お礼を言っただけだし
「ほれナイフには鞘をつけてやる、それとそっちのお嬢ちゃん」
坊主頭の鍛冶師がルーナにナイフの鞘を渡した後に私に視線を向ける。
「敵と戦うつもりで長柄を構えてみろ」
私は言われたように相棒となった鉄の長柄を構える。それをしばらく見た坊主頭の鍛冶師が頷き私に向かって右手を伸ばす。
「少し貸してくれ」
そう言われたので握りしめていた鉄の長柄を鍛冶師に差し出す。
「少し待っててくれ」
鍛冶師は受け取った後に店の奥へと向かって行き5分位して戻って来た。
「ほれ」
差し出されたのはさっき渡した私の相棒・・・。でもさっきと違う所があった。
私が長柄を握る場所に赤い布が巻かれていたのだ。
「棒術って事は滑らせながら打ち込む事もあるだろうがきちんと握りながら打ち付けないと威力は出ないからな、嫌だったら後で取っ払ってくれていい」
これはありがたいかも!私の攻撃方法は主に振り下ろし・横凪・突きの3つだ、どれもしっかり握ってないと威力は出ない・・・いやぁ助かる!!
「ありがとう」
「おう」
お礼を言うと坊主頭は嬉しそうに笑った・・・。笑い顔も怖いけどこの人の優しさを知ったからそんなには怖くなかった。・・・『そんなには』ね!!
「それでおいくらですか?」
この人なら法外な値段は吹っ掛けてくる心配はないと確信しながらそう聞くと坊主頭が口を開く。
「11万セリンだな」
あれ?思ったより安い?
「安くない?」
思った事そのままそう聞いてみると坊主頭が苦笑する。
「魔鉱石製の武器とはいえナイフだからそんなに値段は行かないのさ、ナイフ一本4万セリン、それとお前さんの長柄は魔鉱石の棒だから3万セリン・・・ほら11万セリンだ」
え?こんな出来のいいナイフで4万セリン?凄くね?と思っていると私を見ていたライオが苦笑する。
「な?ここはいい場所だろお嬢?」
「うん」
本来ならもっと高いんだろうけどライオの知り合いって事で安くしてくれているのであろう。
「はい」
家出をすると決めた時から貯めていた『家出貯金』から11万セリンを取り出すと坊主頭が嬉しそうに笑い『毎度あり!!』と言ってくれた。私は深々と頭を下げる。
「いきなりなんだお嬢さん」
いきなり頭を下げた私を坊主頭だけじゃなくライオとルーナも驚いた顔で見ている。
そんな中私は頭を上げて坊主頭に視線を向け口を開く。
「今まで私の友達のライオと仲良くして頂いたようで心より感謝いたします。貴方の優しさにきっとライオは何度も救われたに違いない・・・。本当に感謝します」
ここに来るまでも店に入ってからもライオはとても嬉しそうだったから本当に坊主頭の事を信頼しているんだろう、それはライオにとってとてもいい事だと思う。
ライオやルーナを引き取ったときに2人は極度の人間不信になっていた。まあ孤児院で過ごしていたら攫われていたぶられたら誰だってそうなる。
でも私が引き取ってから6年・・・ライオが心から信頼できる人が出来た・・・それはとても嬉しい出来事だ。
「おい・・・やめろよそんな事・・・俺は鍛冶師としてやれることをやっただけだって」
顔を真っ赤にしながら両手をブンブン振っている坊主頭に思わずくすっと笑ってしまう・・・が私は再び
頭を下げる。
「ライオはこれから私と国外に行く事になってます、もしライオがホースガラに残りたいと思うんだったら・・」
「お嬢、俺もついて行くからな」
最後まで言い終わる前にライオが真剣な顔でそう言って来たので私は再び坊主頭を向いて話を続ける。
「という事なのでこれまでの事に感謝を、そして私達に素晴らしい武器を与えていただいた事にも感謝を・・・。頂いた武器は大事に使わせて頂きます」
そう言う私を見て坊主頭が溜息をつく。
「ん?どうしたの?」
何でいきなり溜息をつくの?私変な事を言ってないよね?お礼を言っただけだし?
「なるほどなぁ・・・小僧が入れ込む訳だ」
坊主頭の呟きを聞きライオが苦笑する。
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