貴族会議 3
「これより貴族会議を始める」
ミルのお父さんがそう宣言すると、宰相っぽい人が出てきて司会を務めると言って場を仕切り出した。
「それでは、これより街の英雄となられたカエデ様たちについて議論をしていきたいと思います。が、その前にカエデ様たちが粗品を渡したいとのことなのでまずはそちらからいきましょうか」
司会のおじさんはそう言って楓に話を振ってくる。
「今更ですがまずは自己紹介から…クラン『無限の伝説』のクランマスターをしております楓です。本日はお集まりいただいてありがとうございます。先ほど、お話ししていただいた通り、先ほど私たちクランメンバーたちでポーションを作成してみましたのでよければそちらを粗品とさせていただきたいなと思います」
楓はそう言って自分の机の前にポーションをストレージの中から次々にだしていく。
それをみている貴族たちは驚いているがこの程度で驚いてもらっては楓たちも困る。これから、まだまだ楓たちは力を見せつけていくのだから。
「右から順に日向、ミル、ルミナ、エリス、ナビ、アル、ルシフェルが作成したポーションとなっております。アルとルシフェルが作成したポーションは魔力回復ポーションとなっておりそれ以外は普通のポーションです。品質はどれも最高以上なのでご安心ください。後ほど、皆様に贈らせていただきます。その前にバルバトス様にはこちらの方を献上させていただきたく思います」
楓はそう言って例のエリクサーをストレージから5個出現させる。
その瞬間、一気に場が湧き貴族たちは一斉に「エリクサー!?」「偽物か!?」などと騒ぎ始める。
「カエデよ。私は先ほど普通のものだと聞いていたのだが?」
「はい、『あのポーション』は日向たちの手作りです。これは僕が作りました。ミルからバルバトス様が必死に探していたと聞いていたのでこちらを献上させていただきたく思います」
「嘘だ!エリクサーなど簡単に用意できるものか!きっと偽物だ!それはバルバトス様に不敬ではないか!」
「そうだ!カエデ殿が1人で作った?嘘もそこまでいくと哀れですぞ!」
「あれはエリクサーに見せかけた毒かもしれません!バルバトス様!そんなもの受け取るべきではないですぞ!」
楓がミルのお父さんにエリクサーを渡そうとするとそんなことを言ってくる貴族がいた。
あからさまに焦っている様子だったがそれはミルのお父さんの身を案じてなのかそれとも単に本物だった場合楓の英雄説が確定してしまうからか…
きっと後者だろうが楓はこの反応は想定済みである。
「では、私が試飲しましょうか?そうすれば毒が入っていないことが証明できるでしょう」
「カエデよ。それが本物のエリクサーなら1本消費するだけで大損害だ。それは避けたいのだが…」
「あぁ、まだありますから追加しますよ」
「「「「!?」」」」
楓はそう言ってさらに1本のエリクサーを机の上に出現させる。
それに、ミルのお父さん含め貴族の全員が驚いていたが楓はそれを無視して一気にエリクサーの一本を飲み干した。
「これで、毒が入っていないのが証明できましたね。それではこれをお受け取りください。貴族の皆様には日向たちの手作りポーションをお渡しします」
楓はそう言ってこの会議室にいるメイドさんたちに手伝ってもらいながら1人ずつポーションを配っていく。
もともと、楓のことを認めている貴族たちはそのポーションを受け取ると楓たちに礼を言ってきて、楓たちのことを認めていない貴族たちは楓たちに憎しげな視線を送るだけとかなり分かりやすい状況になった。
ルーナやヒストリアは事前にエリクサーを2個渡していることもあってポーションを配っている時も驚いてはいなかったがその分、呆れた表情をしていた。
それは、ミルのお父さんも同じようで先ほどから楓にやんちゃ小僧を見るような視線を送ってきている。
「一つお聞きしていいですか?」
「はい。構いませんが?」
「これはいつ、誰が、どのようにしてお作りになったのでしょうか?私の聞き間違いでなければ先ほど、クランメンバーでとおっしゃっていたはずですがみなさんポーション作りの心得をお持ちで?」
「それは私がお答えします。ポーションを作ったのは先ほどです。ちょうど5時間ほど前から始めてだいたい800個以上でしょうか。私たちは初めてポーションを作りましたが旦那様のおかげで楽しいポーション作りができました」
とある貴族の質問に楓が答えようとすると、ミルがそれを遮り簡素に、だが正確にそう伝える。
その瞬間、先ほど以上のざわめきが貴族たちから発生したがミルはなぜか得意げな笑みを浮かべるだけだった。
「4、4時間で800個以上!?しかも全て最高以上ですと!?並みの錬金術師では1時間で2個が限界なのに、カエデ殿たちは800個以上ですか…それは真ですかな?」
「えぇ、何せ私たちは『英雄』ですから。先ほどのポーシ
ョンはその材料と考えてもらって結構です」←2重記載
「ちなみに先ほどバルバトス様に献上されたエリクサーは…?」
「あれは旦那様が作られたものです。流石にエリクサーほどのものは私たちでは作ることはできませんから」
「それは、カエデ殿たちが新しいポーションの作成方法を編み出したと?」
「これ以上はさらに重要機密なのでお話しできません。ですが、新しい作成方法ではありません。どちらかというと、旦那様の力ですよ」
確かに、魔導書を使ってのポーション作りだったため楓の力というのは間違いではないのだがミルのその持ち上げのせいで楓を見る貴族たちの目がさらに鋭くなってしまう。
ここで、魔導書の話をしなかったミルにはナイスと思う楓であったがそれ以上に、ミルのせいで楓はかなり目立ってしまっているためなんとも言えないのであった。




