第11章【証人たち】
ファフィニョは、召喚状を八回読んだ。
わからなかったからではない。
一度目で、完全にわかった。
二度目でも。
五度目には、カール・ヴェイルの見出し、事件番号、出頭時刻、宣誓の下での証言についての注意を、暗記していた。
八度目でも、まだホロ・ネクサス端末板を前に持っていた。
新しい一行が、突然現れるかのように。
現れなかった。
「ずっと、同じことが書いてあると思うよ」と、部屋の向こうでナイラが言った。
ファフィニョは投影を下ろした。
「確認してる」
「何を?」
「何か追加されてないか」
「この三十秒で?」
「法的な手続きだから、あり得る」
ナイラは、かすかに笑った。
少しあとに、彼女にも召喚状が届いていた。
ヴォルジャ・ケル。
出頭義務。
特別法廷での証言。
どれぐらい滞在することになるか、どちらも知らなかった。
ニュース回線は、まだ数週間の話をしていた。
数か月だと言うものもあった。
ファフィニョは、家を見回した。
何年も、いつ消えてもおかしくない場所に、暮らしてきた。
船。
基地。
急ごしらえの野営地。
借りた部屋。
今は、家があった。
そして、それに慣れるという過ちを、犯してしまった。
荷造りは、侵攻に備えるより複雑だった。
「それは、置いていく」とナイラが言った。
ファフィニョは、指に工具を持っていた。
「どうして?」
「証言しに行くから」
「そうすると、何も壊れなくなる?」
「ヴォルジャ・ケルにも、工具はある」
ファフィニョは彼女を見つめた。
「僕の工具じゃない」
ナイラはベッドを指した。
修理用モジュールが三つ、エネルギーセルが二つ、服、診断用の板、彼女にもわからない金属部品があった。
「それ、何に使うの?」
ファフィニョは取り上げた。
「まだ、わからない」
ちょうどよい瞬間に、ナレクが戸口に現れた。
「じゃあ、置いていく」
「だからこそ、持っていくべきんだ」
「意味がわからん」
「兄さんにはね」
ナレクの後ろから、ヴァエラが入り、荷物を見た。
「裁判に行くのよね」
「一日中、そう言ってる」
「船を建て直しに行くみたい」
ファフィニョは、わからない部品を卓に置いた。
「何があるか、わからない」
「わかるわ」
「アンテナ・エックス1の前も、みんなそう言った」
ナイラは目を閉じた。
「荷物の言い訳に、アンテナ・エックス1を使わないで」
結局、ファフィニョは負けた。
工具の半分を置いていった。
わからない部品も。
作戦上の敗北に思えた。
出発の時間までは。
そのときには、どうでもよくなった。
ヴァエラが、先に抱きしめた。
強く締めつけないようにしているのが、ファフィニョにはわかった。
それでも、強く抱いた。
「今回は、話すだけだよ」と彼は言った。
ヴァエラは、顔を見られるだけ離れた。
「あなたの場合、それは安心できないわ」
ファフィニョは微笑んだ。
彼女も。
長くは続かなかった。
「帰ってくる」
ヴァエラは、すぐには答えなかった。
ファフィニョには、理由がわかった。
戦いの前に口にした約束を、二人は多く経験しすぎた。
家へたどり着かなかった、「帰ってくる」が多すぎた。
ヴァエラが髪をなでた。
「じゃあ、帰れるときに、帰ってきて」
ファフィニョは、もう一度抱きしめた。
付け加えなかった。
ナレクが、その後ろで待っていた。
「ザイラックスの弁護士と言い争うな」
「約束できない」
「ファフィニョ」
「あまり言い争わないように、する」
「言い争うってことだな」
「たぶん」
ナレクは首を振った。
それから、冗談をやめた。
「緊張してるか?」
ファフィニョは、していないと言えた。
何度も、そうしてきた。
任務の前。
攻撃の前。
誰かが殺そうとするのを知りながら、その場所へ入る前。
今回は、ごまかすことが役に立つとは思えなかった。
「すごく」
ナレクは瞬きをした。
それから、うなずいた。
「全部、話してこい」
ファフィニョは、その言葉を握りしめた。
証言することは、まさにそうすることとは少し違う。
もうすぐ、それを知るとは、まだ思っていなかった。
輸送船のそばで、アクセルが待っていた。
ファフィニョは、彼の後ろを見た。
何もない。
「まだ、君は呼ばれてないの?」
「はい」
「やっぱり、変だ」
アクセルは、少し首をかしげた。
「私の証人としての採用は、審査中です」
ファフィニョは眉をひそめた。
「なぜ?」
「技術的な記憶の一部は、自律する前の帝国のシステムから来ています。どの部分が個人の記憶で、どの部分がネットワークから受け継いだ情報なのか。弁護側は、それを争っています」
ファフィニョは彼を見つめた。
「ばかみたいに、複雑だね」
「法律家は、それを長所と考えているようです」
ファフィニョは短く笑った。
「絶対、弁護士にはなりたくない」
荷物へ手を伸ばした。
中で、何かがぶつかった。
開けた。
いびつな形の、半透明の小さなものを取り出した。
「これ、何?」
「旅行用の装飾品です」
「旅行の飾りは、いらない」
「その発言は、装飾の一般的な目的と矛盾します」
「君が入れたの?」
「はい」
「なぜ?」
アクセルは、一秒処理した。
「今の私は、有用であることが必須ではない品を所有しています。あなたにも、一つなら許容できると考えました」
ファフィニョは彼を見た。
それから、荷物へ戻した。
「もう、入ってるからね」
「承諾します」
ナイラが、先に乗った。
ファフィニョはアクセルを向いた。
「家の、僕のほうを頼むね」
「『あなたのほう』という条件は、明確に定義されていません」
「何のことか、わかるでしょ」
間。
「はい」
ファフィニョは彼を抱きしめた。
もう、かつてほど不思議には感じなかった。
アクセルは、ほとんどすぐに抱き返した。
「正式にね、親友」とファフィニョは言った。
「また」
ファフィニョは離れ、片手を上げて、船へ乗った。
もう、振り返らなかった。
理由は、なかった。
ヴォルジャ・ケルへの旅は、静かだった。
静かすぎた。
ファフィニョは、四回席を変えた。
荷物の留め具を、二回確かめた。
窓の一つから、外を見た。
別の窓からも。
やがて、ナイラはただ彼を見ていた。
「艦隊を丸ごと、相手にしたでしょ」
「艦隊は、僕の子どものころのことを質問しない」
「たいてい、撃ってきたけど」
「そのほうが、単純だった」
ナイラは笑った。
ファフィニョは、完全には冗談で言っていなかった。
ヴォルジャ・ケルで、二人はほとんどすぐに分けられた。
「別々?」とファフィニョが聞いた。
イリラ・シェイ・ヴェンがうなずいた。
「個別に準備します」
「ナイラとは、一緒に住んでますよ」
「知っています」
「じゃあ、もう全部話してます」
「おそらくは」
ファフィニョは両手を上げた。
「互いに、まねするとでも?」
「相手の説明を何度も聞くと、二人の記憶は、意図せず変わることがあります」
ファフィニョの笑みが消えた。
考えたことが、なかった。
小さな部屋で、セリン・カオル・ヴェルが待っていた。
卓の上に、四つの文が出ていた。
自分で見た。
人から聞いた。
あとから記録で知った。
起きたと考えている。
セリンが、一つ目を指した。
「今日、君が学ぶ中で、最も大事なことだ」
ファフィニョは、四つとも読んだ。
「かなり単純に見えます」
「単純だ」
「そういうときは、いい兆しじゃない」
イリラが、向かいに座った。
「レプ・オルジオンを代表するために、ここにいるのではありません」
「そうだと思ってました」
「違います」
「ファフィルも?」
「はい」
「被害者も?」
セリンは首を振った。
「君は、証人だ」
ファフィニョは、四つの文をまた見た。
「じゃあ、何をすればいいんですか?」
「答える」
「それだけ?」
「それだけだ」
「簡単すぎるように、聞こえます」
「聞こえるより、ずっと難しい」
セリンは、四つ目の行を指した。
「そう思うだけで、見ていないなら、そう言う」
三つ目。
「あとから記録に出てきたから知っているなら、そう言う」
二つ目。
「誰かに聞いたなら、そう言う」
一つ目。
「自分で見たなら……」
ファフィニョが続けた。
「見たと言う」
「そのとおりだ」
ファフィニョは、卓に両腕を置いた。
「『わかりません』と言うと、あなたたちの事件に不利になるなら?」
セリンは迷わなかった。
「そのときこそ、言う」
どんな脅しよりも、その答えが彼を落ち着かなくさせた。
イリラが話題を変えた。
「レクスは、矛盾を探そうとします」
「僕を、うそつきに見せたい?」
「君が間違うこともあると、示そうとする」とセリンは答えた。
ファフィニョは眉をひそめた。
「安心できますね」
「正しいかもしれない」
「もっと悪い」
ファフィル、ノード・ゼロ、ミラー、あるいは自分が参加した作戦についての証言を、聞くことは認められなかった。
だが、まったく関係のない出来事の証言を、二つ見ることはできた。
最初は、自由な人工生命体だった。
体は古かった。
板が、何枚も交換されていた。
イリラが聞いた。
「何をしているか、わかっていましたか?」
「はい」
「したかったのですか?」
「いいえ」
「なぜ、止まらなかったのですか?」
人工生命体は動かなかった。
「止まりたいと思っても、止まれるとは限らなかったからです」
ファフィニョの胸の中で、何かが締めつけられた。
被害世界訴追局が、その機体を支配していた手順の記録を投影した。
レクスは、話を否定しなかった。
誰がその手順を承認したか、聞いた。
どのように。
どの指揮段階から。
いつ。
被害者だけでは、足りなかった。
文書だけでも。
両方が、必要だった。
二人目は、ファフィニョが名前をかろうじて知る世界の、有機生命体だった。
何百万もの人々の話は、しなかった。
避難の話をした。
扉の話を。
娘の話を。
「戻ってくると思って、入口に靴を置いていきました」
それだけだった。
見たことのない一足の靴のことを、ファフィニョは審理の残りのあいだ、考えていた。
自分の話は、特別ではなかった。
そこが、いちばんつらかった。
同じような話が、何千もあった。
何百万も、あるかもしれなかった。
ようやく名前を呼ばれたとき、腹の底が沈んだ。
「カール・ヴェイルは、ファフィニョを呼びます」
入った。
中央から見ると、広間は大きかった。
カメラも。
アシャ・ヴェン。
ケレド4。
メアロン・サール。
セリン。
イリラ。
レクス。
そして、ザイラックス。
黒い外骨格は、閉じていた。
ファフィニョは、中に何があるか知っていた。
それが、いっそう悪かった。
宣誓した。
アシャが話した。
「聞かれたことだけに、答えてください。直接見たこと、あとから得た知識、解釈を区別してください」
ファフィニョは息をのんだ。
「はい」
セリンが立った。
「どこで生まれましたか?」
「ファフィルです」
「ネットワークの部隊が来たとき、何歳でしたか?」
「七歳」
沈黙が変わった。
セリンは、英雄の物語を求めなかった。
侵攻について聞いた。
避難。
両親。
難民になったこと。
それから、レプ・オルジオン。
ホライズン基地。
ブラック。
オラク。
ケイル。
ノード・ゼロ。
「そこで、ザイラックス本人を見ましたか?」
「はい」
「彼が直接出した命令を、聞きましたか?」
「はい」
「彼が権限を行使しているあいだ、中枢システムに関わりましたか?」
「はい」
初めて、ファフィニョは、呼ばれた理由を理解した。
有名だったからではない。
そこに、いたからだ。
セリンは続けた。
「ミラーは、あなたを殺そうとしました」
「はい」
「彼に責任があると、考えますか?」
ファフィニョは、少し間を置いた。
「はい」
セリンは待った。
「秘密裏に」
「説明してください」
ファフィニョは息をした。
「僕をもとに造られました。条件づけられた。望まれたように動かなくなると、リセットされました」
「その処置を、すべて見ましたか?」
「いいえ」
「では、どう知ったのですか?」
「一部は、あとで回収された記録からです」
セリンがうなずいた。
「続けてください」
ファフィニョは、部屋の特定の場所を見ていなかった。
「長いこと、憎んでいました。彼も、選ぶ機会がほとんどないものに変えられたと、わかるまでは」
レクスは異議を唱えなかった。
セリンは、そのあとの作戦へ進んだ。
ヴェイラク・タル。
ファフィル。
エリンドラ・ヴェい。
アンテナ・エックス1。
ジャウル・ケス。
ケイル。
セイリャ。
一つひとつの名が、少しずつ重かった。
やがて、セリンが聞いた。
「ネットワークの作戦で傷ついた人は、全員、戦争中に亡くなりましたか?」
「いいえ」
「そうでない方を、直接知っていましたか?」
誰のことか、ファフィニョはすぐにわかった。
「はい」
「誰ですか?」
間。
「オラク」
喉が、閉じ始めた。
「戦争を、生き延びましたか?」
「はい」
「その後、何が起きましたか?」
ファフィニョは目を下げた。
「最初は、よくなったように見えました」
声が小さくなった。
「そのあと、違いました」
誰も遮らなかった。
「傷は、なくなりませんでした。ただ……見えにくくなっただけで」
息をした。
「一年ほどあとに、亡くなりました」
セリンが聞いた。
「一人でしたか?」
ファフィニョは首を振った。
「いいえ」
ゆっくり、名を挙げた。
「ナイラ。ヴァエラ。ナレク。レイズ。ヴェイル。セイル」
間。
「僕」
続けたかった。
できなかった。
最初に、ブラックが記憶へ来た。
それから、ケイル。
セイリャ。
ジャウル。
ミラー。
家族。
失った目。
訪れたことのない惑星の、戸口にある靴。
ファフィニョは顔を上げた。
ザイラックスが見えた。
黒い外骨格。
その中に、あの老人を思い出した。
もろく。
病んで。
管と機械で、生を保っていた。
止める前に、涙が来た。
セリンが一歩進んだ。
「止められます」
ファフィニョは首を振った。
「いいえ」
顔を拭いた。
あまり、役に立たなかった。
「終わらせたい」
数秒、セリンは何も聞かなかった。
それでも、ファフィニョは話した。
「彼を見るとき、何を感じればいいのか、わからない」
部屋が静まった。
「僕の一部は、もう死にかけているのを見てる」
息をするのが、苦しかった。
「もう一つの部分は、年を取る機会もなかった、みんなを覚えてる」
ざわめきは、なかった。
カメラさえ、ないようだった。
ファフィニョは続けた。
「何年も、十分に速ければ、全員を救えると思ってた」
声が崩れた。
「本当だったことは、なかった」
ザイラックスを見た。
「いつも、誰かが取り残された」
セリンは、数秒待った。
そして、尋問を終えた。
レクスが立った。
近づいてくるのを、ファフィニョは見た。
「私の依頼人を、憎んでいますか?」と聞いた。
「はい」
レクスは反応しなかった。
「その感情は、一部の記憶の解釈に影響し得ますか?」
ファフィニョは、四つの文を思った。
「たぶん」
「では、解釈と観察を区別しましょう」
ファフィニョはうなずいた。
「ザイラックスがファフィルへの侵攻を命じるのを、直接見ましたか?」
「いいえ」
「ミラーへの、すべての処置を見ましたか?」
「いいえ」
「アンテナ・エックス1に関わる、すべての命令が出される場に、いましたか?」
「いいえ」
答えは、その前よりも大きく聞こえた。
レクスは続けた。
「ノード・ゼロで、ザイラックスと直接向き合いましたか?」
「はい」
「彼が出した命令を、聞きましたか?」
「はい」
「彼が権限を行使するあいだ、その中枢システムに関わりましたか?」
「はい」
レクスは間を置いた。
どこを突けて、どこを突けないか、知っていた。
「この法廷に、ザイラックスを有罪にしてほしいですか?」
「はい」
「したことのために、死に値すると考えますか?」
セリンが立った。
「異議があります。まだ、刑について審理する段階ではありません」
レクスが答えた。
「証人に偏りがある可能性を、調べています」
アシャは、数秒考えた。
「限定した回答を、認めます」
ファフィニョはザイラックスを見た。
二年前なら、問いが終わる前に、答えが口から出ただろう。
「二年前なら、はいと言ったと思います」
レクスが、頭を傾けた。
「今は?」
ファフィニョは時間をかけた。
「今は、したことの責任を取ってほしい」
「同じ答えでは、ありません」
「はい」
「何が変わりましたか?」
ファフィニョは、ブラックを思った。
オラク。
ケイルと、セイリャ。
ほかの誰にも、代わりに決める権利がない中で、選んだ人々。
「誰が死に値するか決めるのは、決断がどれほど重いかを理解する前のほうが、ずっと簡単だと、学びました」
レクスは動かなかった。
「質問は、以上です」
そのあと、ナイラが証言した。
彼女の証言のほとんどを、ファフィニョは聞くことができなかった。
ようやく再会したとき、疲れ果てて見えた。
「どうだった?」と聞いた。
「まだ生きてる」
ファフィニョは顔をしかめた。
「低い基準だね」
「うまくいった」
証言席へ立って以来、初めて、ファフィニョは笑えた。
その後の数日で、裁判は変わった。
ファフィニョが泣いたからではなかった。
一つの言葉のためでもなかった。
文書と証人が、一致し始めた。
手順と、命令が。
命令と、指揮系統が。
さまざまな人工生命体と有機生命体の証言が、記録の示していた事実を確認した。
レクスは、いくつかの出来事を争うのをやめた。
自動的に、罪を認めたからではなかった。
十分に裏づけられた事実を争うことは、もっと重要な弁護を弱めたからだ。
やがて、アシャ・ヴェンが当事者を呼んだ。
広間が、またいっぱいになった。
「この段階に必要な、多くの中核的な事実が、十分に立証されています」
ざわめきが始まった。
アシャは続けた。
「法廷は、証拠調べの終わりが近いと判断します」
ファフィニョは瞬きをした。
何か月も滞在すると思って、旅をしてきた。
メアロン・サールが発言した。
「次の問いは、違うものになります」
画面に、ヴォルジャ・ケルの古い法文が出た。
「何が起きたかを決めるだけでは、もう足りません」
ケレド4が、その先を続けた。
「その事実に、どの法的責任が生じ、どの法律が適用されるかを、決めなければなりません」
初めて、ファフィニョは、裁判が変わっているとわかった。
もう、ザイラックスが何をしたかだけを、聞いていなかった。
これからは、法が彼に何をできるかを、聞き始めるのだ。
その夜、ファフィニョは、仮の部屋の窓辺に立った。
下で、ヴォルジャ・ケルが輝いていた。
ナイラが隣に来た。
「言ったことで、後悔してることはある?」
ファフィニョは少し考えた。
「いろんなことを、後悔してる」
ナイラは待った。
「話したことは、してない」
彼女は、そばにいた。
何か月もかかると思って、ファフィニョは来た。
今は、進みすぎているように見えた。
そして、なぜか、それが安心させてはくれなかった。
第11章をお読みいただき、ありがとうございました。
ついにファフィニョが証言台に立ち、自身の過去、そして戦いを生き延びながらも心に深い傷を負った「オラク」たちの存在、そして奪われた命への消えない未練を語る、非常に切なく重厚なエピソードです。無罪を争うレクス9による鋭い反対尋問に対し、「死に値するかではなく、犯したことの責任を取ってほしい」と言い切るファフィニョの精神的な成熟を描きました。証拠調べが終わり、裁判は「法の適用」という次のステップへ進みます。
もし今回のファフィニョの魂の証言や、物語の進展を気に入っていただけましたら、ぜひ「ブックマーク追加」や、下部にある評価(星)での応援をよろしくお願いします。皆様の温かいサポートが本当に励みになります。
次回、法的闘争がクライマックスを迎える第12章でお会いしましょう。




