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教会 2


「お待たせーって、何かあった?」


 ルシフェルが教会騎士たちを脅してからしばらくすると日向たちが宿の外へと出てきた。


 すると、あまりにも教会騎士たちが大人しいことに日向たちは宿の中からでもルシフェルの威圧を感じ取れているはずなのだが、何も知らないようなおどけた様子で楓にそう聞いた。


「いや、何もない。それじゃあ、行きましょうか」


 楓はそんな日向たちの様子を見て苦笑いになりながら教会騎士にそう言って馬車の方へと向かった。


 先ほどの教会騎士の対応が気に入らなかったのは楓もわかるが、ここで日向たちに乗ってしまうと流石に教会騎士たちが可哀想だと思いあえて日向の質問をはぐらかして教会騎士が用意した馬車へと向かっていった。


「あ、あぁ。了解した。2台用意してあるのでそちらに乗っていただけるとありがたい」


「わかりました。じゃ、各々適当に馬車に乗って教会に行くか」


 楓が歩き出したことによって日向たちも何か言いたげにしていたが黙って楓の横について同じ馬車へと向かいだした。


 馬車は十人くらいなら乗れるようになっており、1台目に楓と日向たちが乗って2台目はその他となった。楓たちが馬車に乗り込むとすぐに御者の男が準備をして教会に向かって馬を走らせて行った。


 楓たちの泊まっていた宿から教会まではそこまで距離はないので10分くらいで目的地であるリングベリーの教会へとたどり着くことができた。


「では、司祭様を呼んでくるのでしばらくこの部屋で待っていただけるとありがたい」


 教会の庭で馬車が止まると楓たちは教会騎士たちにそのままとある一室へと案内されてそこで少し待つようにお願いされた。


 本当に先ほどの宿のドアを蹴破ってきた時とは考えられないような対応に楓は思わず申し訳なく思ってしまうのだが、別に自分たちにとって都合の悪いわけではないのでそのまま教会騎士に礼を言ってその場でしばらくの間全員で待機をするのであった。











「結構長く待たされるんだな」


「いろいろ準備があるんじゃない?あ、来たみたいだよ」


 楓たちが教会騎士に部屋へと案内されてから約一時間以上が経過していた。


 10分程度で準備ができると予想していた楓たちは流石に一時間以上待たされてそろそろ帰ろうかと思い始めていたが、その前にドアがノックされて一人のメイドが楓たちの前へと姿を現した。


「司祭様の準備が整いましたので、ご案内させていただきます」


「あれ、騎士じゃないんだな」


「教会騎士様は司祭様や巫女様の護衛をされていますので、私が案内役を仰せつかりました」


 楓は教会にメイドがいることが不思議に思ったのかそう声に出してしまうがメイドは笑顔で楓の疑問に答えた。


「逃げたね」


「逃げましたね」


「逃げたわね」


「その辺にしておいてやれ……」


 メイドの話を聞いた日向たちは皆そう思ったのか口々に面白そうな笑みを浮かべてそんな挑発ともとれる発言をし出した。


 楓も薄々そんな気がしていたのだが声には出すことはなかったが、日向たちは遠慮なく教会騎士をからかっていく。一応楓たちの前には教会専属のメイドがいるので楓も日向たちを注意はしておいたが、思っていることは一緒なので否定はしなかった。


「教会騎士様の侮辱はお控えいただけると幸いです。それでは、ご案内させていただきますね」


 メイドが思っていた以上の威圧を放ってきたことによって完全に油断していた日向たちは肩をビクッと震わせて驚いた。


 全然日向たちには敵わないにしろ、絶対に普通のメイドではありえないほどの力を見せた教会専属のメイドに一気に警戒を強める『無限の伝説』であったが、それ以降は特にメイドからのアクションはなく、ゆっくりと司祭や巫女がいるであろう部屋へと歩き出した。


「メイドさんだよね?」


「あぁ、きっとアウラたちと同じ感じだろう」


「私たちとですか?そうですね。対処はできそうですけど、時間がかかりそうです」


「しょうがない。普通にAランク冒険者レベルの力は持っていそうだしな。何かあったら俺が対処するからアウラたちは安心してくれ」


 楓はそう言いながらアウラたちメイド陣を楓やアルの後ろへと移動させる。


 最後尾にはルシフェルとセバスがいるので後ろからの奇襲は心配する必要もないし、アウラたちの左右には日向やミルなどがついているのでこれで奇襲をされてもアウラたちが怪我をすることはなくなったと言えるだろう。


 メイドがいる前で堂々と対策を練る楓たちに、等のメイドは面白いものを見るような笑みを浮かべているが、楓たちは全く気にした様子はない。


「そんなに警戒されなくても大丈夫ですよ。今はまだ何もしませんので」


「今は、ね。帰っていいか?」


「せっかくですからこのまま巫女様にお会いになってください。話がうまくまとまれば何も戦うことにはなりませんから……っと、そんな話をしている間に着きましたね」


 メイドはそう言って壮大な扉の前で立ち止まり扉を開ける。


 先ほどのメイドのこともあってすでにこの街を早急に出て行きたい楓であったが、もう引くに引けないのでそのまま司祭と巫女がいるであろう部屋へと入っていくのであった。

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