閑話 権力者の傲慢と失墜2
私はその言葉に首を左右に振る。
「申し訳ありませんがそれは出来かねます。今ここで彼女を不合格にすれば今までの合否に疑問がもたれ医療協会の信頼が揺らぎかねません」
小難しい事を言ってはみたけど本心は『アンタの我儘で私の安定した職場が無くなったらどうする!』と思っていたが私は大人なので口にはしなかった。
「ならいいですよ」
そんな事を考えていたら渦中のひと・・・エミリアさんがそう口にしたので私とモリッソ会長がエミリアさんに視線を向ける。
「取り敢えず取っておいた方が良いと思ってうけただけだからね、無理そうなら別にいい」
そう言い残しエミリアさんが部屋から出て行きそれを見送ったモリッソ会長が舌打ちをする。
「あの女狐の弟子らしい態度だな!まあ底辺に資格を取らせなかっただけでもいいとするか・・おい貴様この部屋での事は他言無用だ・・もし洩れたらお前は仕事を失う事になるから覚えておけ」
そう言い残しでて行ったモリッソ会長・・いやモリッソの態度にむかつき私は出て行った扉のほうに舌を出し口を開く。
「あんなのが会長とか・・・あまりいい未来はないと思うなぁ」
でも出来れば此処で働きたいんだよね、ここは定時で帰れるし休出も無いし給金もいい。
「あの子には悪いけど私はこの生活が気に入ってるから」
本来なら資格は取れてるはずなのにモリッソのせいで医師の資格を取る事が出来なかった女の子。
「運が悪かったわね」
私はこの時もうこの件はおわりこのまま変わらない日々が続くと思っていた。
「え?モリッソ会長が辞任?」
モリッソが女の子を追い出してから2週間が経ち朝いつも通りに医療協会に出勤すると協会本部がかなり大騒ぎになっていて同僚に何があったのかと聞いてみたら『モリッソ会長が昨日会長を辞めさせられることが決まったらしい』と聞かされた。
「そうなのよ!!今日出勤して・・・ほら!!」
同僚が指差した方を見ると協会の情報が張り出されている掲示板がありそこにかなり大きな紙に『医療協会会長モリッソ・バーカー 辞任』と書いてありその後に新たな会長として副会長である『ラッツィン・カーヌ 就任』と書かれていた。
「いきなりだね昨日までそんな話は出ていなかったと思うんだけど」
まさか好き勝手しすぎて辞めさせられたの?まああまりよく思われてはいない人だったから悲しむ人は少ないんじゃないのかな?
「でもラッツィン先生か」
ラッツィン先生は女性でかなり豪快な人でモリッソと喧嘩もよくしてた・・・あれ?もしかして喧嘩して勝ったから会長になった?まさかね!!
会長辞任と就任の話が出てから1日後・・協会本部で働く私達は全員大きな会議室に呼び出され用意している席に座ってまっていると扉が開き30代の赤い髪を背中までのばした凛とした表情をした美人が入って来た。
「待たせたわね、医療協会の会長になったラッツィンよ、あの老害はこの協会から追い出し・・・・いなくなったわ、だから今までみたいに好き勝手に出来るとは思わない事ね。特に賄賂や裏金・・・資金の使い込み・・・今調べてる所だから心当たりのある者は覚悟しておきなさい」
・・・え?此処でそんな事が行われてたの?知らなかったんだけど!!と言うか私は何もやってないからこのまま変わらずに働けるって事でいいのよね?
「それと・・・・私は必要以上に口を出す事はしないわ、各自自分がやる事をしっかりとやって頂戴」
モリッソとは大違い!だから仲が悪かったのね!!あ!!
「すいません」
ラッツィン会長が一息ついたのを見て私は手を上げてそう声を掛けその声を聞きラッツィン会長が私に視線を向ける。
「あの・・・モリッソ前会長は何処に居られますか?あの方の荷物が会長室におきっぱなしになっているのですが」
ラッツィン会長がその言葉を聞きニヤリと笑う。
「あの老害・・・モリッソは今牢屋の中だ」
は?本当に何をやったのモリッソ!!
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