表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
霧中。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/5

再編。

気に入っていただけたならば作品を育てるつもりで評価、コメント、ブックマークの方をしてもらえたら幸いです。

前線補給地点では霧が払われ、閑散とした広場といくつかの急ごしらえの建造物があった。

隊員たちは隊長の指示のもと、背負ってきた荷物を降ろす。

青年が一息つこうとしたとき、遠くから場違いに上品な男性の声と近畿訛りの女性の声が聞こえてきた。


「また補充されたん…お上さんも容赦ないわぁ…」


「補充そのものは妥当でしょう。然し、些か扱いが雑ですね。」


青年は遠慮の無い会話から目を逸らして泥を払っている野々村に目線を移す。

それに気が付いたのか彼はこちらに顔を向け、嬉々として話しかけた。


「樺少尉!!先ほどはありがとうございます!!」


それに対し青年は後退りながら応える。


「いえ…当然のことをしたまでです…

ところで野々村…君でしたか。」


「は、はい!!」


「負傷はありませんか?酷く混乱して、更には転んでいたので」


野々村は更に興奮したかのように背筋を伸ばし、答える。


「…!!!自分は怪我の一つもございません!!!」


「であれば何よりです。次からは隊長の指示を聞くようにしてください。」


野々村の興奮は収まったがハツラツと返事を返す。


「はい!了解しました!」


野々村の返答の直後、鋭い声が辺りに響く。


「各隊指揮官!!前へ!!」

_____________________________________


「―――樺少尉、貴官はこれより第五小隊の隊長を担ってもらう。」


「承知しました!!」


目の前の男―――渡辺中隊長は続けて告げる。


「これより構成員を割り当てる。

名前を呼ばれた者は各小隊長に向かえ。」


各員は名前を呼ばれ、小隊長の前に向かう。


「第五小隊。前衛分隊長、竹戸勘次郎。前衛分隊には野々村清。―――」


「奇遇ですな」


「よろしくお願いします!!」


積荷の指示を出した男と泥をようやく落とし終えた男が前に出る。


支援分隊長、室井鶴。支援分隊には赤木直哉。―――」


「新人さんかぁ…まぁ頼んますわ…」


気怠げで上層部に毒を吐いていた女が前に出る。


後方分隊長、榊原貴博。後方分隊には岸ミチコ。―――」


「隊長、宜しくお願い致します。」


先ほど上層部の非効率さに苦言を呈していた男が上品な佇まいで前に出る。


「以上。名前の呼ばれなかったものは後方要員として編入する。」


こうして青年―樺隊長―の小隊は形作られることとなった。


_____________________________________


小隊同士で交流が行われる中、各小隊長は中隊長に呼ばれ建物の中に入る。


「再編直後だが、任務を与える。」


渡辺は地図のある一点を指しこう告げた。


「今夜二十一時より該当地域の索敵を行え。」


初の任務に青年は息を呑む。


「但し交戦は避けよ。他は各自の判断に任せる。」


命令はそこで終わり、会議は解散し休息に入る。

青年は分隊長を召集し、命令の内容を伝える。


「成る程。再編して直ぐとはいえ、あの人ならこれ以上に危険な任務を任せてくると思いましたが…」


榊原は安堵した雰囲気だが室井は困惑する。


「いや…あそこ敵陣の近くやし十分危険やで…」


竹戸は頷きながらもこう答える。


「とはいえどうこう言っても上層部の指示には逆らえんぜ。今すべきなのは死なせないための準備でしょうよ。」


その意見に異論はなかったので、伝達も終了し、各々準備を行いつつ夜を待った。


_____________________________________

八時半、野営地から兵士がぞろぞろと出てくる。

そして列を成す最前線に野々村が出てくる。

その様は幼少の頃に懐いた犬が目を輝かし餌を待つさまを彷彿とさせた。


「隊長!!初任務ですね!!全力で取り組みます!!!」


竹戸が茶化すように、されど諫めるように言う。


「元気いっぱいなのは結構だけどよ。真っ先に死ぬのは元気すぎるやつだから程々にな。」


室井が気怠げに銃を調節しながら言う。


「まぁ最初はそんなもんやないん?どっかの榊原って人もそんなもんやったで」


榊原は恥ずかし気に言う。


「室井さん、この話はやめましょうか。

…なんにせよ野々村君、私たちも君たちが死なないように最善を尽くしますが真に自分の命を守れるのは自分だけです。そのことを肝に銘じてください。」


野々村はきょとんとしつつも頷く。


「…はい!!」


青年は一瞬視線を向け―——何も言わないことにした。

_____________________________________

各隊は出発し第五小隊は目標の地点に到着した。


しばらくして遠方に熱の塊が見える。

が、その特徴は捉えきれない。


「見えない…」


ふと声を漏らした言葉が聞こえたのか、しばらくして


「隊長、うちの若えのがなんとかできるとよ。」


竹戸が話しかける。それに頷くと野々村が前に出てきた。


「自分の魔法で霧を払えます!」


悪くない。

しかし露見を防ぐため、野々村一人に払わせるのではなく複数人に、それも数ヵ所を払うことにした。


「総員、伏せてください。」


伏せたことを確認した後、青年は野々村らに命令を下す。

部隊周辺を含む何箇所かの霧が晴れてくる。


が、すぐに違和感を覚える。

…空気が見定めてくる感覚がする。


「あかん…!!風がなんかおかしい…!!」


室井がそういい終わる前に


射撃音が鳴る。

それと共に野々村の頭から熱が弾けた。

一話一語句解説

部隊階層:現実の運用とほぼ同等で下から分隊、小隊、中隊、大隊、連隊と続き、

小隊が士官が指揮する最小の部隊であり、中隊は小隊を統括し任務を付与する。

一方で人数は種族の都合で現実より多くなっており

分隊は15~20名

小隊は50~70名

中隊は180~300名程度である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ