊滅させたのにもかかわらずこうまで自分たちを信じてくれるのかわからなかったが先ほどの青年の話を聞いてようやく理解することができた。
つまりこの青年は楓たちの偉業を知っていたので教会から出てきたときも軽く驚いただけですぐに楓たちの話を信じてくれたと言うことなのだ。
「ありがとうございます。今回は本当にありがとうございました」
楓は最後に心の底から感謝の気持ちを伝えると金髪の青年と握手をしてそのまま詰所を出ていき早々にリングベリーから発つことにした。
ちなみに、宿のお金は最初はあの青年が全て自腹で払ってくれようとしたのだが、さすがに給料の一ヶ月分全てを使わせるのも申し訳なかったので楓は自分で払っておいた。
青年は本当に申し訳なさそうにしていたが楓からすれば予約を取ってくれただけでもすごくありがたかったので特に気にすることはなかった。
最後にはなるがリングベリーに帰ってきてから珍しくいい人間に会えて非常に良かったと楓たちは話しながら、そのままリングベリーの門を通ってルーナたちのいた村まで走っていくのであった。
「もう少しで着くと思う」
「だな。ここの空気も久しぶりだ」
「そうか。なら日が沈んできたことだし今日はここら辺で野営をして明日の朝ルーナたちのいた村へと行こうか」
「「「「了解!」」」」
リングベリーを出発してからまる一日と半日が経過した今、ようやくルーナたちのいた村の近くまでやって来られたことに楓たちは思わず安堵からかふっと息を吐いた。
リングベリーを出発してからは本当に安全なもので例によってかなり早い移動速度でルーナたちの村を目指し、その結果1週間以上かかると言われているところをたった一日半で到着することができた。
ちなみに、なぜ後もう少しというところで野営をするのかというと、ルーナたちの村は森の中にひっそりとあるらしく今から森の中に入っても、視界が悪くメイドたちが危ない可能性があるということで森から少し離れたところで野営をすることになったのだ。
それと、後一つ理由を挙げるとするならば……
「露天風呂を作りたい?」
「そう。今回の旅行って息抜きがメインだろ?なのに、息抜きどころか面倒ごとに遭遇しすぎて正直疲れた。ってことで、心も体も癒してくれる露天風呂を作ろうというわけだ」
「いいねー!私も久しぶりに露天風呂に入りたい!……と言う前にどこに作るの?」
「え?ここ」
楓はそう言ってテントや調理器具などがおいてあるところから少し離れたところに二十人は余裕で入ることができるであろう広さの温泉を一瞬で作り出してしまう。
しっかりとお湯には疲労回復等の効果も染み込ませてあるし、女性陣のために肌にもいい効果を付与してある。
ただ露天風呂を作るだけと言うのは楓のものづくり魂的に納得いかないのか後から色々露天風呂にありそうなものを設置して本格的な露天風呂が出来上がってしまったが、楓的には何も後悔していないので問題ない。
「マスター。そこにある鹿威しや竹などは必要なかったのでは?」
「雰囲気づくりだよ。やっぱり疲労を回復させるのには万全の用意が必要だからな!」
「最近大丈夫だと油断していましたが、マスターはもともと自重? ナニソレオイシイノ?レベルの人でしたね。油断しました」
「まぁまぁ、そんなことはいいからさ。後で日向たちと一緒に入るといい」
「マスターは入らないのですか?」
「さすがに女性陣と入ると俺の理性がな。ってことで今のうちに一人で入ることにするよ」
「ふふっ、そうですか。では、ゆっくりと疲労を回復してきてくださいね」
「おう!」
楓は何か含みのある言い方をするナビに気にすることなく返事をするとそのまま着替えるためにパパッと作った簡易着替え室に入って行った。
それから十分後、楓はナビにお風呂に入ることを伝えたことを盛大に後悔するのだが、今の楓はそんなこと微塵も考えもしないのであった。




