貴族会議 2
「すでに貴族たちは席についている。カエデたちはバルバトス様と一緒に会議室に入ることになっているのでもう少しだけ待っていてくれ。いま、ヒストリアがバルバトス様の護衛をしつつこちらに向かっているはずだ」
「了解。今のうちにポーションの整理をしようか。魔力回復ポーションは伯爵級以上でそれ以外は回復ポーションでいいんだよな?」
「はい。何かと貴族は面倒ですからね。流石に伯爵級以上と子爵や男爵とは区別した方がいいでしょう」
ついこの前まで第二王女だったミルの助言だ。それに従っておいて問題はないだろう。
「きっと、僕たちが作った魔力回復ポーションよりヒナタたちが作った回復ポーションの方が貴族の人たちは欲しいと思うけどなぁ…」
「それはあるかもしれないな。まぁ、それは相手に選んでもらおうか」
「ヒナタたちも英雄であると同時にこの街の住民たちのアイドルでもあるからな。聖女だとか女神だとか…きっと、ヒナタたちのポーションの方が欲しい貴族は多いかもしれない」
アルに続きルーナまでそういうのだから間違いないのかもしれない。
きっと、日向たちの自作だと言ってポーションを売ったら普通のポーションの3倍くらいで売れるのかもしれない。
楓は非常に試したい衝動に駆られるがお金には困っていない上にそんな恨まれるようなことをしても何も得がないということですぐに却下となった。
ちなみに、今回の貴族たちには1人につき1個ポーションを渡す予定となっている。
作りすぎてしまったがそんなに多くなくていい。貴族たちには自分たちは戦う以外にもこんな力を持っているんだぞということを伝えたいだけなので一つで問題ない。
それに、あまり渡しすぎても貴族に媚を売っているみたいで楓的に気に入らないためという理由もある。
ルーナやミルも楓のその意見はあっていると太鼓判を押してもらったのでそれでいくつもりである。
「やぁ、さっきぶりだな」
「さっきぶりですね」
楓たちが待合室でしばらく話をしたりどんな貴族が来るのか予想しているとミルのお父さんがヒストリアを連れて入ってきた。
かなりフランクな挨拶だったがここにはそれを注意するような人物はいない。
ただ、こんなフランクなのが許されるのは楓たちだけである。普通の人間が楓と同じ対応をしたら即刻不敬罪で処刑されてしまうだろう。
「お父様。私たちは貴族たちに手土産を用意しましたの。最初に渡す時間をいただけますか?」
「構わんが…私は今すごい嫌な予感がするぞ…」
「大丈夫です。他の貴族に戦力になるものは渡すつもりはありませんよ。ちなみに品物は後でのお楽しみです。日向たちが頑張って作ったものなのできっと喜んでもらえますよ」
ミルのお父さんは楓たちからの手土産と聞いて一瞬警戒していたが、楓から日向たちの手作りと聞いて何やら安堵していた。
ミルのお父さんにはミルの手作りポーションもつけてあげようと先ほどから決めていた楓であったがこの際だからアルたちの魔力回復ポーションなどもつけようと改めて決めた楓であった。ポーションの生産率が悪いこの世界においてポーションは貴重なのだが手作りなので問題ない。
「何が問題ないのか全くわかりませんよ。手作りでもあまり流出させるのはよくないと思います」
「久しぶりに心を読まれたな」
「私は常にマスターのことを見ていますから」
「ん?カエデ。あまり流出させるのは良くないって?普通のものだよな?ヒナタたちの手作りなんだろ?普通だよな?」
「え、えぇ、この街でも普通に売ってますよ」
ただし、結構高めだが…
最高級のポーションと言えば一般男性の5年間の収入と変わらないがそれは言わぬが花である。
楓のエリクサーについては市販はされていないので微妙に楓の言っていることはおかしいのだが『無限の伝説』の面々はあえてそれを黙って笑っていた。
「そ、そうか…では、そろそろいくか」
ミルのお父さんは最後に少し心配そうな表情をしていたがそれを自分でごまかすように楓たちにそういうのであった。
楓たちが会議室の中に入ると一斉に貴族たちがお辞儀をしてきた。
正確には楓たちというよりもミルのお父さんにというのが正しいのだが楓たちにもお辞儀をしているため先ほどの表現は間違っていない。
端にはそれぞれ貴族の自慢の傭兵なのか騎士なのかはわからないが楓たちを品定めするような目で見ていた。
中には日向たちにいやらしい視線を送ってきているものもいたがそれは貴族も同じなので仕方がないと楓は割り切ることにした。
貴族の護衛たちは武器は装備していないらしくみんな素手だったが魔法が使えるものがいたら武器があろうがなかろうがあまり変わらないため一応は楓たちも警戒しておく。
楓たち『無限の伝説』はミルのお父さんの後についていき楓たち専用の席に座る。ここでも、他の貴族より優遇されていることに顔をしかめているやつらがいたが楓たちとしても貴族の隣などまっぴらごめんなのでここはミルのお父さんの配慮に素直に感謝することにする。
「これより貴族会議を始める」
全員が席に着いたのをミルのお父さんが確認するとミルのお父さんはそういって会議の開始を宣言するのであった。




