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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
霧中。

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樺は唖然した。

眼前の熱は動かない。

頭が白に染められかけたが、なけなしの理性を取り出し辺りを見渡す。

左側上方に小さな熱の塊を捉えた。

彼が野々村を奪ったか。


「固体魔法を九時の方へ!!」


これに従い兵士らは左側に土壁を盛る。

遠方の熱は遮った。


「野々村!!」


青年は前方の熱を掴み、揺らす。


熱は反応しない。


再度揺らす。


熱からは微かな息さえも聞こえない。


そして3度目の揺さぶりをかけようとしたとき


「隊長!!」


竹戸の声が現実に引き戻す。


「前方の連中にも気づかれたようですぜ!!」


絶え間なく銃撃音が響くことに気づいた。

青年は叫ぶ。


「前衛隊!!伏せて1時の方向に射撃してください!!」


応えて射撃を始める。

向こうの熱がいくつか倒れた。

弾数は減る。が完全には止まない。


―――押し返せる。


そう思いかけたとき


「....っ!!」


左で声が聞こえる。

見ると竹戸が崩れて呻いている。


...青年は口を噤む。

これ以上の負傷は見過ごせない。


「支援隊!!後方隊!!退避!!

近くの負傷兵を担いでください!!」


指示の後、青年は竹戸を担ごうとする。ずっしりとした重みを感じる。

...が野々村のことが頭から離れない。

ここで置いていけば野々村は確実に見殺しにすることになる。

青年は思案する。

まだ助けられるかもしれない。

慕ってくれた部下を簡単に切り捨てていいのか。


青年は迷いをすり潰し前を向く―――


「前衛隊も退避してください。」


その声は淡々としていた。


その後、妖しい風が再び各員を撫でる。

...程なくして青年は電信を傍受する。


「敵軍退避セリ。」


...どうやら敵に勘付かれたらしい。


____________________________________

小隊は後退する。

土壁で隠していた熱が見える。


「総員、姿勢を低くしてください。」


がそれだけで解決はしない。

敵は発砲を行い目の前の熱を射抜く。


...と思われたが崩れない。

室井が呼びかける。


「...うちが軌道をずらしとるけど...あんまあてにせんといてや...」


更に榊原が隣で竹戸に手を添えて発する。


「応急処置ですのでどうか無茶はさせないようにしてください。」


電信を飛ばす。


「コチラ第五小隊、ムノンジョル台地東部カラ撤退中、負傷者アリ、支援求ム。」


こうして撤退を試みる。前衛隊は一人一人と欠けていく。

程なくして電信が返る。


「コチラ第一小隊、コレヨリ援護ニ向カウ。」


青年は微かに、されど確かに安堵した。

____________________________________


電信が届いてから程なくして遠方に熱を見る。


毅然と並ぶ様子と方角からして恐らく味方か、されど確証はないので電信を送る。


「コチラハ第五小隊、識別ヲ求ム。」


電信が返る。


「コチラハ第一小隊、敵ノ方角ヲ求ム。」


敵の座標を共有する。

すぐさま射撃音が熱の方向から響く。

追いかけてきた熱は歩みを止め―――後退した。

第一小隊長が話しかける。


「第五小隊長、無事であるか。」


「ええ、幸いにも私には傷はありません。しかし....多くを失ってしまいました。」


「...そうか。野営地に戻ると良いだろう。帰路には我々が付いておく。」


合流後の帰路は先ほどまでの銃声が嘘だったかのように部隊を静寂が包んでいた。

それを破る人はもう存在しない。

一話一語句解説

魔法:一人一つ使える能力のこと。

大まかには次のように大別されるが例外も存在する。

気体を操る魔法

液体を操る魔法

固体を操る魔法

熱を操る魔法

光を発する魔法


こうした魔法は基本的に生体エネルギーを消費して発動するため発動範囲、与える威力において制限がある。例外として、先天的、或いは後天的な訓練によりその魔法に対応するエネルギーを外部から吸収し、魔法として発動出来る人も存在する。

彼らについては先述のエネルギー的束縛が緩和され、より大規模・高威力で魔法を放つことが出来る。

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