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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
霧中。

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5/7

齟齬。

気に入っていただけたならば作品を育てるつもりで評価、コメント、ブックマークの方をしてもらえたら幸いです。

陣に着いた後、負傷兵を医療所に連れていった後、帰還兵達で点呼を取る。

野々村は居ない。

そして、前衛隊の列は半分が空白となっていた。

補助隊も後衛隊も二割くらい欠けている。


「まぁよくやった方やと思うで…?

補助も後衛も本来ならもっと減るもんやと思ってたし前衛隊とか二、三人残してみーんなお陀仏か病院送りやと思ってたわ…」


室井がそう言うのに合わせて榊原も


「即座に土壁を作る判断や霧の中での的確な射撃指示は素晴らしかったですよ。それに無理に攻撃せずに速やかに退避に転じたのも良い判断でした。

野々村君の件は残念でしたがね…」


と言う。

青年は答えずに空いた列に視線を向けた。

学校で撤退戦でさえ半数戻れば上出来だと聞く。

それを踏まえればこの撤退戦が如何に良く出来た結果であるかというのは言うまでもない。

だが彼の心には澱が積もりつつあった。


そもそもの原因として自分が霧払いの命令をしたことでこの撤退戦は始まったのだ。

仮にあの時にもっと慎重な選択をしていたら、霧払いの前後で周囲の警戒を怠らなければ、

野々村は生きていたのではないか。

青年は小隊長として深く悔恨の情に苛まれていた。


_________________________


青年は室井、榊原と共に中隊長の居るテントに向かった。作戦で得た情報を提示するためである。

一通り起きたこと、そしてそれらから推定出来る敵の位置について議論した結果を伝えると。


「該当地域の敵の陣地について掴めずにいたが

諸君の働きによりこの地点であると絞ることが出来た。」


中隊長は続けて言う。


「更に損害も軽微であると聞く。よくやった。損耗については追って補充を行う。下がってもよい。」


室井と榊原は外に出た後、テント内に聞こえる声でこう言った。


「まぁ…軽微…何やろうなぁ…」


「実際中隊からしたらあの程度は軽微と言えるでしょう。それ故に私は自身が下士官で良かったと思っていますが。」


一方で青年は動かずに先ほど中隊長が指さしていた地点―――野々村が撃たれた地点を見つめていた。


「樺小隊長。どうかしたか。」


中隊長に呼びかけられてハッとする。


「いえ、失礼しました。」


そう言い樺も建物から出た。

一話一語句解説

電信:現実のものと同様、もっぱら符号通信のことを指す。

トンとツーの2つの符号で情報を伝達する方式が主に使用されており、この世界ではラミュエル・ザン・アッバースというエルフにより体系化された。

尚、送信に関しては発光魔法で代用出来るため、前線では受信用だけで電信機を運用する場合も少なくない。

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