閑話 会長交代の裏側
「は?試験に落ちた?」
エミリアが試験会場から戻って来てすぐに私とカリンに向かい頭を下げて『資格を取る事が出来ませんでした』と口にしたのを聞き私とカリンは信じられないと見つめあった後にエミリアに視線を戻して話を続ける。
「え?ペーパーテストで落ちたとか?」
エミリアは私の元で働き始めた時にはもう医療に関しての知識はかなりのものでペーパーテストで失敗するとは思えなかった。
私の質問に首を左右に振り困った顔で口を開いた。
「私が探索者だから資格を与えないそうです」
・・・・は?
「え?言ってる意味が分からないんだけど?」
私がそう言うと隣にいるカリンも真剣な顔で頷く。
「モリッソと言う方と試験終ってすぐに『私の治療院に入れ』と言って来たのですが断ったんですよ。ほら私資格を取ったらメンバーと合流して探索者として活動するつもりなんで・・・そして私がその話をしたら『底辺の職業である探索者が医師の資格を持つなどあってはならん!医師とは選ばれた人間がなるものなのだ!!』って言って合格を取り消されました」
・・・・あの老害が!!何が選ばれた人間だ!!おっと今は熱くなる時じゃないわね。
「そうなのね・・・ねエミリア」
「はい?」
「あと1月私の元で働きなさい」
「は?え?だって」
「私に任せななさい、何故一月働くかと言うとね『もう治療院で働いていないなら資格はいらないだろう』と言って来るのを防ぐ為よ」
ないとは思いたいけど子供じみた理由でいちゃもんをつけてくる奴等も居るからね。
「わかりました」
納得したように頷くエミリアを見たあ後に立ち上がり隣にいるカリンに視線を向ける。
「少し出かけるわ」
「ええ。書類を持って行きなさい・・私の机の一番下の棚よ」
「わかったわ」
カリンの言葉に頷きカリンの使ってる机に取り付けられている引き出しのい一番下から封筒を一つとりだす。
「これ?」
「そうよ・・・ラッツィンによろしく言っておいて」
「わかったわ」
カリンに言葉に頷きその後にエミリアに視線を向けて微笑む。
「任せなさい」
そう言い残して私は治療院を出た。
「久しぶり」
私が出向いた先は同期で医療協会で副会長に名を置いてる友達・・・・・・ラッツィンの運営している小さな治療院に入り中でボケーってしている女性・・・ラッツィンにそう声を掛けるとラッツィンが私を見て微笑む。
「お前がここに来るのは珍しいな?」
その言葉に私は盛大に溜息をつき肩をすくめて口を開いた。
「あの老害がやらかした」
その言葉にやる気の無かった顔が真剣な顔になり口を開いた。
「詳しく聞こうか」
その言葉に私は頷きエミリアが言われた言葉を一言一句間違えずに伝えた。
「そこまでか」
私の話を聞いたラッツィンが溜息をつきながらそう口にした。
「あの男は一応会長として仕事はしてると思ったんだがな」
私はそれを聞きカリンに渡された封筒をラッツィンに差し出す。
「これは?」
「読めばわかる」
その言葉に封筒を開けて中に入ってる書類に目を通し・・・さらに深い溜息をつく。
「何で今出すのよ」
渡した書類はモリッソの受け取っていた賄賂や協会での汚職状態など書かれた物。
「チクチク嫌がらせをしてきてたのよ、それでうんざりして黙らせてやろうって事でカリンが調べたのよ。でも調べた後に大人しくなったからそのままとっておいたのよ。それにその時に出したらモリッソがいなくなった後に会長にさせられそうだからね、今回は私の弟子が被害に遭ったからねこれを出す事にした」
そん言葉に更にラッツィンが溜息をつく。
「ならモリッソが会長を辞めたらやってくれるんでしょうね?」
その言葉に私は首を左右に振りニヤリとする。
「ラッツィンが会長になってよ、副会長なんだから繰り上がりで」
「は?」
私が医療協会の会長なんかやる訳ないでしょう?
「元々ラッツィンもモリッソの事を良く思ってなかったんだしこんな老害がこのまま医療協会の会長なんかやってたらアンセルフィディアの医療の未来はないと思うよ?」
「・・・確かに・・・仕方ないわね・・・モリッソを追い詰めるまで手伝いなさいよ?」
「わかってるわ、弟子のために頑張るわ」
良し!!これでラッツィンが会長だ!!これでエミリアの医師の資格が問題なく取れたと思っていい。
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