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ミルとデート 2


「ミル、何故馬車がここに?」


楓たちが外に出るとすでに門の前にはどこかで見たことがある紋章の入った馬車が止まっていた。


「一度王城に戻ってお父様達に現状報告をしたいのです。それに、旦那様はお母様もお姉様も会った事がなかった筈なので紹介したいです」


「それでいいのか?」


「そんなに長くならないと思いますし大丈夫ですよ」


ミルがそういうので黙って二人で馬車に乗り込む。


今日はミルの好きな様にすれば良いと思うしミルが家族と会いたいって言うのならそれもいいと思う。


まぁ、家族と会いたいなら別にデートの日じゃなくても二人で行くのに、ミルが言うには今日じゃないと駄目な理由があるらしい。


「でも、旦那様と二人っきりって珍しくて嬉しいです」

「そうだな、あんまり二人でいる時間はなかったな。これから少しそういう時間も作ってみるか」


「そうですね、みなさんといるのも楽しくて悪くないですがたまにはこういった二人でいる時間も悪くないです」


ミルはふふっと笑ってそう言う。今日のミルはいつもよりも態度が柔らかくお姫様というよりもひとりの可愛い女の子って感じがしてとても良い。


こうやって二人でデートをすると普段見られない様な姿が見られるのでとても面白い。


しばらく二人で出会った時の話やミルが楓に惚れた時の話をしていたがすぐに王城に着いて楓とミルは案内された。


「多分、今日はお母様もお姉様もいると思いますよ」


「ミルのお母さんとお姉さんって何をしているんだ?」


「お母様はお父様のサポートを主にしていますね。昔はお父様もだいぶ頑固だったらしくてお母様の言うことしか聞かなかったらしいです。その流れでお母様は今もずっとお父様のサポートをしている感じです」


「へぇ、凄いお母さんなんだな」


「えぇ、お父様がお母様に口論で勝てたためしは一度もありません」


「それは…凄そうだな」


「旦那様も気を付けて下さいね」


ミルはにっこり笑いながら楓に向かってボソッとそんな事を言った。


「勝てる気がしないんだが…」


楓は肩をがっくり落としながらこれから起こるであろう自分の惨めな姿に向かって苦笑いをするのであった。


「ここです」


案内をしてくれていたメイドがそう言って楓達に一礼して去っていく。


この部屋にはこの国の王家ファミリーがいる為簡単にメイドが扉を開けてはいけないらしい。


「失礼します。楓です」


「失礼します、ミルテイラです。お父様、お母様、お姉様、旦那様を連れて来ました」


あれ?今ミルは旦那様を連れてきましたって言わなかったか?自分が帰るのが目的じゃなくて俺を連れて来るのが目的だったのか?


「あぁ、ありがとう。どうやら少し変わったみたいだね」


「ミルが言った通り良い殿方みたいですね」


「へぇ、これがミルが初めて好きになった男か。なかなか面白そうだな」


楓が心の中で疑問に思っていたがその間に王家ファミリーは口々に楓への感想を漏らす。


若干一名王族のお姫様の口調じゃないだろって人がいるけど楓はスルーしておく。


ミルのお母さんはミルと同じような綺麗な銀髪で優しそうな印象を受けた。


このお母さんがそんなものをバンバン言ってくる様なイメージがわかないが一瞬目が合った時に目が鋭くなったのを見て楓はミルの言う通りかもしれないと思うのであった。


ミルのお姉さんも綺麗な銀髪でミルがもう少し成長したらこうなるといった容姿だ。


見た目はミルに負けずめっちゃ可愛いのに口調が一国のお姫様とは思えない様な口調だった。


ミルのお姉さんの口調を突っ込むと横から優しそうな顔をしているが何を考えているのか分からないミルのお母さんに口撃を食らう可能性があったので黙っておく。


楓はぐっと帰りたい衝動を押さえ込んでもう一度しっかりと挨拶をする。


「ミルのお母さん、お姉さんはじめまして楓です。一応クランマスターをやっています。まだまだ若輩の身ですがミルの夫としてふさわしくなる為に修練を積んでいる途中です」


「まぁ、謙虚な方ですね。私はファルム・デスハイムです。以後お見知りおきを」


「ノア・デスハイムだ。もっと堂々としないでどうする。そんなのでミルを守れるのか?」


ミルのお母さん…ファルムは納得したのか嬉しそうに相槌を打つだけだったがノアが心配だと突っ込んできた。


「えぇ、僕の妻に手を出す様な奴は容赦しませんよ。

例え家族でも悲しませる様な事をすれば容赦をする積もりはありません」


楓はにっこり笑いながら少し威圧を込めてそう言った。

家族云々はルミナの事だ。多分これでバルバトスに楓の意思は伝わった筈だ。


「そ、そうか。というかカエデ。なかなか強そうだな。今度一緒に模擬戦をしてみようか」


ノアは楓の威圧を受けて興奮した様子で楓に模擬戦の約束をとりつけようとする。


「ノア、止めておけ。カエデは一人でうちの騎士団長と宮廷魔術師長を倒したのだ」


「ほう、ルーナとヒスタリアを相手に勝つか。なかなかおもしろそうだ」


「ノアお姉様はルーナさんと一対一で良い勝負が出来る程の実力の持ち主です。よくルーナさんはお姉様の模擬戦に付き合わされています」


「第1王女が戦闘マニアっていいのか?」


楓は割とマジでこの国を心配する。流石に王女を戦場に出したりする事はないだろうがそれでも自分より強い妻を貰おうとは誰も思わない筈だ。


この世界は夫が基本的に家庭の実権を握るのだが、それが出来ないとなるといかに王家の一員になれると知っても誰も妻に娶ろうとしない様だ。


なかなか不憫な人である。


普通に美人なのにな。


「まぁ、その話は置いておいて今日はどうして僕が呼ばれたのですか?これからミルとデートなのであまり時間を取られると困るのですが」


楓はしっかりミルとデートをする事を言っておく。


そうしないと時間を無駄に食ってミルとの貴重な時間を奪われかねない。


多分ミルはそうなっても少し残念そうな顔で残念です。


とだけ言って終わらしそうだ。そんなのミル本人が許し

ても俺が許さない。


「分かっている。すぐに終わるかどうかは君次第だが…」


「旦那様、ありがとうございます」


後ろからミルがボソッと嬉しそうにそう言った。


「おう。さっさと終わらして二人っきりのデートを楽しむぞ」


「はい!」


最後に、ミルの特大の笑顔を見れたので楓も嬉しい気持ちになった。


さて、どんな面倒事が舞い降りてくるのか分からないがさっさと終わらせてミルとのデートを楽しもうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] バルバトスの発言が、 「分かっている。すぐに終わる君次第だが。」 になってますよ。 [一言] すみません。 気になることなのに、良い点の方に書いてしまいました。 どうか目を瞑ってください。…
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