貴族会議 4
先ほどのポーションを配ったせいで、貴族たちは…というよりかは一部の楓たちを認めない貴族たちが先ほどから騒いでいる。
「きっとポーションを大量に買ったに違いない」だの「エリクサーは一個だけ本物であとは偽物に違いない」だの、挙げ句の果てには「全て奪ったものではないか?」と逆に楓たちを犯罪者として扱いたがっているような貴族までいた。
それら全てミルのお父さんによって黙らさせられていたが今もなおかなり不満そうである。
「僕たちはただ、ポーションを作って配っただけです。それより、本題に行きましょう」
「そうですな。では、ポーションの件はひとまずおいておいてカエデ殿たちの魔物殲滅戦においての活躍の件に移りましょう」
「カエデ殿が魔物を召喚して自作自演を行なった可能性があるという話もありますぞ」
「えぇ、私の兵がそのような証言をしておりました。カエデ殿、その辺はどうなのですかな?」
楓がポーションの話はこれで終わりと司会に告げると、そのまま本題の楓の魔物殲滅戦においての活躍についての話に移ることになった。
司会がその話をしだすと、先ほどのポーションの仕返しとばかりに反対派の貴族たちがこぞって楓を批判し始める。
しかも、楓のデマ証言をしている貴族までここにいる。反対派の貴族からしたらその貴族は英雄みたいなものかもしれないが楓たちからしたらいい迷惑以外の何物でもない。
楓がそっとルーナやヒストリアの方を見るとそこには今にも斬りかかりそうなほど震えていた。
ちなみに、この会議では騎士団長と宮廷魔術師長だけが武器の所持を認められている。
まぁ、楓たちは先ほどポーションを出した通りストレージがあるのだからあまり意味なかったりする。他の面々もアイテムボックスを持っているし本当に楓たちにとったら意味のないことである。
「その兵士は嘘の証言をしています。僕たちが魔物を召喚した?なんの意味があって?」
「そんなもの、バルバトス様やこの国の住民から信頼を得るため以外の他に何があるのです?しかも、聞くところによれば魔物が来るのを察知したのはカエデ殿たちだと伺っておりますが、その辺も怪しいところですな」
「先ほどのポーションの件を見ていただければわかると思いますがわざわざ魔物を召喚しなくても僕たちは他に役に立つ手段がたくさんあります。それに、今回は騎士団長様や宮廷魔術師長様も一緒に魔物殲滅作戦の最前線で戦っていただいていました。あなた方はこの国の2トップが嘘をついていると?」
楓はそう言ってルーナ達に視線を送った。
これだけで、ルーナ達なら楓が何を求めているのかがわかるだろう。
「はい。確かに私たちはカエデ殿たちと一緒に魔物を殲滅して行きました。ですが、私たちでもカエデ殿たちにはついて行くのがやっとでした」
「うん。それは私も証言する。断じてカエデ達は嘘をついていない」
ルーナに続いてヒストリアまでもが楓達が偽物の英雄でないことを証言した。
これで、だいぶやりやすくなっただろう。一介の兵士の戯事よりも騎士団長や宮廷魔術師長の言葉の方が重たく説得力がある。
ミルのお父さんも黙ってルーナとヒストリアの証言に頷いていた。
ミルのお父さんは会議中はあまり話すことができない。なんでも、それがこの国のしきたりらしい。意味わからないが、めんどくさいだけのしきたりなど早くなくしてしまいたいとミルのお父さんも以前言っていたのでそのうちこの制度もなくなることだろう。
ただ、今回はまだその制度の最中に行っているのでミルのお父さんが直接助言をするのは期待できない。
「もういいでしょう。そもそも、あなた達の証言には穴がありすぎる。僕たちは正当な理由で魔物を倒し、この国を救ったのです」
「しかし…」
楓が強引に反対派の貴族達に自分たちの正当性を主張すると困ったような表情をして口ごもり始めた。
最初から、破綻している話ではあったがここまで無計画に反対されるだけだと楓としてもただただ虚しくなってしまうだけである。
「くだらぬな」
楓がそろそろ終わらせようとすると急にルシフェルが腕を組んで目を瞑ったままそんなことを口からこぼした。
「なんですと?」
まさか、そんなことを言われるとは思ってなかった貴族達が驚きながらもルシフェルにどういう意味かを問いただす。
「くだらぬと言っている。もっと、根拠のある言い分を持ってくるかと思えばただただこの場でカエデを否定するばかり。正直、虫唾が走る。貴様らは今、カエデに助けられてこの場でこうしてくだらない言い合いができていることを自覚しているのか?」
「言葉遣いがなっていませんね。やはり、英雄といってもこの程度ですか」
「はっ、なぜ我が貴様ら下等生物に敬意を払わねばならんのだ?我が敬意を払うのは我の家族であるこの『無限の伝説』のみである。カエデ、いいか?」
「あぁ、好きにしろ」
ルシフェルは楓に何か確認をとる。
貴族達はルシフェルと楓のやりとりにはてなマークを浮かべているが当人である2人ではそのやりとりでルシフェルが何を望み、楓が何を許したのかはすぐにわかった。
「何をしているのかはわかりませんがあなたたちは偽物ですぞ。立場をわきまえ…」
「それはこちらのセリフだ。貴様は誰を前にしてそんな好き勝手言っているのかわかっているのか?まぁ、わからないだろうな。なので、1度だけここで名乗ってやる」
ルシフェルはそう言って不敵に笑うと席から立ち上がり貴族たちの方をすっとみる。
ルシフェルが急に立ったことで壁で控えていた護衛たちが一斉に警戒するがルシフェルも、そして楓も一切気にした様子はない。
最後に、ルシフェルは少しだけ殺気を込めてこういうのであった。
「我はルシフェル。異世界の魔王なり」




