今は此処で頑張る
驚いて固まるアルステルさんを見て私は首を傾げる。
「どうしたの?」
私がそう訊ねるとアルステルさんが現実世界に帰って来て口を開いた。
「お前さん医師じゃなかったのか?」
ああ!そのことに驚いてたんだ?
「一応医師でもあるよ、医師の資格を持ってるし」
でないとしっかりとした治療をしてあげられないからね!と思っているとアルステルさんが話を続ける。
「医師の資格持ちの探索者なんて物凄く珍しいな」
その言葉に私はコップに注いである水を口に運び飲んだ後に苦笑する。
「珍しだけでいないって訳じゃないでしょ?今回は治療をする人が足りないって事で治療スタッフとしてスタンピード防衛戦に参加してるんだよ」
本来だったら復帰戦になるはずだったんだけど師匠の頼みなら断れないしね。
「そうなのか?俺はてっきり医師だと思ってたぜ」
そう言って来た時にその男性の後から師匠が来て男性の頭をむんず!!と掴む。
「おいアルステル、私の弟子に手を出すな」
「ひっ!」
そりゃいきなり後ろから頭を掴まれて声を掛けられればビビるよね!!
「エミリア、交代だ」
「はい」
私はアルステルさんの頭を握ったままそう言って来た師匠の言葉に頷き立ち上がる。
「師匠と知り合いだったんだ?あ!師匠!この人左腕を骨折した状態で戦いに行こうとしてましたよ」
私がそう言うと師匠は目を細める。
「・・・・・ほう?少し『お話し合い』が必要だな」
「・・・おい!」
師匠の顔を見て真っ青になるアルステルさんに微笑み口を開いた。
「ごゆっくり」
「ちょ!!」
私は急いで治療場に向かい歩き出す。
患者さん達が心配だから急いでいるだけで決して巻き込まれたくないからとかそういう訳ではない!!
「お嬢」
私達がスタンピード防衛線に参加してからどれくらいの時間が経った判らない位患者さん治療に専念していたら後ろからそう私を呼ぶ声がしたので振り返るとライオ達全員が立っていた。
「お疲れさん、・・よし!誰も怪我してないね」
私がそう確認をすると全員が頷きその後にライオが真剣な顔で口を開いた。
「今回はどうする?」
「ん?今回はどうする?何をどうする?」
ライオが何を言いたいのか分からず首を傾げながらそう呟くとルナが苦笑する。
「今回も前回同様に誰かがアンセルフィディアに戻りアリスのお迎えや一緒に過ごすという事をしないのですか?という事です」
・・・・・ああ!!
「そうだよ!!今回もまた誰かが戻った方が良いよね?」
そうだよ!集中しすぎてアリスの事をわすれてたよ!!ごめんねアリス!!
「私は今回無理かもしれないからライオ達の誰かが戻ってくれるかな?」
アンセルフィディアから医師がケリーさんの他には来なかったのだ、つまりこの場にいる医師は私を含めて3人だけなので私が帰る訳にはいかないのだ。
「わかった、俺達で話し合って決める事にする」
「悪いけどお願いね」
「ああ」
その後少しだけ落ち着いたので私も話し合いに参加し話を聞いているとまず初めにルナが帰る事になった。
「それじゃあアリスの事を頼むねルナ」
「畏まりました、アリスに何か伝言はございますか?」
ルナの言葉に私は少し考えてから口を開く。
「帰ったら一緒にご飯を食べようね」・・・かな?」
私の言葉を聞きルナが微笑む。
「確実にお伝えします」
「頼むよ」
私も帰りたいけど今は此処で頑張る!!
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