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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
襲眼。

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包竜。

気に入っていただけたならば作品を育てるつもりで評価、コメント、ブックマークの方をしてもらえたら幸いです。




樺が先頭で索敵をする形で部隊は進んでいく。

敵の補給路を通り、斥候が見つけた敵拠点へと行く。

…だが、行先は樺の熱電波でさえ鮮明に映さない。霧が濃すぎるのである。

樺でさえ、視通せるのはせいぜい100m程度であり、樺でなければ僅か先しか見えないだろう。

白い世界に装備や布のこすれる音、軍靴が腐葉土を踏む音、人の声だけが響く。

霧に慣れた兵士であってもこれは不安をかき立てられるに違いない。


「…前方に朽木があります。注意してください。」


…こうして、言及する必要があるほどには木々が少ないのは却って僥倖だったと樺には思えた。そうでなければこうした組織的な進軍は不可能に近いものだっただろう。


…それでも時折ぶつかる音が聞こえるが。


____________________


やがて、樺は前方に微かな熱を感じる。

…周波を視るに敵のものであると推測できた。


「ここか。」


座標関係について整理したが、やはり間違いない。

ここが、樺らの落とすべき最後の敵の拠点である。


指揮官は散開を命じ、制圧部隊が敵拠点に歩み入る。樺はそれを視ていた。


暫くして、銃撃の音が鳴る。

敵兵は狼狽え、発砲の熱は一方的に立ち上がる。

暫くして、敵兵は反撃を行うも、樺が視て、指揮官が信号を出し、兵が動く。

右翼に敵が集えば、右を守りの姿勢にし、左翼から攻め入り、包囲を行う。逆に動けば、樺らもまた、逆に動く。

魔法兵も初動で無力化されたのか魔法による反撃もほとんどない。

敵兵は抵抗できぬようで、制圧部隊は止まることなく陣地に分け入っていく。



…そして、投降を促す音信号を放てば、間もなく投降の信号が返った。


…あまりにも呆気なかった。


____________________


やがて、残存する敵兵の捕縛も終わり、樺隊らも制圧した拠点で次の信号を待っていた。


「コチラ包囲隊、本陣交戦部隊、戦況ハドウカ。」


通信兵が送る電波を視届けながら、樺は濃霧に包まれた越華街道を視ていた。


「やはり…不思議なものです。」


隣に居た赤木―樺の初めての部隊編成の時期から居た男―が神妙な目つきで樺を見ていた。


「僕の目にはただの霧にしか見えないのですけど、隊長には、その奥に色々なものが見えているのですよね。」


その呟きに樺は一つだけ言葉を放つのであった。


「…人には人の役割がありますから。」


「…ですね。」


赤木は何処か諦めたように返事をしたのだった。


____________________


樺はふと電波が差し込むのを視る。


「…現在、敵将ト交戦中。対象ハ後退ヲシテオリ、間モナク撤退ヲ行ウ見込ミ。」


この知らせを聞いたのか、指揮官が兵士の集合させ始める。


樺もそれに従い、自隊の配備を行う。


…そして一度深呼吸をしたのであった。

更新がかなり遅れてしまい申し訳ないです…

そして、更に申し訳ないことにこちらの生活の都合で恐らく不定期になるということで、なるべく更新は急ぎますが、できればご理解の方をしていただけると助かります。

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